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2011-07-31

しょうゆ焼きそばは、一人暮らし料理の基本


巷の料理本を見ていても、
「一人暮らしのための料理」
と考えると、あまり役に立たないものが多い。

一人暮らしが料理をするという場合、やはり基本は
「料理に取りかかってから、調理器具を洗い、食べ始めるまで30分以内」
ということじゃないかと思うのだよな。

いやもちろん、料理が楽しくなり、興がのれば、2時間だって3時間だってかけたらいい。
でもそうでなく、疲れて家に帰ってきて、
「さあ食うぞ」
となってから、実際に食べ始めるまで、1時間とか掛かっていたら、一人暮らしが料理を続けることは難しいだろう。


◆ 一人暮らし料理の基本条件

そうなると、まず
「白めしはほとんどアウト」
だ。
白めしを30分以内に炊き上げることなど、ほとんど不可能だからだ。
だから炭水化物を白めし以外でとらないといけないことになる。

それから、洗い物をできる限り少なくしたい。
食べ始める前に使った調理器具は洗ってしまうことになるのだから、その時間も含めて「調理時間」と考えないといけない。
そうすると
「料理の品数をできるだけ少なくしたい」
ことになる。

品数を少なく、できれば一つの鍋やフライパンで調理でき、炭水化物を米以外でとる料理。
そしてできれば、酒のつまみになってほしいだろう。

そういう料理の代表選手が、
「しょうゆ焼きそば」
なのだ。


◆ しょうゆ焼きそばの長所

一人暮らし料理として、しょうゆ焼きそばが優れている理由。
それはまず、
「フライパンひとつで作れる、肉から野菜、炭水化物までをすべて含めた料理である」
ということだ。

しかも調理法は非常にシンプル。
  1. 肉を炒める
  2. 野菜を炒める
  3. タレを注ぎ込む
  4. 麺を炒める
以上。

調理時間そのものは、ものの10分くらいしかかからないだろう。
下準備やら洗い物やらの時間を含めても、どんなに不慣れで鈍くさくやったとしても、30分以内にはかならず収まる。

そしてこれが、驚くほど酒のつまみになる。
日本酒には合わないのが難点なのだが、ビールでも焼酎でも梅酒でも、バッチリ合うことは請け合いだ。

さらに、このしょうゆ焼きそばは、
「応用範囲が非常に広い…」
味付けは同じでも、肉や野菜は何でも好きなものに取り替えられる。
毎日食べられるとは言わないが、一日おきに食べてもだいじょうぶだと思うくらいだ。

ここで一つ疑問がわく人がいるかもしれない。
「ソース焼きそばではいけないのか…」

いいかもしれない。でもわからない。
僕はあまりソースが好きではないので、家で一度も作ったことがないのだ。
ソース焼きそばが好きな人は、この後の作り方のところで、タレをソースにしてもらえばいいというだけの話だ。
ただたぶん、「応用範囲」については、しょうゆの方が優れているんじゃないかという気はするが。


◆ しょうゆ焼きそばの材料


材料は豚コマ肉、長ネギ、焼きそば麺、それにしょうゆダレ。

豚コマ肉の分量は、好きなだけでいい。
ただこの写真の分量は、150グラムくらいあるのだけれど、一人分にはちょっと多すぎた。
半分でよかったな。
豚コマ肉は、つながって大きなままの場合があるから、適当な大きさに切っておく。

長ネギは、今回は白い部分だけだが、青い部分があれば、それもそのまま使う。
青い部分も、炒めればそれなりにおいしいものだ。
これは斜め切りにしておく。

タレの材料は以下のとおり。
  • しょうゆ
  • チューブのニンニク
  • チューブのしょうが
以上。

分量だが、
「計量スプーンでいちいち計ると、とたんに料理がつまらなくなるから、しないほうがいい」
のだ。

調味料の分量については、あらためて詳しく論じたいと思うところだが、
「計量スプーンは買わない」
ことをすすめる。
もっている人は捨てよう。
計量スプーンは、炊飯器にならび、料理をつまらなくする元凶の一つであると僕は思う。

上の調味料の中で、酒とニンニク、しょうがについては、量が多くたって少なくたって、大勢に影響はない。
微妙な加減もないことはないが、それはやりながら見つけるというので十分だ。

問題は
「しょうゆの分量」
だ。これを間違うと、味が大きく変わってしまう。

まず知っておく必要があるのは、
「しょうゆは『少ないかな』というくらいにしておくのが大事」
だということだ。
「少ないかな」と思うくらいにしておいて、実際食べてみるとちょうどいいものなのだ。
それに、塩味は多すぎるとどうしようも修正が効かないが、少ない分にはただあとから塩をふればいい。
少なめにしておけば、何も問題ないわけなのだ。

しょうゆの分量を決めるには、
「材料をよく見て、それにしょうゆをかけるとしたらこのくらい、というのをイメージしながら器に入れる」
ようにする。
よく目玉焼きとかにしょうゆを掛けるだろう。あの要領だ。
漠然と器にしょうゆを入れるのではなく、材料の分量をきちんとイメージする。
僕は器にしょうゆを入れるときも、「しょうゆを回しかける」のをイメージして、手を丸く動かしながら入れている。
そうするとそれほど大きく外れないものだ。

ただそうは言っても、しょうゆを入れすぎることは多い。
何を隠そう、今回のこの記事の元になったしょうゆ焼きそばを作った時も、しょうゆを入れすぎてしまった。

でも料理というものは、いつもいつも無難なそれなりにおいしい味のものができるより、死ぬほどうまい時もあれば、ちょっとまずい時もあるという「変化」があったほうが楽しいものだ。

それにだいたい、
「料理についての新たな発見は、失敗した時に生まれる…」
これは間違いない。
ノーベル賞級の発見も、多くは実験の失敗から生まれている。
「エサキダイオード」などはその代表例だ。

