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2009-04-30

つまみ あさり酒蒸し、かぶ煮浸し

あさりの酒蒸し。
こんなに簡単で、うまくて、しかも楽しい料理はないな。
まあ手間がかかると言えば、事前にあさりを海水くらいの濃さの塩水につけて、砂出しをすることくらい。
砂出しすると、あさりの奴ら、海に戻って来たと間違えて、貝の隙間から顔を覗かせ、ぷはー、と砂を吐き出してくつろぐんだよな。
しかし世の中、そんなに甘くないのだ。
あさりは貝殻同士を擦りながら洗って、鍋に入れ、ていうか僕の場合は砂出しから、洗って、それから実際に蒸す所まで、一つの同じ鍋でやっちゃうけどね、まあそれはいいが、そこに酒をどぼどぼどぼ、と入れるわけだ。
これで当然、あさりは、「やったー、酒だ」と喜んで、宴会でも始まるわな。
すかさず鍋に蓋をして火にかけて、するとあさりは宴会で盛り上がっているうちに、気持ち良く昇天、貝がぱかっと開いて、あさりの酒蒸し一丁ありー、と言う次第。
やっぱり生きてるものを調理するって、楽しいよな。
食の原点だもんな。

かぶの煮浸し。
煮浸しって言うのかどうか、わからないのだが。
まず煮干のだしを取る。
400ccの水。
400ccじゃなくてもいいのだが、少なめ、って言う意味。
煮干は今まで、そのままぶち込んで、すぐに火にかけていたのだが、スーパーの煮干のコーナーに、煮干のだしの取り方が書いてあったのだ。
それによると、頭とはらわたを取って、30分以上水に浸す、とのこと。
頭とはらわたを取る方がおいしいというのは知っていたのだが、てやんでー、魚は頭がおいしいんだ、とかうそぶいて、そのままぶち込んでいたわけだが、試しに言われた通りにしてみたのだ。
そしたらびっくり。
だしを取りながらにおいを嗅ぐと、これ、煮干?と言うような、いい匂いがする。
牛だしのような、上品な香り。
あのとんがりまくった煮干の臭いが、全くしない。
こんなに違うんだな。
人の言う事は、聞くもんだな。
そのだしに酒と醤油、みりんで味を付け、皮をむいたかぶ、それにざくざく切ったかぶの葉、油揚げを煮る。
かぶはすぐ火が通るので、煮時間は10分弱。
火を止めたら、蓋をしてそのまましばらく置いて、味を浸み込ませる。

写真の奥にある赤いものは、「えんがわのユッケ風」とかいうやつ。
スーパーで買ってきたのだ。
唐辛子とかごま油とかで味を付けているのだが、韓国風だか日本風だかわからない、なんとも中途半端な味付け。
こんなの買うんだったら、ただえんがわの刺身買って、普通に醤油で食べたほうが良かったな。

草津港 「御食事処 恵美(めぐみ)」のラーメン

前に広島中央卸売市場の中にあるラーメン屋「くうた」に食べに来た時、この店に来てみたいなと思ったのだ。
市場で働く人達のための食堂が何軒か、軒を連ねているのだが、その中ではこの店が一番、垢抜けた感じだったし、また何より、メニューにラーメンがあったからだ。
市場の食堂で出すラーメン、どんなのだか興味あるよな。

店頭のメニュー。

店内のメニュー。

7、8人が座れる位のカウンターに、テーブル席2卓という小さな店だが、12時半過ぎに行ったら、他の店は空いているのに、この店だけ満員。
カウンターの上にいくつかおかずが出ていて、それを選べるようにもなっているが、それよりここではほとんどのお客さんが、「にぎり寿司とうどん」というのを頼んでいた。
けっこう立派な寿司が6貫、それが350円増しで付いてくる。
それを食べたいなとも思ったが、それ程お腹が空いてはいなかったので、予定通りラーメンを注文。

500円。

うーん、このラーメン、おいしかった。
鶏がらだしだと思うが、しっかりとしたコクがある。
おばちゃん、作る時、醤油ダレのを入れたどんぶりにスープを入れ、味見なんかして、さらにスープを足したりしていたから、大丈夫なのかなとちょっと不安に思ったりしたのだけれど、どうしてどうして、スープは最後まで飲み干してしまった。

