おばちゃんから買った、玉ねぎを消費しないといけないわけだ。
昨日の投稿に書いた通りなのだが、三条会商店街で露店を出している上賀茂の農家のおばちゃんから、袋いっぱいの玉ねぎを買ってしまった。
これ絶対に使い切れるとは思えないのだが、いちおうは努力して見せなければいけないだろう。
ちなみに僕は、食材を使い切れずに捨ててしまうということについては、一人暮らしで料理をしようという場合、あまり神経質にならないほうがいいという考えだ。
だいたいスーパーでも個人商店でも、売っているものの単位が多すぎる。
一人暮らしで使い切ろうとすると、けっこう大変なのだ。
買い物の仕方や、献立の工夫などで、それなりに使い切れるようにはなるのだが、でも気付くと毎日同じものを食べていたりとかすると、とくに初心者の場合、料理をすること自体が嫌になってしまう。
「食材を捨てる」ことが「悪」だという考えは根深くあって、僕なども子供の頃から、「農家の人の努力の結晶なのだから、米は一粒だって残しちゃいけない」と言われて育ってきた。
たしかに残さないほうがいいに決まっているけれど、そう考えるあまり料理が嫌になってしまうくらいだったら、思い切って捨ててしまったほうが身のためなのだ。
とは言っても、あれだけの量の玉ねぎを、「使い切れないかもしれない」と思いながらも買ってしまったのは自分なのだから、この場合そうそう簡単に戦意を喪失するわけにはいかないというわけなのです。
それで「玉ねぎの料理」というものを色々考えてみるのだけれど、玉ねぎが主役の料理というのは、とんと思いつかないのだよな。
玉ねぎが主役といって、かろうじて思い浮かぶのが、オニオングラタンスープとか、オニオンリングとか、玉ねぎのサラダとか、そのくらい。
あとはどうしても、玉ねぎというのは「他の食材の味を引き立てる」役割を果たすことが多いのだよな。
だからとりあえず、肉じゃがを作ってみたりしたのだが、これは玉ねぎにしてみたら、肉やジャガイモの味を引き立てる役目だし、昨日作ったのは「チンジャオロースー焼きそば」なのだが、これはピーマンの味を引き立てる役目になってしまう。
まあ玉ねぎってのは、そういうやつだということなんだな。
野菜というのは、けっこうそれぞれ、性格があるのが面白い。
圧倒的に主役しか張れない人たちがいますよね。
これは代表格は、ほうれん草。
ほうれん草って、他の野菜と合わせると、徹底的に合わなくないですか。
ほうれん草と相性のいい野菜があったら教えてほしい。
だからだいたい、ほうれん草はおしたしという、それ単品の料理が一番ポピュラーだということになるし、あえて合わせるとしても、豚肉とかベーコンとかくらいなもので、それだってあくまで、ほうれん草の味を引き立てるという役目になるわけなんですよね。
あとはナス。
これも協調性がないですよね。
だいたい単品で煮付けるか、漬物や塩もみにするか、そういうことくらいにしか使えない。
唯一の例外が、ピーマンですよね。
ナスとピーマンの味噌炒めは、定番メニューの一つだけど、わがままなナスくんに対して、ピーマンくんだけは味方になってやるわけだ。
そのピーマンというのも、けっこう個性が強い。
まあそれでも、他の野菜との相性は、そこそこ悪くはなかったりする。
ほうれん草とかナスとかみたいな「一匹狼の野菜」は、やはり「アクが強い」んですよね。
そのアクが、その野菜の個性であり、うまみであるのだけれど、個性が強すぎるから、他の材料を殺してしまう。
そういうやつはどこの世界にもいるってことですね。
それに対して、異常に協調性が良い人達もいる。
典型は、長ネギ、玉ねぎあたりでしょう。
この人たちは、自分で主役を張ることはできないけれど、どんな相手と合わせられても、その相手を上手いこと引き立てて、美味しくしてやることができる。
「名アシスト」だってことですよね。
大根もけっこうすごい。
これはジャガイモやゴボウ、他の根菜一般とも共通する性質だけれども、「煮汁を吸い込む」という大技を持ってるんですよね。
だから大根の場合は、他人をアシストするというより、他人の汁を吸い込むことによって、自分が美味しくなってしまうという、ある意味ずるいことをするわけだ。
ということで、料理ってのは、いろんな材料を使っているうちに、それぞれの個性が解ってくるというのも面白いとこですな。
それで昨日食べたのは、「チンジャオロースー焼きそば」。
これは最近凝っている、「炒め物焼きそばシリーズ」の一環。
どんな炒め物でも、そこに中華麺を加えれば、焼きそばになってしまうのではないかという、壮大な仮説に基づいて行われているプロジェクトだ。
なわけない。
これは同時に、「玉ねぎ消費プロジェクト」の一環でもあって、ピーマンを引き立てるのに玉ねぎを使うという企画。
まあ無難な線ですな。
作り方は想像通り。
豚肉、ピーマン、玉ねぎをできるだけ細長く切って炒める。
そこに「酒、淡口醤油、チューブのにんにくと生姜」からなるタレを「ジャー」と注ぎ込み、全体を軽く混ぜる。
焼きそば用の蒸し麺を入れ、麺をほぐしながらタレを吸い込ませ、汁気がなくなり焦げ始めるところまで炒めたら出来上がり。
この「酒」は、たっぷり入れると美味いのだけれど、昨日は入れすぎて麺がふやけたようになってしまった。
何事もやり過ぎはダメだということですな。
酒は芋焼酎を1合半。
焼きそばにはやはり、日本酒は全然合わなくて、ビールとか焼酎でないとダメですね。
焼酎も慣れると、常温のストレートで十分イケる。