だから失敗を怖れてはいけないのだ。

ちなみに僕は、今回しょうゆは「うす口しょうゆ」を使っている。
うす口しょうゆは色がうすいから、材料がきれいに見えるのが特徴だ。
京都に来て以来、僕はうす口しょうゆを多用しているのだけれど、色だけの問題だから、べつに普通のしょうゆでもOKだ。


◆ しょうゆ焼きそばの作り方

しょうゆ焼きそばの作り方は、ほんとうに簡単だ。

まず豚コマ肉を炒める。
テフロンのフライパンなら、油はまったく引かなくてもいい。
豚肉からけっこうな量の脂が出るからだ。

あまり脂っぽいのが好きではない人は、「豚ロースうす切り」とかを使ったらいい。
でもこういうものは、豚のうまい脂がきちんと出る、「豚コマ肉」のほうが圧倒的にうまい。
それに豚コマ肉は、ロース肉よりぜんぜん安い。

豚肉は、肉の色が変わるまで炒める。

火加減は、炒め物の場合はつねに最強の強火。

長ネギを入れる。
これはサッと炒める。

フライパンの真ん中をあけて、そこの鍋肌にしょうゆダレを流しこむ。
タレには酒が入っている。
酒のアルコールの風味が残ると鼻につくので、きちんと沸騰させ、アルコールを飛ばしてから材料にしみ込ませるのが大事なのだ。
タレを入れたら材料を軽くまぜる。

麺を入れ、よく炒める。
麺は炒めることによりおいしくなるから、ある程度ちゃんと炒めたほうがいい。
テフロンのフライパンならくっつく心配もない。

炒め上げる直前に、「コショウ」を軽くふる。
コショウは熱を入れると風味が飛ぶから、最後に入れるようにする。

さてここで味見をしたくなるところだが、しないほうがいいのだ。
「炒め物で味見をすると、だいたい間違う…」

例えばここで、塩辛すぎたとするだろう。
そうするともう取り返しが付かない。
だからその場合、味見をする意味自体がない。

味見をして、「塩気が足りない」と思うときがクセモノだ。
僕の経験から言うと、
「ここで塩や醤油を足してしまうと、確実に間違う」
のだ。

一つには、味にムラがある場合がある。
麺と肉とでは、しょうゆの効き方が違うことがあるのだ。
だから一部から全体を判断してしまうことにより、間違うことがある。

それから、塩加減というものは、一口食べた時の感覚だけでなく、それを一皿食べた時の、全体の塩分量にも関係する。
一口食べた時にはちょうど良くても、それを一皿食べ終わってみたら、塩分が多すぎた、ということがよくあるのだ。

人間は、
「自分の直感を信じることも大事」
だ。
しょうゆダレを作った時の直感を信じ、ここでは味見をしない。
実際食べてみて、もし塩加減が足りなかったら、そこで初めて塩をふるようにするのがいい。

今回ネギの青い部分がなかったので、見た目的な意味で、青ねぎを振ってみたのだが、青いところを使っていれば、べつにそんなことは必要ない。


◆ 焼きそばに合う酒

焼きそばに合う酒。
やはりこれは、圧倒的に
「ビール」
だろう。

僕がいつも行く「グルメシティ」で、プライベートブランドの第3のビール、
「79円」
で売っていた。
缶ジュースより安いとは信じられん。


◆ サイドディッシュの考え方

焼きそばは単体で、けっこうお腹も膨れるし、栄養も悪くないし、酒のつまみにもなるし、これだけで十分なのだが、それだとちょっと寂しいという場合がある。
これに何か1品か2品、足したいな、という場合。

「火を使わずに作れるものを選ぶ」
ことが重要だ。

世の中には、火を使わず、ただ切るだけで、十分おいしく、栄養があり、酒のつまみにもなるというものがたくさんある。

代表は、
「冷奴」
「オニオンスライス」
これは最近の僕の定番だ。

それから
「冷やしトマト」
というのもある。

冷奴はただ切って、チューブのしょうがとかつお節、それにネギを切ったのをのせ、しょうゆかポン酢をかけて食べる。

オニオンスライスは玉ねぎをうす切りにし、辛いのが気になる人は、それを少し水にさらす。
僕は辛味があった方がうまいと思うから、水にはさらさない。
かつお節をふり、「ポン酢」をかけて食べる。

冷やしトマトはただ切って塩を添えるだけだ。

他にニンジンやキュウリなどを切って、味噌を添えたっていい。

こういう手のかからないものを1品でも2品でもつければ、食卓はさらに豪華になるという企画だ。

ただしこの日、僕は長ネギの焼きそばに、青ねぎをふった冷奴、さらにオニオンスライスと、ネギづくし、ネギネギしくなってしまったので、それはちょっと考えるべきだった。


◆ しょうゆ焼きそばの応用例

しょうゆ焼きそばは、応用例がかなり広い。
今回は長ネギを入れたが、野菜は、かなりのものに置き換え可能だ。
肉も、牛や鶏を使っても問題ないと思う

ちなみに最近作ったもの…。

チンジャオロースー焼きそば。
これは長ネギの代わりにピーマンを使ったというもので、基本的な作り方はまったく同じ。
さらにピーマンだけじゃなく、玉ねぎも入っていて、玉ねぎを使うと甘いコクが出る。

豚肉と小松菜の焼きそば。
これも作り方はまったく同じ。
これを作った時は、ニンニクを使わずに、かわりに皿に盛ってから青ねぎとかつお節をふった。
味が和風になって、それもなかなか良い。


◆ 参 考

今回のしょうゆ焼きそばには、実は元ネタがあって、それは「大好きな炒め物」という本だ。


「ウー・ウェン」という女性が書いた、中華の炒めものについて書いたもの。
中華料理の本というと、よく「プロの技を教える」などというものが多いが、あれはほとんど参考にならない。
中華料理店と家庭とでは、コンロの火力をはじめとして、条件がまったく違うから、店でやるやり方など覚えても仕方ないのだ。