麺は、これがちょっと変わっていて、写真だとよくわからないが、細くて、ちょっと透明感のある、それでかなりコシの強いタイプ。
けっこうおいしい。
またこのラーメンはチャーシューがすごくて、ばら肉を甘辛く煮たものが、分厚く切られて、2枚、入っている。
トロトロまでは行かず、適度な弾力があって、これもうまい。
あとはもやしに青ねぎに、それにわかめが入っている。

予めコショーを、しかもけっこう大量に振ってくれて、これがちょっと残念と言うか、コショーを振らない生の味も味わってみたかったと思うのだが、まあそれは、この店はこの味を出すということなのだから、しょうがないよな。

まあしかし、広島はほんとびっくりだ。
まだまだあるんだろうな、こういう店。

恵美 (レストラン(その他) / 商工センター入口、新井口、井口)
★★★★ 4.0

2009-04-29

つまみ ほたてとさやえんどうの醤油炒め、なすとピーマンの味噌炒め

なすとピーマンの味噌炒め。
なすが冷蔵庫に余っていたから、処理しないといけなかったんだよな。
ニンニクとごま油でなすとピーマンを炒め、チゲの素で味付けする。

チゲの素とは、ひとことで言うと、ピリ辛の味噌ダレ。
汁物はもちろん、こうやって炒め物に使っても、けっこうイケる。

ほたてとさやえんどうの醤油炒め。
ほたてと筋を取ったさやえんどうを炒め、ニンニクと醤油で味を付ける。

それに豆腐のキムチ乗せ。

酒はアカプルコ、ウィスキーの麦茶割り。
ウィスキーも麦茶も、どちらも原料が麦だから、合うんだよな。
水割りにするより、ウィスキーの甘みが引き立つ。
それに翌日、残らない。

庚午 とんかつ「浜勝」

まあチェーン店に期待などしていなかったのだが、家から程近い場所にあり、一度くらい行ってみても悪くはないかなとは思っていたのだ。
一つくらい見所があればいいなと思ったが、まあ結論を言ってしまえば、見所は特になかった。

ロースかつ定食1,480円を注文。

まずお新香が出てくる。
お新香はお変わり自由。

すり鉢で自分でゴマをすって、そこにソースを入れて食べてくれとのこと。

ソースは「秘伝」というのが甘口で、その他に辛口もある。

その他ドレッシングだの塩だのお新香に掛ける割り醤油だの、色々出てくる。
しかし肝心の醤油、僕はとんかつには醤油をかけるのだが、それは出て来なかったので、改めて頼まなければいけなかった。

ギャラリーが色々登場するわりには、とんかつは貧相。
小さめで、薄め。
キャベツはおかわり自由だが、肉が小さいのでキャベツはそんなに必要ない。

そして特筆すべきは、ご飯がまずい。
麦飯と白飯を選べるようになっていて、初め麦飯を頼んだら、ちょっと臭う。
まあ麦飯が臭いのは仕方ないなと思って、白飯をおかわりしたら、こちらも臭かった。
ジャーに入れっぱなしなんだろうな、水気も飛んで、ぱさついていた。

広島はとんかつ屋が少ないから、こんな店でもお客が入ってしまうんだな。
チェーン店であるにしてもレベルが低い、想像以下の店だった。

とんかつ浜勝 広島庚午店 (とんかつ / 古江、高須、東高須)
★★☆☆☆ 2.0

2009-04-28

横川町 「廣島醤油豚骨 長谷川商店」(2回め)

に来た時は、この店、夜のラーメン屋なのに、車で来てしまったために、ビールの一杯も飲まずにラーメンだけを食べてしまったのだ。
しかしそれではやはりいけない、やはり夜のラーメン屋として正しい使い方をしてみなくてはいけないと、今回はちょっとしたものをつまんでビールを飲み、それからラーメンを食べようと思って、再びやって来たのだった。

