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2010-03-31

京の花見4 「祇園白川」

京都の繁華街の代名詞である「祇園」というのは、ちらっと歩いてみた印象では、東京でいうと、新宿と銀座をあわせたような場所なのじゃないかという感じがするのだが、ある一角だけ、むかしの街並みがそのまま保存されているところがあって、そこに流れる祇園白川という川沿いに、桜がぽつぽつ植わっている。

ここはもうなんといっても、その古い町並みと桜のコンビネーションを味わう場所なのだな。電柱もないから、江戸時代にタイムスリップしたような気持ちが味わえる。

近くを舞妓さんも歩いていた。

祇園白川


京の花見3 「木屋町通」

木屋町通というのは、京都の繁華街の一つで、南北に長くのびる、細い道の両脇に、若者向けの飲食店とか、風俗の店なんかが並んでいるという、東京でいうと渋谷に近いような場所なのじゃないかと思うのだが、道の脇には、高瀬川という、むかし運河だったという、小さな川が流れていて、その川岸に延々と、桜が植えられているのだ。その数が半端じゃないし、また桜の枝が、川面にせり出していたりして、とても風情がある。

この一帯の建物は、とくに京都らしくもない、ふつうの無粋なビルが多いのだが、それを川と桜が、まったくちがう世界へ一変させているようで、昨日まわった平野神社と京都御苑、そして今日この後まわった、祇園白川、知恩院、円山公園、鴨川の中では、ここの桜が、僕はいちばん好きだな。

木屋町通

京の花見2 「京都御苑」

昨日は平野神社につづいて、やはり満開との情報を得た「京都御苑」へ。ここはさすが、ずっと天皇がいて、さらに今でも御所がある場所だから、ほんとに広くて、立派なのだよな。植わっている木はほとんどが松なのだが、南の方から上がっていくと、松に混じって所々に、きれいな桜が見られる。

ヤマザクラ。たぶん。

ボタンザクラ、かな。ようわからん。

圧巻なのは、いちばん北側にある、児童公園から近衛池にかけての、シダレザクラ。

いやいやいや。ここはさすが、御苑だけあって、とにかく桜がいっぱい、というのじゃなくて、この場所にこの品種、というのを、計算して植えている感じがする。平野神社とちがって、宴会できる場所はないのだが、あたりまえだ、三脚を立てて、でっかいカメラで写真をとっている人たちが、何人もいた。


2010-03-30

京の花見1 「平野神社」

今日はまだ寒かったが、昨日とは打って変わったいい天気。いよいよ花見シーズン到来というわけだ。誰にどんなに責められようが、って誰も責めないが、この時期京都にいて、桜を満喫しないのは、花火大会で花火を見ないようなもの、つけ麺を食ってスープ割りをしないようなもの、バチカンへ行ってミケランジェロを見ないようなものだからな。なんのこっちゃ。

先週末に、居酒屋のおばちゃんに、平野神社の桜が、今まさにきれいだと聞いていて、早く行かなくちゃと思っていたので、まずは来てみたわけだ。実際、ネットで開花情報をみてみると、京都の桜といってもいろいろで、今日の時点で満開のところはまだ少なくて、「つぼみ」という場所も多いのだよな。うまいこと時間を割りふって、ひと通り見てまわらなくちゃな。

西側の入口から入ると、花見客目当ての出店が立ちならぶ。その向こうに見える、おびただしい数の桜の木。

ここはすごいな、境内一面に桜が植わっていて、要は、植えられている木は、ほとんど桜なのだ。神紋も桜だそうで、気合がちがう。

花見用の縁台も用意されていて、平日の昼間だったから、利用者はほとんどいなかったが、夜とか土日はすごいだろうな。

当然僕も、一本いっておいた。

平野神社


2010-03-23

嵯峨天龍寺芒ノ馬場町 「湯豆腐 嵯峨野」

知り合いが東京から来ることになって、嵐山を回るのには、高槻の知り合いが案内するとのことだったが、昼めしを食う場所を案内してくれといわれ、こちらだって京都へはまだ来たばかりで、右も左もわからないわけだが、こういうときはクチコミサイトだよな、京福電車の嵐山駅ちかくで、一番人気だった湯豆腐の店へ行ってみることにした。僕も京都の湯豆腐は、まだ食べたことがなくて、こういう機会でもないと一生食べないような気もするから、丁度良かったとは言えるな。