ウー・ウェンはこの本で、は中国の「家庭料理」を紹介している。
僕も今まで、料理の本は何十冊と買ったけれども、この本がいちばん参考になっている。
初心者にもいいと思うので、興味があればどうぞ。

2011-07-30

青年よ、炊飯器を捨て、鍋でめしを炊け


ひとり暮らしをするとなると、調理器具の筆頭として、まず揃えるのが
「炊飯器」
ということになるのだろうな。

べつに自分は炊飯器を好んで欲しいと思わなくても、親が
「このくらいは必要だから」
と無理やり持たせる、なんてことになるに違いない。

しかしこの炊飯器、邪魔じゃないか。
ひとり暮らしの狭いキッチン、置くとこあるのか。

流し台に置いてしまったら、もう料理する場所がなくなってしまうだろう。
冷蔵庫の上には電子レンジが鎮座してるんじゃないのか。
そうするとキッチンじゃなく、居間の戸棚とか本棚とか、そのあたりに置くことになってしまっているんじゃないのか。
ご飯を炊くと、蒸気で本棚の本が湿気ってしまうとか、そういうことになってしまっているのじゃないか。

まあ実際のところどういうことになっているのかは知らないが、狭いひとり暮らしの家で、炊飯器がかなり邪魔くさい存在になっているのは間違いないところだろう。

僕が言いたいのは、
「それならそろそろ、『脱炊飯器』してしまったらどうなのか」
ということだ。


◎ 炊飯器を使う理由


だいたいそんなに邪魔くさい思いをしてまで、炊飯器を使いつづける理由があるのか。

「炊飯器がないとめしが炊けない…」
んなこたない。
人類は炊飯器が存在する以前からめしを炊いていたのだ。

「炊飯器のほうがめしがうまく炊ける…」
それも違う。
炊飯器より、土鍋で炊いたほうがよっぽどうまい。
普通の片手鍋でも、下手な炊飯器よりはうまい。

「炊飯器だと手間がかからない…」
それは多少は言えるかもしれないが、鍋で炊くのだって、そうそう手間なぞかからないのだ。

「保温機能が付いているから便利…」
大家族や食堂なら別として、ひとりで暮らしているのだから、炊けたらすぐに食べればいい。
それに食べ終わったご飯はすぐに冷凍しないと、次の食事の時間には食べられなくなっているだろう。

このように少なくともひとり暮らしの家においては、
「炊飯器を使いつづける積極的な理由などない」
のに、なぜかめちゃくちゃ邪魔くさい思いをしながら、炊飯器が置かれていることになっているのだ。


◎ 「文化的である」という幻想


炊飯器は戦後、高度経済成長の始まりと共に開発された。
この頃「家電」が本格的に使われるようになったのだよな。
冷蔵庫、洗濯機、掃除機、テレビ、エアコン…。
多くはアメリカから入ってきて、やはりこれは、圧倒的に「文化的」な感じがしたのだろう。
戦後の廃墟から立ち上がろうとする日本人にとっては、まばゆいばかりの輝きを放っていたのだろうな。

炊飯器はそういう家電の中にあり、さらに独特な地位を占めるにいたっただろう。
なぜならこれは完全に「日本発」の技術だからだ。
アメリカでめしは炊かないからな。
だから日本人にとって、炊飯器はさらに独特な思い入れもあったのかもしれない。

そうやって「文化の代表」として使われ続けてきた家電だけれども、そろそろここらあたりで、ほんとうに必要なものとそうでないものとを、きちんと仕分けしてもいいのじゃないかと思うのだよな。

冷蔵庫のように、圧倒的に必要であると思えるものもある。
でも意外にそれほど必要でもないものも多いと思うのだよな。
今年は「エアコン」が、節電の影響で、「思っていたより必要じゃなかった」ことが明らかになりつつあるかもしれない。

その中で炊飯器は、ひとり暮らしの家にとっては、
「圧倒的に必要じゃない」
ものであるのじゃないかという気がする。
むしろ「弊害」の方が、大きいと思うのだよな。


◎ 炊飯器の弊害

炊飯器の弊害として、まず第一に言えるのは
「邪魔くさい」
ことなのだけれど、炊飯器の弊害はそれだけにとどまらない。

初心者にとって
「料理の本質を見えなくさせる」
ことがあると僕は思う。

まず献立的な側面がある。

これは何度も言ってきたことなのだけれど、炊飯器があると、初心者が「食事を作ろう」と思う時、
「まずはめしを炊いて…」
ということになってしまう。
しかしそう思ってしまうことが、どれだけ「料理のやる気」を失わせることか。

めしを炊いてしまうと、それをきちんとした「食事」に組み込むためには、多くの場合
「味噌汁」
が必要になる。
それからさらに
「おかず」
も必要になる。
どれもそれなりに「火」を使わないとできない。

「食事のたびに、火を使って3品も作らなければいけない」となると、やる気をなくすのも、もっともなことだろう。

めしを炊きさえしなければ、もっと手軽に豪華な食事を作ることはいくらでもできるのに、炊飯器があるために、それがわからなくなってしまうのだ。

さらに
「米を料理する」
ことそのものについての問題もある。

「米」は日本人にとって、いちばん大事な、中心的な食材だろう。
それを料理するにあたって、炊飯器を使ってしまうと、「米を料理する」ことが、
「まるまるブラックボックスへ入ってしまう」
ことになる。

今、炊飯器を使わずに米を炊ける人は、ほんとに少なくなっているのじゃないか。
でもなぜ日本人は、自分にとっていちばん大事な食材を料理するのに、その方法を知らないのか。
その方法を知らずに、平気でいられるのか。
それがわからない。