生はなく、瓶ビール。
セルフで、自分で持ってくるようになっている。
店主が一人でやってるからな。

ギョーザ、380円。
メニューにおでんとあったので、それを食べようと思ったら、もう季節が終わってしまったそうだ。
よくある、普通のギョーザ。
でも火加減か焼き時間を間違えてしまったのかな、やけに焦げていた。
まあいいのだが。

早めの時間に行ったので、しばらく客は僕一人、おかげで店主と色々話せて楽しかった。
まだ若く30代前半だが、この店のほかに3軒の居酒屋を経営しているそうだ。
そちらはもう7年もやっているので、電話連絡程度でやっていけるとのこと、それで自分は空いた時間で、前からやりたいと思っていたラーメン屋を始めることにしたのだそうだ。
前に2年ほど、近くでやはりラーメン屋をやっていたそうだが、そちらは場所が狭くて、寸胴を一台しか置けず、しかも仕込んでいると暑くて、さすがに無理とあきらめ、いい場所が出るのを待っていたのだそうだ。
二十歳の時からチェーン店のラーメン屋で働き、でもそれがそのうち安売り競争みたいなことになって、スープを自分で仕込まず、どこかの業者から買ってきたものを湯に入れて混ぜる、ということをするようになり、つまらなくなって辞めたそうだ。
もうすべて潰れてしまったそうだが。
広島ラーメンのニューウェーブ、みたいな感じで、何軒も店ができて、一時はけっこう盛り上がったのだそうだ。
そんな時代があったんだな。

豚骨スープに極太麺というのが、自分がやりたいラーメンなのだが、どうしてもお客の好き嫌いが分かれてしまうので、こちらに新しい店を出すにあたって、多少不本意だが妥協して、鶏がらだしの醤油ラーメンや、細麺も取り入れたのだとのこと。
ちなみに極太の平打ち麺は、製麺所のラインナップにあるものではなく、特注しているのだそうだ。

ということで、今日は豚骨ではなく、醤油ラーメンを食べてみようと思っていたのだが、予定を変更、もう一度太麺の豚骨ラーメンを頼んだ。
600円。

麺の写真撮れば良かったな、忘れた。

このラーメン、前回よりおいしかった。
味にぶれがあるのか、それとも正しくビールを飲んだのでおいしく感じたのか、わからないのだが。
豚骨だしのストレート、他にあまり余分なものが入っていないスープだが、前回はひと味足りないと感じたのだが、今回はあまりそういう風には思わず、十分なコクがあった。
人間の舌って、あてにならないな。
ていうか、僕の舌。

豚骨のストレート勝負と言えば、もう閉店してしまったが、あ味がそうだったと思うのだが、僕はこちらのほうがおいしい。
あ味はちょっと臭みがあって、それがどうも引っかかる所だったんだよな。
こちらはかなりこってりしているが、臭みは全くなし。
醤油味もあまり濃いことなく、それで臭みがないというのは大したものだな。

このこってりした豚骨スープに、極太の麺はよく合うと思う。
そして特筆すべきなのはチャーシュー。
ばら肉を使っているが、ぷりぷりとした、しっかりした歯ごたえがあって、味も、あれどうやって付けるんだろう、薄くも濃くもなく、ほんとに丁度いい。
説明になってないが。
ただ煮るのじゃなく、ちょっと炙ったりしてるのかな。
ハムみたいな感じの食感がするのだ。
半熟玉子も嬉しい。

ちなみにかかっているBGMだが、前に店主が厳選してかけていると書いたのだが、改めてよく聞いたら、あまり考えずに適当に買ってきたものを、そのままかけているのだそうだ。
こだわりがないんだな、要は。
こだわるべき所には徹底的にこだわるが、それ以外のどうでも良いことには、柔軟に対応するというのは、ああいう店をやる場合、大事なことだろうからな。
この店主、まだ若いが、大したものだな、けっこう。

