2012-01-21
金目鯛をみつけてオタオタしないためのおさらい。
「金目鯛のちり鍋」
世の中に、「今日の晩御飯は金目鯛の煮付けにしよう」などと思って買い物に出る人は、ほとんどいないでしょう。
鯛やブリなら、切り身にしても、あらにしても、どの魚屋でも、スーパーでも、年中置いているから、
「今日魚屋へ行けば、ブリのあらが売っているだろうから、それを買ってブリ大根にしよう」
などと考えることができる。
ところが金目鯛の場合、魚屋に出ることが、めったに無いわけですよね。
金目鯛は、年中獲れるのだけれど、養殖ができませんから、獲れるときと獲れないときに大きく差があり、漁獲量が不安定なのだそうです。
だから魚屋でもスーパーでも、思い出したようにポッと、置かれることになる。
そうなると、たいがいの人は、自分が家を出るときに考えていたものを買って帰るものだから、立派で、いい色をした、いかにもおいしそうな金目鯛のあらが、「えっ」というような安い値段を付けられて、売れ残っていたりすることがあるわけなんですよね。
そういう金目鯛のあらを見かけたら、やはり迷わず、手を伸ばしたいものだと思うわけですが、料理の方法が分からないと、つい尻込みしてしまうこともあるでしょう。
ですからいつ、金目鯛のあらに出会ってもいいように、料理の方法をあらかじめ知っておくことは、決して無駄ではないですね。
そこで今回は、金目鯛の料理法について、おさらいしておきたいと思います。
■ 塩焼き
塩焼きは、基本的に、どんな魚でも万能です。
金目鯛のあらも、「塩をふって焼いたらいい」と、魚屋のおばちゃんは言っていました。
これがいちばん簡単な方法ですよね。
ただ金目鯛は、ややニオイがあるので、塩焼きには向かないという説もあります。
■ 煮付け
金目鯛の料理法として、いちばん有名なのは、やはり煮付けですよね。
こってりと炊き上がった、脂ののった金目鯛は、たまりません。
あらを煮付けるときは、ていねいな下処理が必要です。
薄塩をふり、30分程度おいておく。
湯通しする。
金目鯛は、皮が弱いので、熱湯に浸してしまうと、皮が縮んで、剥がれてしまいます。
80度くらいまで冷めた湯を、やさしくかけ回してやるのがポイントです。
湯通ししたら、水でよく洗い、ぬめりや血のかたまり、ウロコなどを取り除きます。
煮付けるときも、あまり長いこと炊いてしまわず、切り身なら7~8分、あらでも10分程度で炊き上げて、トロッとした食べごたえを残したいですね。
■ 鍋物
金目鯛は、鍋にするのも最高です。
水で炊くちり鍋でも、汁に味をつける寄せ鍋でも、どちらでもOK。
作り方は、途中までは同じです。
まずもちろん、あらかじめ薄塩をふり、湯通ししておきます。
それから昆布だしに、酒をたっぷりと入れた汁で、あくを取りながら、7~8分煮る。
7~8分煮たところで、塩と醤油で味をつければ寄せ鍋に、味をつけなければちり鍋に、なるというわけなんですね。
野菜は、豆腐、長ネギ、えのき茸など、すぐに火が通るものの場合は、ここで入れて、汁が再び沸騰してきたら、ひと煮して火を落とす。
白菜とか、シイタケなど、火が通るのに時間がかかるものを入れるのならば、初めから、金目鯛を煮るのといっしょに入れてしまったほうがいいですね。
煮上がったら、火を落としに落として、汁を沸騰させないようにしておけば、しばらくはそのままでも、おいしく食べられます。
僕はひとりなので、丸ごとのあらをそのまま鍋に入れましたが、何人かで取り分けるなら、ぶつ切りにしておいたほうがいいですね。
魚屋ならば、言えばぶつ切りにしてくれます。
あらは何といっても、目のまわりがうまい。
目玉のあたりを丸ごと口に入れ、ゼラチン質のどろどろを吸い取って、目玉と、そのまわりの軟骨状のものだけ口から出すのが食べ方です。
タレはポン酢醤油に大根おろし。一味唐辛子をふり込みます。
金目鯛は、天然モノですから、やはり養殖モノとは味がちがいます。
さすが広々とした大海原を、泳ぎ回っているだけあり、養殖モノのような濁った感じがまったくなく、味が澄み切っているんですね。
ちなみにこの金目鯛のあら、カマの部分もまるまる付いて、500円でした。
濃厚なだしの出た汁は、うどんでも、雑炊でも。
ちり鍋にしたときは、塩と少しの醤油で味付けします。