韓国でホームステイした家の64歳主婦が作ってくれたキムチチゲは、材料はほんとにその3つだけ。調味料も塩以外一切使わず、完全にキムチのみで味付けし、ということは、水を少なめに入れるということなのだが、それでキムチと豚肉と豆腐の黄金のトライアングルを堪能するためにあるものだったわけなのだが、鍋一品で酒を飲む僕としては、せっかくならもう少し何か入れないと、寂しいような感じがするわけで、しかしあくまでキムチと豚肉、豆腐が主役であるということを崩さぬ布陣ということになると、意外に難しいものなのだ。
まず絶対ダメなものからあげてみると、白菜。これはキムチなのか白菜なのか、区別が付かなくなってしまうから失格。長ネギも、キムチと区別は付くにしても、キャラがかぶるから失格。小松菜は、逆にこちらが主役を食ってしまいそうな気がしたから、これも失格。
けっこう迷ったのが玉ねぎで、これは良さそうな感じもしたが、やはりキムチより目立ってしまいそうだったので、これも失格。それでけっきょく選んだのは、エノキとピーマン。これはキャラがかぶりもしないし、食ってもしまわないということで、選ばれたわけです。
あとになって、ジャガイモも入れても良かったかなと思ってみたりもして。とくだらないことで時間を浪費する、僕なのでありました。
作り方はまず、豚肉、これは好きなのを何でもいいのだが、今日はコマ肉、とキムチを、弱めの中火でよく炒める。フタをして、時々混ぜながら、蒸し焼きにするようにする。この蒸し焼きのことを、韓国オモニは「ポックム」と言っていた。「キムチポックムパプ」と言えば、キムチを炒めためし、ということで、キムチチャーハンのことになる。
そしたら水を好きなだけ入れて、味が足りなければコチュジャン、味噌、醤油、酒、みりん、チューブのショウガとニンニク、韓国唐辛子、塩、などで自由に味を付け、今日はピーマンをここで入れて、しばし煮こむ。
そしたら豆腐とエノキを入れて、ひと煮立ちしたら出来上がり、という寸法だ。
最後にたらりとゴマ油をたらしてみたりしても、うまいのじゃないかと思う。