広島醤油豚骨 長谷川商店 (ラーメン / 横川一丁目、横川駅、横川)
★★★★ 4.0

若草町 「インド料理 ルーパリ」

来てみたいと思いつつも、家からチャリンコで来るにはちょっと距離があるので後回しになっていた店。
やっと来る事ができた。

カレーと、ナンまたはライスのカレーセットは700円。
それにチャイが100円。
安いな。

チキンカレー。

ナン。
巨大。

チャイ。

ここのカレー、うまかった。
まず、ナンがうまい。
よくあるナンとかなり違う感じで、普通はパンみたいな、ふかふかした、ちょっと乾燥した感じであるのに対して、こちらは、もちもち。
うどんとまでは言わないが、中身がぎっしり詰まっていて、みずみずしい。
砂糖やクリームなど余分なものがあまり入っている感じがせず、小麦粉そのものの、素朴な甘みがする。

カレーも、脂肪分が多い感じはせず、かといってスパイスが強力に利いているという訳でもなく、ショウガと生トマト、それに緑のは何だろう、とにかく香味野菜で味を決めていて、僕は好きだな、こういうの。
チキンも大きいのがごろごろ入っていた。

店員の日本人も、あまりインドかぶれしているという感じがせず普通だったし、僕がこれまで、広島に限らず、食べたインド料理の中では、かなりおいしい部類に入る店だった。

インド料理 ルーパリ (インド料理 / 広島、広島駅、猿猴橋町)
★★★★ 4.0

2009-04-27

つまみ 豚キムチ豆腐玉子となすトマト

手前、豚キムチ豆腐玉子。
初め豚キムチを作ろうと思ったのだが、豚キムチに豆腐って合うなと思い出し、さらに玉子も合うことを思い出し、全員を合体させたもの。
なかなかイケたです。

サラダ油で座布団みたいな感じに切った木綿豆腐の両面を焼き、そこに塩を振った溶き卵を流し入れ、混ぜたり上下をひっくり返したりしながら合体させる。
それは器に取っておいて、改めてごま油で塩を振った豚肉を炒め、続いてキムチを入れ、コチュジャン少々で味を付ける。
そこにさっき合体させた豆腐と玉子を入れ、よく混ぜ合わせて完成。

作ってから思ったのだが、豚キムチ、豚肉とキムチを炒める前に混ぜ合わせ、キムチの汁なんかも掛けて漬け込んでおいたらうまそうだったな。

なすトマト。
みじん切りのニンニクを炒めたごま油でなす、続いてトマトを炒め、塩で味を付ける。
なすとトマトって、ほんとによく合うよな。
同じ種類のなす科なのだそうだ。

草津 「焼肉・中華そば みや」

宮島街道沿いにあるこの店、ここも前から前を通って気にはなっていたのだが、度胸がなくて入った事がなかったのだ。

まずビール。
けっこう古い店のようだが、たぶん代替わりしたんだろうな、もう中年の娘さんらしき人が、パートのおばさんを使ってやってるみたいだった。

焼肉関係がメニューの中心だが、ちょっとした一品もいくつかある。
おでんは冬だけで、もう終わってしまったそうだ。

さてラーメン。
これもびっくり、大変おいしい。
鶏がらだと思うが、大変コクのあるスープ。
何か脂を入れるのかな、わからないが、表面に脂の膜が張って、こってりしている。
予めコショウが振られてくる事もあるが、臭みは全くなし。

麺はごくごく普通の、ちょっと黄色っぽい、ちょっとつるつるしたやつ。
それに薄めに味が付けられたもちもちチャーシュー、細もやし、青ねぎ。

いやしかしそれにしても、ほんとにびっくりだな、広島。
こんな何でもない、と言っては失礼だが、店のラーメンが、こんなにおいしい。
日曜の夕方5時過ぎだったが、けっこうお客が入っていて、その人たちがまた僕のような一見に対しても親切。
焼肉屋の中華そば、けっこう穴場なのかも知れないな。

みや (焼肉 / 草津、古江、草津南)
★★★★ 4.0

2009-04-26

映画 「グラン・トリノ」

久しぶりに映画を見たのだ。
クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」。
雑誌のレビューを見て、これは見なくちゃと思ったんだよな。
クリント・イーストウッド、わりと好きだし、僕の好みのストーリーみたいだったし。