京福電車の嵐山駅から桂川沿いを上がって、しばらく行ったら右に曲がるのだが、まずはおびただしい数の仏像さんがお出迎え。嵐山羅漢といって、近くの寺が呼びかけて、各地の人がそれぞれの想いをこめて、寄進しているものなのだそうだ。

広い敷地に趣きのある建物が建っていて、旅館かと思うほどなのだが、湯豆腐を食べさせるだけの場所なのだ。テーブルがいいか、座敷がいいかを聞かれて、どちらが眺めがいいかを尋ねたら、座敷のほうに案内された。この座敷というのが離れになっていて、中庭を通っていくのだが、この中庭も離れも風情があって、お上りさんとしては、いちいち感心するわけだ。座敷からはもちろん、中庭が一望できて、枝振りのよい桜も植わっていたから、まだ咲きはじめだったが、これからさぞきれいだろうな。

できて45年ほどとのことだったが、豆腐を食べるためだけに、これだけの建物を建ててしまうというのが、観光客相手であるにせよ、京都人の風流というものなのだろうな。

出てきた料理は、いちいちうまい。というか、正しく言えば、出てきたのは、もちろんメインは豆腐なのだが、あとは温泉玉子だったり、コンニャクだったり、小魚を甘辛く煮たものだったり、野菜の天ぷらだけは、唯一料理といえそうなものだったが、あとはうまいとまずいの基準をどこに据えたらよいか、わからないようなものばかりなのだ。しかしこの建物で、この庭を見ながら食べると、うまいという以外に、思うことはできないのだ。最後に出てきたのは、豆腐味のプリンに、ブルーベリーのソースをかけたものなのだが、これをホテルかどこかで食べたら、貧相な味だと思うかもしれないところ、ここで食べるから、滋味あふれる素朴な味わい、ということになるわけだ。これはやはり、都の人の力技だな。

帰り際に、こういうところはまったく気がきいて、細かい配慮が行きとどいた東京の知人が、ふつう逆だろというところ、おみやげとして持たせてくれたもので、この店で初めにお茶請けとして出されたものなのだ。食べたときには、アンズかな、支那竹かな、と思うような食べごたえなのだが、聞いたらなんと、ナスを塩漬けにして2年間寝かせて、それを改めて、醤油に漬けたものなのだそうだ。

僕など塩を振って10分で食べるというところ、2年間も漬け込むという、その行いは、あらゆる想像を絶するわけだが、これが京都なのだな。今これを書きながら、ちょっとわかった気がした。「素材の味」などというが、内陸にあって海から遠い京都の人にとって、それを言われてしまっては、まったく勝ち目がないわけだ。そこで戦いの土俵自体を、全然違った場所に移してしまって、素材のまわりに、いかに風流な世界をつくり上げることができるのか、というところに、全力を注いだということなのだな。