自分にとっていちばん大事なものを、自分でやらずに機械に任せてしまうことなど、文化的でも何でもない。
ただの「丸投げ」だ。

また「米料理」を自分でしないものだから、初心者は
「米料理に様々なバリエーションがあること」
もわからなくなってしまう。
炊き込みご飯。
おかゆ。
これはめしを自分で炊いていれば、何のことはない、それの単なるバリエーションなのに、炊飯器を使ってしまっているために、えらく敷居が高いものとなってしまっている。

これは文化的であるどころか、むしろ
「文化を喪失しつつある…」
そのようにすら言えるのじゃないか。


◎ 青年よ、炊飯器を捨てよ

したがって僕は提案したい。

「青年よ、炊飯器を捨てよ。鍋で米を炊け」

今、原子力発電所だって、使うのをやめようかと言われるような時代だ。
炊飯器を捨てることなど屁でもない。

しかし僕は確約する。
炊飯器を捨てることにより、
「大きく広がる料理の世界がある」
ということを。


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◎ 鍋でめしを炊く方法

めしはほんとうは、「土鍋」で炊いたほうがうまいのだ。
めしを炊くには、とにかく
「高温である」
ことが大事で、土鍋は鉄やステンレスの鍋よりも、蓄熱の度合いが高く、高温を発することができる。
「かまどさん」という、めしを炊く専用の土鍋があり、これで炊いためしは、それこそ
「ヤバい…」
あまりにうまくて、おかずが全くなしでも、いくらでも食べられてしまうくらいだ。

しかし誰の家にでもあるだろう、ラーメンを作るときのような普通の「片手鍋」でも、めしは炊飯器に引けを取らないうまさで炊けるから、まずはそれを試してみたらいい。
土鍋がすでに家にある人は、それを使ったらいいが、やり方は片手鍋とまったく同じだ。


まず米を研いで水に浸しておく。これは炊飯器と同じだ。

ほんとうは普通の米をちゃんと自分で研いだほうがうまいけれど、無洗米だってかまわない。

問題は
「水加減」
で、これは炊飯器を使うと、内釜に刻んである目盛りに任せてしまうから、ほとんどの人がよく知らないだろう。

まず大事なことは、
「水加減は適当でも、それなりにおいしく炊ける」
ということだ。

やっているうちに微妙な加減がわかってくるのだが、適当にやったって、死ぬほどまずいめしになることはない。
だから、怖れずに色々やってみたらいいのだ。

水加減の基本は、自分で米を研いだ場合、
「米の量の1.1倍」
だ。

ちなみにこれはなぜかというと、
「水がちょうど米に同じ体積だけ吸い込まれ、あとは水蒸気で放出される」
という意味なのだ。
米は炊かれて、自分と同じ体積の水を吸収することにより、「めし」になるのだ。

ところがこの1.1倍という分量は、水が「まったく吹きこぼれなかった場合」の話で、これに鍋から吹きこぼれる水の量を足さなければならない。
これが、鍋によって違うのだ。

僕は
「150ccの米に対して、200ccの水」
でやる。

また無洗米を使う場合、無洗米はカップに同じ分量でも米の体積が多いのと、研がずに乾いた米に水を入れるから、米が吸収する水の分量を計算に入れないといけない。

僕は無洗米の場合、
「150ccの無洗米に対して、250ccの水」
でやる。

これを目安にして、色々やってみたらいい。
水がちょっとくらい多くたって少なくたって、食えないほどまずくなることは絶対ない。

米を研ぐ場合、鍋でそのまま研ぐだろう。
一度きちんと水を切らないと、水加減がわからなくなってしまう。
研いだ米をザルに空けてもいいのだが、いちいちザルを使うのはめんどうくさいから、手で米がこぼれないようにおさえながら、鍋をかたむけて水を切るようにする。

米は水に浸したら、最低でも30分以上、そのまま置いておく。


米を水にきちんと浸したら、いよいよ火にかける。

火加減で大事なのは、
「めしは鍋の温度が高ければ高いほどうまく炊ける」
ということだ。

ただここで、あまり火を強くし過ぎると、吹きこぼれが激しくなりすぎるので、その兼ね合いで火加減は決まることになる。

だから、まあ要は
「中火…」

なんてことない妥協策だ。

しかしここで注意しないといけないのは、
「吹きこぼれるからといって弱火にしてはいけない」
ことだ。
吹きこぼれは承知のうちで、ある程度の火の強さを保たないと、おいしいめしは炊けない。

それでだんだん鍋から水が吹きこぼれ、蒸気も出て、水がガンガン沸騰する状態になる。

問題は、
「いつ火を止めたらいいか」
だ。

吹きこぼれがだんだん収まってくる。
鍋から出る蒸気の勢いが、だんだん弱まってくる。

そしてそのうち、
「チリチリ…」
という音がし始める。

これは鍋の底で、わずかに残った水が蒸発を始めたことを示す音だ。
この音がし始めたら、「鍋に水がなくなってきた」ということだから、ここで火を落とすことになる。


ただここで、非常に大事なポイントがある。

「火を完全に落としてしまわない」

ことだ。

水がなくなると、米は「蒸らし」という状態に入る。
米粒の中に入り込んだ高温の水が、さらに米をふっくらとした状態へ仕上げてくれるのだ。

ここで、「ある一定の温度」が絶対に必要なのだ。
温度が低いと、めしがふっくらと仕上がらない。

だから、
「最も小さなとろ火」
の状態にして、3分から5分くらい。
あまりやり過ぎると、今度は鍋底が焦げ付いてくるので、そうならないくらいの間、火をつけておくようにする。

こうやって火をつけておくことは、温度を下げないことと、さらに鍋の中の余計な水分を飛ばしてくれる効果もある。
これをやるかやらないかで、めしの味は大きく変わるから、ぜひ忘れないでやってみてもらいたい。