クリント・イーストウッド演じるウォルトは、頭の固いじいさん。
朝鮮戦争に従軍し、退役後フォードに入社、自動車工として定年を勤め上げる。
「グラン・トリノ」というのは彼が現役の頃の往年の名車で、それを今でもきれいに磨き上げ、ガレージに置いているのだ。
妻が死に、一人で住んでいる郊外の住宅は、スラム化が進み、白人は出て行き、隣に住んでいるのもタイ人の家族。
息子や孫達ともうまく関係を築けない、意固地なウォルトは、隣人も初めはただ苛立たしいだけの存在だったが、タイ人の姉弟をふとした偶然からチンピラグループから救うことになり、心の交流が始まる。
そして徐々に、心の壁がなくなっていき、姉弟を自分の身内のように思うようになったウォルトだったのだが・・・。

主演、そして監督もクリント・イーストウッド。
まず何と言っても、クリント・イーストウッドの老練な演技が良い。
クリント・イーストウッドは、映画の出演はこれを最後にするつもりだと言っているそうだから、これはやはり、見ておかないとな。
そしてラストシーン。
胸にぐっと来る。
「生と死」というのがテーマになっていて、まあこれはそこいらの三流映画でもよく取り上げられるテーマだが、この映画ではほんとにそれを、見終わった後、暖かい気持ちと共に、深く考えさせられる。

ちなみにこの映画、クリント・イーストウッドの出世作、「ダーティー・ハリー」を見ていると、より楽しめる。
監督クリント・イーストウッド、そこまで計算して、構成を組み立てしているんだな。
また彼の俳優としてのキャリアの締めくくりとしても、全くふさわしいものとなっている。

★★★★★ 5

グラン・トリノ オフィシャルホームページ
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top

グラン・トリノ 広島での上映館
http://www.google.co.jp/movies?hl=ja&near=広島&dq=グラン・トリノ+広島&sort=1&mid=749dc30f56d470a8&ei=21f0SfvNMZWVkAWemsnuCg&sa=X&oi=showtimes&ct=movie-link&cd=1

2009-04-25

つまみ さばの味噌煮込み

さば味噌、初めて作ってみた。
でもどうかな、ちょっと煮詰めすぎたかも。
もうちょっと汁を残しても良かったかな。
一緒にごぼうを炊き込んだが、これがうまみを全部吸い込んで、いい味がする。

堺町 「百番目のサル」のカレー

この所中華そばに現を抜かしているわけだが、僕にはカレーという課題もあったのだ。
広島市内の目ぼしいカレー屋も、そこそこ一通り、訪ね歩いた所で、この百番目のサル、僕が広島で一等最初に来たカレー屋で、おいしいとは思ったのだが、その味を改めて、確認しなければいけなかったのだ。
別にいけなくはないが。

今日は雨、チャリンコ乗りにはつらい天気だな。
だったら遠出せずに、近場で済ましておけばいいものを、思い立ってしまうとどうも、行かずにはおれない性分なのだ。

この店、目立った看板も出しておらず、カレー屋だとは気がつかずに通り過ぎてしまいそうな佇まいなのだが、土曜の午後2時、少し時間を外したつもりだったが、席は満員、店内で二人ほどが順番待ちをしていた。
こりゃ、もっと早い時間は、ずらっと行列できていたのかもな。
口コミサイトでの広島カレーランキングでは、堂々一位だ。

店内はこげ茶と白の、落ち着いた趣き。
壁一面に茶碗や皿が所狭しと並べてあるのだが、これは売り物。
年に何度か、店主が群馬だか栃木だかまで、買い出しに行くのだそうだ。
これに象徴されると思うのだが、店主は坊主刈りに黒い丸めがね、穏やかな、陶器をじっと眺めるのがいかにも似合いそうな、丁寧な感じの人。
カレー屋の店主って、こういう穏やかな感じの人が多いよな。
じっくり煮込む、というのが性に合うんだろうな。

この店はメニュー構成としては、トッピング方式を取っていない。
多くのカレー屋は、ソースが一種類か、まあ二種類か、決まっていて、そこにカツだのハンバーグだの野菜だのを色々トッピングすることで、バラエティーを出している。
しかしここは、「欧風カレー」というのが、ポークとビーフとエビの三種類、「インドカレー」がチキンとエビ、それに「中間カレー」だっけな、というのが最近出来たみたいで、それは野菜ときのこ、基本はそれだけ。
同様にほとんどの店が採用している辛さ指定も、この店ではできず、欧風が甘口、インドが辛口、中間が、その中間、というように固定されている。
僕はトッピングとか、辛さ指定とか、結局店が伝えようとしている味が何なのか、よくわからなくなってしまいがちであまり好きじゃないので、いいんだよな、この店は。
やはりあまり客に媚びずに、これだと思うものを直球で出してほしい。

