春に花見をしたときに、めぼしい所をいくつか回った中で、やはり清水寺は王者だと思ったのだが、今日紅葉を見に行って、紅葉はまだほとんど見ていないのだが、王者はやはり、清水寺に決まりだな。
もうこのロケーション。三重塔を中心として、右手に清水の舞台を初めとする日本建築、左手には京都の街並みと、その奥には山が連なり、下に紅葉、上には青空。歴史と現代、東と西、大地と空、これだけの世界を一望のもとに見渡せるというのは、有無をも言わせぬ圧倒的な迫力。このワンショットで、王者は清水寺に決定なのだ。
さらに今日は、三年坂から二年坂、高台寺を通って円山公園に抜ける道を歩いたのだが、これもまた良かった。
このあたりは街並み保全地区に指定されていて、昔ながらの木造建築がそのまま残っており、電柱や電線も一本もない。手垢に汚れた観光地であるという見方もあるとは思うが、こういう昔ながらの日本の風景というものは、胸が締め付けられるような、からだの奥底から湧き上がる強烈な懐かしさを感じるのだな。
と言っても僕は、まだ生まれてから50年かそこらで、昔の風景など知りもしないわけなのだが、こういうものに懐かしさを感じるというのは、僕自身の実際の記憶ではなく、日本人としてのDNAに刻み込まれた記憶なのだろう。ぽかぽか陽気の秋の午後、このあたりをぶらぶら歩くのは何とも言えず気持よく、心の底から癒された。
放置された車の屋根で、猫が気持よさそうに昼寝してた。