火を完全に止めたら、さらに5分ほど蒸らして、めしは炊き上がりだ。


自分で鍋で炊いためしは、炊飯器に任せて炊いためしより、はるかに愛着がある。
その愛着が、また「うまさ」を倍増させるのだ。

もし「めしが硬すぎる」とか「やわらかすぎる」とか不満を感じたら、水加減や火加減をいろいろ変えてみる。
そうやって様々に試行錯誤をしながら、自分の技術を向上させていくことができるというのも、
「めしを自分で炊く」
ことの大きな楽しみだ。

2011-07-29

異常に簡単に作れ、しかもうまい、肉じゃがの作り方


「初心者に料理の手ほどきをする」
という観点で考えると、ほんとうはこの肉じゃがはまだ早くて、焼きそばだのソーミンチャンプルーだのをもう少し徹底的にやりたいところなのだけれど、こちらが毎日の食事を食べる順番というものもあるから仕方ないのだ。
毎週木曜日はグルメシティが「木曜モックン」の特売日で、そこで米国産の牛コマ肉が安く出るから、「それじゃそれで肉じゃがを作ろう」という話になる。

しかし肉じゃがもひとり暮らしにはうってつけの料理で、炭水化物から肉、野菜までが入ったものを一回の手順で作ることができる。
また酒にもご飯にもよく合い、しかも作るのは簡単。
さらに和食の「煮物」の基本でもあるから、ひとりメシの初心者がこれを作ってみるというのは悪くないのです。


◎ 献立としての肉じゃがの位置付け

献立として肉じゃがを考えると、ジャガイモという炭水化物がたっぷり入り、肉も野菜も揃っているのだから、おかずとしてはこれだけでいい。
これに酒、というのが、晩めしとしてはいちばん手軽な取り合わせだ。

「酒は飲まない」という場合、栄養だけ考えたら肉じゃがだけでもいいのだけれど、やはりそれでは食事として成り立たないところがあるから、ご飯に漬物でも添えれば十分。
煮物は料理自体に汁気が含まれるから、味噌汁は付けなくてもまったく寂しい感じはしない。


◎ 和食の「煮物」の考え方

「煮る」とか「煮込む」とかいうと、どうしても「カレー」とか「シチュー」とか、思い出してしまうところがありますよね。
でもあれはあくまで西洋流の煮込み料理。
「肉を何時間もかけてコトコト煮る」などということを日本ではしないのだ。

日本には煮物は2通りある。

1つは「おでん」みたいに、汁を沸騰させずにゆっくり煮るやり方。
もう1つはこの肉じゃがみたいに、強火で煮て、汁気を飛ばして煮詰めるやり方。

これはどちらも、料理をしたことがない人はあまり馴染みがないと思うのだけれど、西洋にはない、日本独特(なのか中国由来なのか)のやり方だから、
「日本の文化を知る」
という意味でも、これは知っておいて悪くはないのだ。



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◎ 肉じゃがの作り方

材料は、ジャガイモ。ニンジン。玉ねぎ。それに牛コマ肉。アメリカ産の牛コマ肉は、スーパーへ行くと驚くほど安く売っている。
これに大根やしらたきなんかを入れてもうまい。

野菜は適当な大きさにザクザクと切る。
肉じゃがの場合、野菜はあまり小さく切ってしまわず、ゴロゴロとさせたほうが、食べ応えとして楽しい。
切り方は料理の本を見ればいろいろ載っているのだけれど、なあに、そんなの気にせず、好きなように切ればいいのだ。

初心者が料理をしようとする時、そのエネルギーにブレーキをかけてしまう一番大きなこととして、
「もしかしたらもっと本式の、ちゃんとしたやり方があるのじゃないか」
と思ってしまう、ということがある。
自分のやっていることなど、素人じみた、つまらないことなのじゃないか。

でもそんなことを考えてしまうことほど、つまらないものはない。
料理など、いくらでも自分が好きなようにやったらいいのだ。
それでその後に、「もっといい」と思えるやり方を見つけたら、それに変更したらいい。
料理は「まずやってみる」ことが大事で、素人だとか玄人だとかいうのは、料理にはまったく関係ないのだ。

ジャガイモは、切ったらすぐに、水に浸しておく。
こうするとジャガイモから余分なでんぷん質が抜けて、煮崩れしにくくなる。

これは好みなのだが、まずはジャガイモとニンジンだけを煮る。
玉ねぎは煮上げる直前に入れて、シャキシャキ感を残したほうがうまい。
これは料理研究家 小林カツ代の方式。
でも玉ねぎはやわらかいほうが好きだという人は、最初から煮たっていい。

肉じゃがを作るには、フライパンを使う。
日本式の汁気を飛ばして煮詰める煮物は、フライパンでやると、平たいのですごくやりやすい。
魚を煮付けるのも、フライパンが一番。

ジャガイモとニンジンをフライパンに入れ、そこに
「カップ1杯」
の水を入れる。

ここで初心者の人は、「カップ1杯」の水というのが、ぜったい不安になると思うのだ。
野菜に水が、まったくかぶらない。
でもこれでちゃんと火が通るから、心配いりません。

日本式の煮物というのは、考え方として西洋の煮込み料理とまったく違う。
西洋のやり方でいうと、煮るというより「蒸し焼き」に近いのだな。

それでフライパンにフタをして、
「強火」
にかける。

もしフライパンのフタを持っていなければ、今日買いに行こう。
フライパンのフタは非常に便利で、絶対あったほうがいいです。

煮立ってきたら、そのまま3分ほど煮る。

そしたらここで、牛肉を入れる。
それから、スプーンに山盛り4杯か5杯くらいの砂糖。
この「スプーン」は、僕が使うのはカレーを食べるときとかの普通のスプーン。
計量スプーンとか、使わないに越したことはないです。
調味料で気を付けないといけないのは、「塩気の加減」だけで、これは辛すぎると料理が台無しになってしまうけれども、あとは適当でいいんです。