ということで僕は、メニュー筆頭のポークカレー、680円、それの中盛100円増し、それに300円増しでサラダとドリンクまたはデザートがつくセットを頼んだ。

まず初めに漬物が出てくる。
らっきょう、福神漬け、それに緑のは、きゅうりのキュウちゃんみたいなやつ。

サラダ。
ドレッシングは、カレー屋がほぼ例外なく、不思議だが、採用している、醤油味の和風ドレッシング。
カレーの味の邪魔にならないってことなのかな。
りんごが乗っているのが嬉しい。

そしてポークカレー。
このカレー、味の方向性としては、他の店に比べて、「おうちのカレー」にいちばん近い。
やはりカレー業界としては、最大のライバルは他店ではなく、家で食べるカレーなのだろうと思う。
トッピングとか、辛さ指定とか、そういうのも、おうちのカレーとの差別化を図るために導入されているんだろうと思うが、っていうか今思ったのだが、ここはそんな小手先の戦法は取らないんだな、まさに王道、日本人の大好きなおうちのカレーの味、それをそのまま、しかも100倍位おいしくして出しているのだ。
100倍というのは大げさだが。
しかしすごいな。

とにかく丁寧に作られているという感じがする。
カレーは丁寧に作れば作るほど、おいしくなるからな。
その象徴が、このカレー、それこそ丁寧に炒めた細切りの玉ねぎ、これが考えられないほど大量に入っている。
ソースを一さじすくうと、そこにかならず、10本位のしんなりした玉ねぎが入ってくるのだ。
カレー一杯で、玉ねぎ一個分、というのは、これも大げさだが、かなりの量が入っているのは間違いない。
だから味の基本は、このあめ色玉ねぎの味。
その甘みと風味、やっぱりこれだよな、日本人のカレーは。
しかもそれ以外に、あまり余分なものが入っている感じがしない。
シンプルかつストレート。
大したものだ。

辛さは、僕には十分、普通の店の中辛位な感じ。
きちんと油を落とした豚ばら肉が、けっこうたくさん入っている。

食後のアイスティー。
ここは器がまた、さすがいちいち厳選されていて、落ち着くんだよな。
市内のカレー屋、いい店は色々あるが、本格インド風ではなく日本風カレーについては、僕はとりあえず、この店がいちばん好きかな。

百番目のサル (欧風カレー / 土橋、小網町、十日市町)
★★★★ 4.0

2009-04-24

都町 「焼肉・中華そば さっちゃん」

広島ではお好み焼きや中華そばの店が、見た目すっごくぼろいんだけど、実は驚くほどおいしい、ってことがけっこうある。
それって広島では、お好み焼きや中華そばが借り物ではなく、完全に地域に根差した、土着の食べ物になっているってことなんだよな。
しかしまあ、それはわかっているのだが、事前の情報なしで、ぼろい店に入るには、それなりの勇気がいる。
見た目のみから味をイメージすると、到底おいしいとは思えないので。

この「さっちゃん」もそういう店。
家からそれ程遠くない場所にあるので、ちょくちょく前は通りがかって、ここにこういう店があるってことはわかってたのだが、店の前には台やらバケツやらホースやら。
中を覗くとどうも雑然としている。
それで今まで、気にはなりつつも、入っていなかったのだ。

しかし今日、とうとう暖簾をくぐって、中に入ったのだ。
じゃん。
結論を言うとここの中華そば、すごくおいしかった。

当然まずビール。
ここは生があるのだった。

そしておでん。
牛だしなんだな、ここは、それが浸みて、やさしい味がする。

ここは焼肉がメインメニューで、ホルモンからカルビから、500円から1,000円という、わりかし安めの値段で出されているようだったが、今日は試さなかった。
豚足とか豚耳とかもあったな。

そして、中華そば、500円。
スープは鶏がら、雑味のほとんどない澄んだだし、でもきっちりとコクがある。
それにさわやかな醤油味。
わずかに鶏がら臭いのだが、これはこの方が好きな人もいると思うし、気になる場合もコショウを振れば問題ない。
ほんとにおいしくて、飲む程に身体に浸みわたるようだった。
なかなか食べられないレベル、だと思う。

麺は、いわゆる普通の麺。
中位の太さの、ちょっと黄色味がかった、どちらかと言えばつるっとした、真っ直ぐなやつ。
それが普通の硬さにゆでてある。
でもここはスープが超オーソドックスだから、こういうオーソドックスな麺がよく合う。

それからここ、チャーシューがすごい。
もちもち。
もも肉を薄味で煮てあるのだが、もそもそ感は全くなし、どうやったらこんな風になるんだろう、という感じ。
焼肉屋だからな、いい肉が入るのかもな。
それが3枚、入っている。

それに大量のしゃきしゃき細もやしと、青ねぎ。

この店、おばちゃんが一人に、あと息子さんらしき人やら嫁らしき人やら、でやっているみたいだが、おばちゃんは、絵に描いたような肝っ玉母さん。
にやっとした目で、がははと笑うのだ。
「この店、できて何年になるんですか」と訊くと、「聞きたい?」ともったいを付ける。
もう40年になるのだそうだ。
景気が悪くて大変だね、という話になったら、
「景気は、悪いなんてもんじゃないよ」とのこと。
頑張ってほしいな。

さっちゃん (そば / 観音町、福島町、西観音町)
★★★★ 4.0

小林秀雄全作品2 ランボオ詩集

小林秀雄の全集2冊目、あっという間に読み終わってしまった。
まあ一つには、小林秀雄がランボオの詩を訳しているところが全体の半分位を占めていて、それがどうも退屈だったので飛ばしてしまったということはあるのだが。
小林秀雄は小説とか、この詩の翻訳とか、あまりぱっとしないな。
やはり評論が面白い。

こういう風に誰かの作家に徹底的にハマるのは、こないだナンシー関にハマって以来なのだが、僕に言わせれば、二人の作風はそっくりだと思う。
他人をなめ回すように眺め、腹の奥まで探り当てて、それを毒のある文章で表現する。
この「全作品2」は、昭和5年、小林秀雄が28歳の時の文章が集められていて、懸賞論文で2等を取って世に出た翌年、文芸評論家として世に知られ始めた頃なのだけれど、当時の同世代の作家をけちょんけちょんにやっつけている。
僕はそのやっつけられている作家の方は全く知らないのだが、小林秀雄のやっつけ方が、多分まさに相手の痛いところをグサッと突いているのだろうなという感じがして、痛快。
しかしやはり、それなりの風当たりはあったみたいで、「自分を棚に上げて」とか言われるというようなことを書いている。
それに対する言い訳というか、棚に上げているのはわかっているのだが、これは自分の性癖なのだ、みたいなことも書いていたりして、それもまた興味深い。

小林秀雄が言うことにいちばん共感する所は、人間が頭だけで考え、作り上げた世界に対する嫌悪。
当時「プロレタリア文学」とか、「尖端小説」とか、色々なジャンル分けがあったみたいだが、そういうものを徹底的にやっつけている。
しかしもちろん、28歳の青年が、文芸の主流に対して何か物申した所で、それをその主流派達がまともには取り上げなかっただろう、小林秀雄自身も、自分は「かみついている」という表現をしている。
うるさいのが出てきたな、という感じだったんだろうな。
小林秀雄は「肉体」という言葉をよく使うのだが、芸術というものは、その人がただ頭で考えたことを表現するのではなく、肉体で感じたことの表現、肉体そのものの表現、そういうものなのだ、という感じの事を言う。
「近代」という物事の枠組みが、まさに人間の肉体を置いてきぼりにしてしまっているわけだから、それに対して異を唱えるということは、まさにドン・キホーテが風車に向かって戦いを挑むようなものだ。
小林秀雄はそれを、生涯にわたって戦い続けたわけだから、まあ疲れる人生、やってもやっても報われない人生、だったのだろうなと思う。
しかしそれが深刻にならず、いやもちろん深刻だったのだろうが、表現として、過激でかつ、飄々としているところが、小林秀雄の味わいだよな。