さらに醤油。
これはちょぼちょぼと入れてみて、味を見て、塩気がちょっと足りないかな、というくらいにしておく。

そしたらフタを閉めてまた煮る。

アクがけっこう出てくるのだけれど、これはまったく取らなくていいのです。
魚を煮る場合、アクは臭みのもとになるから丁寧に取った方がいいのだけれど、肉の場合は
「アクも味のうち…」
肉のアクというのは、要は「肉汁」で、うまみのもとなのだ。

見た目として気になる場合はちょっと取ってもいいのだけれど、あまり取り過ぎるとうまみがなくなってしまう。
とくにこの肉じゃがの場合は、アクが、味の大事なポイントとなるので、絶対に取らないほうがいい。

それでまた3分くらい煮る。

ここで味を見て、ちょうどいい加減になるまで醤油をたす。
そして玉ねぎを入れる。

それからまたフタをして、2分くらい

そしてですねえ、沸騰が始まってから、きっかり10分たったらフタを取って、煮詰め作業に入るのです。

これは、ほんとにきっかり10分。
それより長いとジャガイモが煮崩れるし、短いと煮足りない。

フライパンの上下を返しながら、煮汁が「ほとんどない」というところまで煮詰めていく。
フライパンを揺すって上下を返せれば、そうしたらいいんだけど、汁も入っているし危ないので、無理せずフライ返しでやるのもいいかも。

汁が煮詰まったら、完成です。

これはポイントとしては、かならず
「七味唐辛子」
をふって食べる。
これは作家 池波正太郎のやり方。
七味があるのとないのとじゃ、味が10倍くらい違います。

青ねぎもふるといい。見た目がいいから。
肉じゃがに青ねぎをふるというのは、僕が広島にいる時に覚えたやり方。


この肉じゃがの作り方は、ケンタロウとか、ためしてガッテン、あと海軍式の肉じゃが、池波正太郎のすきやき、などなどのいくつかのレシピを参考にして、僕流にアレンジしたものです。
(あ、でも正確にいうと、ケンタロウやためしてガッテンがどうやって作っていたかは、ちゃんとは覚えていない)
野菜は炒めないし、アクも取らない、調味料も砂糖と醤油だけ、というとても簡単なやり方ですが、間違いなく非常にうまいです。
ぜひ試してみてください。

2011-07-28

焼きそば麺を買い忘れ、ソーミンチャンプルーになりましたの巻


僕は今「ひとりメシ初心者シリーズ」を始めていて、ほんとは昨日は「長ネギの焼きそば」を作りたかったんですよね。
長ネギの焼きそばは、焼きそばの中でも基本だから、まずはそれをやりたいなと思って。

それで長ネギを切り、豚肉を切り、冷蔵庫を見たら焼きそばの麺がない。
買い忘れていたんです。

でもすでに夜の10時半。もう今からスーパーへ焼きそば麺を買いに行く気もしない。

というわけで、手近にあった素麺を使ってソーミンチャンプルーにしたら、これが意外にうまかったというわけなのでした。



材料は、まず豚コマ肉。
豚肉は、スーパーへ行くと色んなものが売ってるけれど、中途半端にアメリカ産のバラ肉などを買ってしまうのだったら、それよりむしろ安い、「日本産の豚コマ肉」の方が、全然うまいです。
ただこれはスーパーによってかなり違いがあって、グルメシティの豚コマ肉はうまいけれど、西友のはまずい。

それから長ネギをザクザクと斜め切りにする。
これは青いところも使います。捨ててしまうのはもったいない。

炒め物をする時には、あらかじめ調味料も合わせておきます。
酒と淡口醤油、それにチューブの生姜。
淡口醤油にするのは、そのほうが色が付かず、きれいに仕上がるから。普通の醤油でもいいです。

ソーミンチャンプルーは、ツナ缶を使うのが基本で、その場合は調味料は塩コショウだけでいいんだけど、豚肉を使う時は、あるていど味をしっかり付けないと、おいしくならないみたいですね。

それからもちろん、素麺。僕は2束。


まず素麺をゆでる。

麺をゆでるには、フライパンが一番いいです。
水の量もいっぱい入るし、強火にしても吹きこぼれない。

素麺のゆで時間は2分ですが、まあそれより短めの時間で火から上げます。
あとで炒めるからね。

ゆで上がった素麺は、ザルにあけ、水洗いします。
手でちゃんともみ洗いする。

洗ったらよく水を切って、そのへんに置いときます。

いよいよ炒め作業開始。
まず豚コマ肉。
豚コマ肉は大きい場合があるので、そういう時は刻んでおく。

次に長ネギ。
ちょっとしんなりするまで炒める。

ここで調味料を入れる。
真ん中あたりを空けて、鍋肌から入れるようにする。
酒は沸騰させて、アルコールを飛ばさないといけないから。

材料をひと混ぜして、タレをからませる。
こうしてまず材料に味を付けておくんです。

そして、写真を取り忘れたんですが、素麺を投入。
これはある程度きちんと炒めた方がうまい。
麺は炒めることで、美味しくなるんですよね。

炒めながら、塩コショウで味付け。

皿に盛りつけ、おかかをたっぷりふる。

いやマイウーマイウー。

ご飯よりお粥の方が、ひとりメシには全然ラク


ひとり暮らしを始めて食事の献立を考えようとすると、
「まずご飯を炊いて…」
となってしまうところがあるんだと思うんですよね。

お母さんに炊飯ジャーを買ってもらって、
「これでご飯は炊けるから…」
なんて言われてたりするから、条件反射的に「食事にはご飯を炊くもの」と思い込んでいたりする。

でも僕に言わせると、これが諸悪の根源。

たしかにご飯は美味しい。日本人にとってこんなにうまいものはない。
でもご飯っていうのは、どうしてもそれ単品だと食べられないんですよね。
味噌汁なりおかずなりが欲しくなってしまう。