もう3巻も買ってあるので、次はそれを読む予定。


2009-04-23

新天地 「中華そば・ぎょうざ 福万」

今日はほんとは「双葉」に行きたかったんだけど、6時ごろ行ったらやってなかった。
もっと遅くから始まるのかな。
よくわからん。

ということで流川、薬研堀近辺を物色し、決めたのがここ、福万。
前からちょっと気になってはいたんだよな。

カウンターのみ、10席程度の小さな店。
真ん中あたりに座ると、調理の風景が全部見えるから面白い。

当然まずビール。
今日はだいたい、何かをつまみにビールを飲んで、最後に中華そばでシメる、というコースを想定してきたわけだからな。
いや想定してなくても飲むが。

そして焼餃子、650円。
作るのを見ていると、ラードをしいた小さめのフライパンに餃子を乗せ、そこに水をどぼどぼどぼ、と入れて、蓋をして火にかける。
この火がすごい、目いっぱいの強火。
炒め物とかをするときの、あの強火だ。
すぐにパチパチ音がし出して、時々パン、とか音がしたりもするが、火を弱める気配はない。
そして水の音がしなくなるまで、そのままの強火で行ってしまう。
火を止めると蓋を開け、皿を上に載せてひっくり返し、ちょっと斜めにして油を切る。
10秒以上は斜めにしてたな。
計ってないけど。
そして出来た餃子を、別のきれいな皿に乗せ替えて出す。
普通のラーメン屋ではあまり見かけない、すごい作り方だ。
たぶん中国のそのままのやり方なんだな。

味がまた、皮の火に面した側はパリパリで、ちょっとお煎餅みたいな感じになっていて、反対側はモチモチ、そして中はホクホク。
よく油が切られているから、まずい餃子にありがちな、油にまみれた感じは全くない。
ラーメン屋の餃子というと、何だか似たようなやつが多いんだけど、ここはさすが、餃子を看板メニューにしてあるだけのことはあるな。
隣の兄ちゃんは、餃子を二人前頼んでいた。
そうしたくなる感じ、気持ちわかるよ。

そして中華そば、600円。
これもけっこう凄かった。

澄んだ鶏がらだしに、さわやかな醤油味のスープ。
雑味が全くない、端正な味。

ここに沈んでいるのが、平打ち麺。
尾道ラーメンと同じやつ。
しかしこちらは何故か、カップヌードルは思い出さなかった。
何が違うのかな、慣れたのかな。
上に乗ってる、けっこう大量の細もやし、これは麺を釜からざるで取り出したら、そこにすかさずもやしを入れ、同じざるで取り出して乗せるから、いっぱい入っていても汁がぬるくなる心配がない。
そうなんだよな、ここは、餃子にしても、ラーメンにしても、一人前の作り方をするんだよな。
お好み焼きですら大量生産の道を歩むこのご時勢、珍しいよな。
それにもっちりチャーシューと青ねぎ。
そして最上部には、かすかに八角の風味がする、そぼろ肉。
これはタレに漬け込まれていて、初めにこのタレをスープで割って、最後に中のそぼろ肉を上に乗せるのだ。
コショウを振りかけて完成。
八角の効果なのか、全体に硬質な味がする。
食欲が掻き立てられる味だよな。

聞くとこの店、52年前の創業で、初めの2年は屋台だったそうだ。
52年前というと昭和32年、戦後12年目だな。
すずめや陽気の元祖、段原食堂が、昭和25年だから、ちょっと後なんだな。
現在85歳の先代は台湾からやって来たのだそうだ。
そうそう、台湾・中国からやって来て日本に土着した、第一世代の味という感じだよな。
しかもその先代、今でも毎日、仕込みにはやって来るそうだ。
反対側の隣のお客は、もうこの店に何十年も通っているという、83歳の爺さんだった。
中華そばと餃子をペロッと食べて帰っていった。

福万 (中華料理 / 胡町、八丁堀、立町)
★★★★★ 5.0