「ご飯に漬物だけでいい」という人もいると思うけど、やっぱりそれって「寂しい」と思うんですよね。

ひとりメシを考える時、かなり大事な問題として、
「どうやって寂しさから逃れるか」
ということがあると思います。

その点、「お粥」はいいんです。
僕はひとりで暮らしているのなら、ご飯を炊くよりいお粥を炊いたほうが、「手軽で豪華な食事」ができると思います。


よく献立の表現として、
「一汁一菜」
とか、言われたりしますよね。
一汁一菜はご飯に汁物と、それにおかずが一品あるという意味で、修行中のお坊さんが食べるような、質素な食事の例だけど、それだってご飯に、「汁物とおかず」が付いてくる。
だからご飯を食べるのなら、汁物もおかずも付かないものは、日本人の食事としては、「もう論外である」と、そういうことになっちゃうんですね。

ところがお粥ならば、この「汁物」と「おかず」を、ひと手間で作れてしまう。
ひとつの鍋で、一回の手順でできてしまうんです。

「いかに手をかけずに、しかも美味しいものを作れるか」
というのが、ひとり暮らしで料理をする場合、とても大事な課題となる。
僕はこれを
ミニマル料理
と呼んでいるんですが、お粥はミニマル料理として、ほんとうに優れていると思うんです。


◎ 鶏粥の作り方

お粥というと、
「炊いたご飯をさらに煮る」
と思っている人は多いんじゃないかと思います。
たしかにご飯が余っていたり、冷凍したご飯があるんだったらそうしたらいい。
でもそれだと、「おかゆはご飯より手軽」ってことにならないですよね。

おかゆは普通に、生米から炊けるんです。

そこに、今回は鶏肉を使ったけれど、豚肉でもソーセージでも、味の出るものを入れて一緒に炊く。
そうするとお粥だから、当然汁気があるわけだし、具はおかずになるわけだし、それだけで一食のきちんとした、豪華な食事になるというわけなんですね。

まず米は、普通に研いで、米の5倍の分量の水に浸しておきます。
100ccの米だったら、500ccの水。
そこにだし昆布を入れ、30分以上は置いておきます。

これを火にかけ、沸騰したら、まずだし昆布を取り出す。

それから鶏肉、僕は「モモ肉」を使いますが、これを食べやすい大きさに切ったものを入れる。
鶏肉の量は、好きなだけ入れたらいいです。
いっぱい入れた方が美味いです。

それから玉ねぎを半分か4分の1くらい、薄切りにしたものを入れる。

アクが出てくるから、それをささっと取る。
肉を煮るときのアクは、そんなに真剣に取らなくていいです。全然取らなくてもいい。

それから味付け。
酒を「どぼどぼどぼ」と入れる。
分量は適当でいいんです。

それから塩を入れる。
これはよく味を見ながら入れて、「ちょっと足りないかな」というくらいにしておく。
塩は足りなければ、あとでいくらでも足せるけれど、入れすぎるとどうしようもないからね。

鍋にフタを斜めにかけて、弱火でコトコト炊く。

所要時間は、10分から15分くらい。
鍋の状態を見て、汁気と米のバランスが好みの状態になったところで火を止める。

食べる時は、器によそったら、「コショウ」をふる。これがポイントです。
青ネギなんかをかけても、美味しくなるし、見た目もいい。

どうです、簡単でしょう。


◎ 「酒」はかならず塩分の入っていないものを選ぶ


ここでひとつ、大事なポイントがあります。

「酒は塩分の入っていないものを選ぶ」
ことです。

よく「ミツカンの料理酒」とか、スーパーで安く売っていますが、あれは絶対買っちゃダメです。

酒は塩分を入れると、税率が安くなるというので、安い料理酒には塩分が入っています。
酒はたっぷり使うと、手軽に美味しくなるんですが、塩分が入っていると、塩加減は狂うし、料理の手順もめちゃくちゃになるし、いいことがありません。
値段はちょっと高くなるけど、塩分の入っていない酒を買うことが大事です。

よく「タカラ本料理清酒」というのが売ってますし、それがなければ、安い日本酒でもいいんです。
一般に、材料は節約しても、調味料はいいものを使った方が、料理は美味しくなります。

2011-07-27

炭水化物とおかずをひと手間でつくれる焼きそばは、ひとり暮らしメニューの優等生


一人暮らしで自炊するとなると、メニューに「炭水化物」をどのように取り入れるかというのは大きな問題だ。

「ご飯を炊く」というのが王道ということになるのだろう。
しかしこれは、「どうしてもご飯じゃないとダメ」という場合を別として、けっこうめんどうくさい。

まずご飯を炊くというのが、けっこう手間がかかる。
30分以上前には米を研いで水に浸しておかなければならない。
ご飯が余るとラップにくるんで冷凍庫に入れないといけない。
炊飯器の内釜を洗わないといけない。

さらにご飯を炊けば、どうしたって味噌汁がいるだろう。
ご飯におかずだけというのは、日本人としては普通耐えられない。
そうなるとご飯に味噌汁、そしておかずと、3品も作らないといけないことになる。
これは自分一人の食事を作る手間としては、大きすぎだと言わざるをえない。

そこでなんとか、「炭水化物を含んだおかず」を作れないかと考えることになる。
その解決策として、
「焼きそば」
はかなりの優等生なのだ。



焼きそばにはご承知の通り2種類ある。

1つは、
「具と一緒に炒めるタイプ」

これは作り方として、まず具を炒め、タレを注ぎ込み、そこに焼きそば麺を投入して具と一緒に炒め上げる、という手順になる。
これは炒め物を作るのと、手間としてほとんど変わらない。
洗い物も増えない。
ご飯を炊いて、味噌汁を作って、さらにおかず、というのとは天と地ほどの違いがある。

それからもう1つは、
「あんかけ焼きそば」

これはまずフライパンで焼きそば麺をこんがりと焼く。
焼けた麺は皿にうつし、今度は同じフライパンであんを作る。
炒め物とくらべてひと手間増えるが、洗い物は変わらない。

僕は食事のとき酒を飲むが、やはり炭水化物もあったほうがいい。
そこでこのところ、焼きそばは多投されているのだ。


◎ 焼きそばメニューの基本的な考え方

焼きそばというと、どうしても、
「肉とキャベツを入れて粉末ソースをふりかけたアレ」
を思い出してしまう。
縁日の屋台などで紅しょうがを添えて出てくるやつだ。
しかしいくら何でも、それを毎日食べるわけにはいかない。

中華屋で焼きそばを食べたことがある人なら、縁日の焼きそばとは違った焼きそばがあるのは知っている。
でもそれだって、何種類もあるわけじゃない。
毎日食べるわけにはいかないだろう。

ここで毎日のように焼きそばを食べ続けるための「考え方」が必要となる。
それは、
「焼きそばを、炒め物に焼きそば麺がプラスされたものと考える」
ということだ。

「焼きそば」を一体のものとして考えるのでなく、「炒め物」と「焼きそば麺」とを分けて考えるようにする。
そうすると、この「炒め物」の部分は、「何だっていい」ことになるのだ。

「ゴーヤチャンプルー」に焼きそばを加えれば、
「ゴーヤチャンプルー焼きそば」

「チンジャオロースー」に焼きそばを加えれば、
「チンジャオロースー焼きそば」

自由自在だ。
焼きそばのバリエーションは、一気に広がることになる。

ただしここで気を付けないといけないことが1つある。

「ナスの味噌炒め」のような粘度の高いタレを使う時、麺を一緒に炒めこんでしまうと、麺がパリッと仕上がらなくなる。
そこでそういう場合は、まず麺だけ焼き、そのあと、麺の上に炒め物をかけるという、
「あんかけ焼きそば風」
にする必要がある。


◎ 麻婆茄子やきそばの作り方

というわけで昨日作ってみたのは、
「麻婆茄子やきそば」

パリッと焼いた麺に麻婆茄子をかける。
これはいかにも美味そうじゃないか。

まずはフライパンで麺を焼きます。


多めの油をフライパンにしき、焼きそば麺を入れる。火は強火。
麺をほぐして丸く形をととのえたら、あとはかき混ぜたりせずそのまま焼く。
こんがり焼けた頃になったら上下をひっくり返し、同じように焼く。
焼けたら皿に取り出しておく。

次に麻婆茄子を作るわけだが、これをどのようにするかは考えどころだ。

料理の本を見ると麻婆茄子は、けっこうめんどうくさい作り方がされてるはずだ。

  • 茄子を素揚げする
  • フライパンに油をしき、まずニンニクとショウガ、長ネギ、唐辛子のみじん切りを炒める
  • そこにひき肉を入れ炒める
  • 酒や醤油などの調味料を入れる
  • 水を入れ、素揚した茄子をもどしてちょっと煮る
  • 片栗粉でとろみを付ける
  • ゴマ油をたらして風味付けをする

これはもちろんそれぞれ理由がある。

ナスと油はとても相性がいいので、揚げると美味い。
ニンニクやショウガ、長ネギ、唐辛子等々の香辛料は、油で揚げると香りが引き出される。
ゴマ油を最初から入れてしまうと風味が飛ぶから、最後に入れる。

これらは油の使い方について研究に研究を重ねた、中華料理ならではのテクニックだ。
たしかにこうやると美味いというのは間違いない。

でも物事は、ちょっとしたことを省くだけで、「ずいぶんラクになる」ということがあるものだ。
そこで上の油に関するテクニックは、すべて省くことにする。
だいたい料理の本というものは、必要以上に「テクニック」や「小技」を載せたがるものだ。
しかしおおよそ、そういうものはすべて省略してしまっても、味は大して変わりがない。


まず初めから、たっぷりのゴマ油をフライパンに入れる
火を通すと多少香りは落ちるが、べつに気にするほどのことでもないのだ。

これでひき肉をよく炒める。
ひき肉は本当は豚が美味いのじゃないかと思うのだが、昨日は豚ひき肉、小さなパックがなかったので、牛との合い挽きにしておいた。

ひき肉に火が通ったら、食べやすい大きさに切ったナスを入れる。
ナスは揚げない。炒めるだけ。
ナスは油を吸うから、油が足りなくなったら、ゴマ油を足してもいい。

そこにまずタレを入れる。
タレはたっぷりの酒と、醤油、それにチューブのニンニクとショウガ。
それに韓国唐辛子をたっぷり振り入れる。
ニンニクとショウガはチューブのものを使う
唐辛子は韓国唐辛子を使う。
こうすると、べつに油で処理しなくても、それなりの風味がちゃんと出る。

そこに水を加え、ちょっと煮込む。
最後に「水で溶いた片栗粉」を加え、とろみを付けて出来上がり。
焼きそばの上にかけて食べる。

ところがですねえ、これだけ書いておいて何ですが、昨日はちょっと失敗してしまったのです。
水が少なすぎて、とろみを付けたら、汁気が全く残らなかった。
やはりあんかけ焼きそばは、とろみの付いたあんがパリッと焼けた焼きそばをふやかしていくところが美味しいわけだ。
全くそうならなかったというのは、残念でした。トホホホ…。

でも味については、上の作り方で間違いないです。(と力説)