今まで京都の、男前豆腐や、すき焼きラーメンや、その他いろんなものが、なぜそのもの自体の味で勝負しないのか、とても不思議だったのだが、すこし謎がとけた気がしたな。

メニューは湯豆腐のコースのみ、3,800円。

湯豆腐 嵯峨野 (豆腐料理・湯葉料理 / 嵐山、トロッコ嵐山、嵐電嵯峨)
★★★★★ 5.0


2010-03-20

晩 酌

スーパーへ行くといちおう毎日、何を食べようかそれなりに考えて、それで買い物をするのだが、どうしても外せないのはトマトなのだな。切るだけで簡単だということもなくはないが、切るだけのものなら他にいくらでもあるわけで、つまみの中のオアシスというか、他のつまみが前へ前へと出てくるのにたいして、ほっと一息つける場所になっているというような、そういう存在なのだな。僕にとってトマトとは。なのにあまりに手がかかっていないから、写真にとられることはついぞなく、今日も一人だけ、写真がないのだ。かわいそ。
今日はスーパーは、グルメシティへ行ったのだが、豆腐がちょうどよい大きさのがなくて、かわりに油揚げを買ってきた。200グラムとか250グラムとかの中ぐらいの大きさの、もめん豆腐なのだが、広島にはどこのスーパーへ行ってもあったのだがな。豆腐については本場の京都、絹ごしの豆腐が中心だったり、もめんもやわらかめだったり、考え方が他とはちょっと違うのじゃないかという感じがするな。男前豆腐を僕が今まで買わなかった理由、今日もう一つあることがわかったのだが、あれは絹ごしだけ、もめん豆腐がないのだよな。

壬生相合町 「珍元」

家から程近いところにある、街の中華そば屋。ご主人と奥さんと、娘さんとで、店番をしてた。
ここはずいぶん前に、伊丹十三と宮本信子が来たそうで、古びた色紙が飾ってある。ちょうどその頃、伊丹十三は、映画「タンポポ」の構想を練っていたのだそうで、タンポポはラーメン屋の話だから、こういう街のラーメン屋を、いろいろ取材していたのかもしれないよな。
伊丹十三の色紙には、
どの花も
それぞれの
ねがいが
あって
さく
とあった。詩人だな。
宮物信子の色紙は、
花はいろ
月はひかり
だった。
ラーメンは、だしは鶏ガラじゃないかと思うが、京都の人は、これは返すがえすも、ほんとに不思議だな、鶏ガラに醤油だけだとあっさりしすぎているということなのだろう、テーブルにも置いてあるのだが、自家製らしきニンニク味噌があって、それを醤油のタレといっしょにどんぶりに入れていた。
薄味のイメージがある京都の人が、ラーメンについては濃い味を好むということは、まだどういうことなのか、よくわからないな。
昔ながらの店に独特な、ひなびた、透明な空気が満ちていて、こういうところでビールを飲んで、ラーメンを食うというのは、一つの儀式ともいえるよな。
ラーメン450円、ギョウザ250円、ビール小瓶330円。
珍元 (ラーメン / 丹波口)
★★★☆☆ 3.0

2010-03-19

四条通千本西入ル壬生花井町 「担々」

コメントでおいしいと、薦めてもらった店。行列必至ということで、僕はいつも、前ではなく、あとに時間をずらすので、午後1時過ぎに行ってみたら、行列こそしていなかったが店内はほぼ満席。その後もお客さんは、ずっと来つづけて、時には3人くらい、並んだりしていた。
「Tan Tan Noodle Shop 担々」という、何だかおちゃらけたような店名で、店内に飾られているポスターなども、アメリカンな雰囲気なものが多く、それだけ見ると、あまりおいしそうにも思えないのだけれど、京都って、こういう、東京出身の僕などから見ると、過剰と思えるイメージ戦略が、使われる場合が多いよな。
「男前豆腐」とか典型だと思うが、僕は男前豆腐、値段が高いし、大きさが手頃なものがないしで、買ったことはないのだが、あれは大豆の汁が濃くて、けっこうおいしいらしい。にもかかわらず、味を前面に出すのでなく、劇画調のキャラクターとか、「豆腐屋ジョニー」とかいうネーミングとか、そういう本質にはまったく関係のないものを、前面に出すのだよな。
こないだ食べたラーメンの「すき焼きラーメン」というのも、ラーメンはけっこうおいしいのに、すき焼きラーメンという、イロモノとも思える打ち出し方をする。「黄桜どん」とか、「月桂冠 月」とかも、「日本酒」というイメージからすると、打ち出し方として異色だよな。
これはどういうことなのかな。しかも上にあげたものはそれぞれ皆、成功しているわけだから、これは高等戦術ということなのだろうな、たぶん。考えてみれば「コカ・コーラ」とかも、CMであの味が打ち出されたことは一度もないわけだから、こういうやり方は、ブランド戦略の王道といえるのかもな。さすが1000年以上都だった場所だからな、奥がふかいな、京都。
というわけで、いつもながら前置きが長くなったが、この担々麺、かなりおいしかった。僕がこれまで食べた、汁ありの担々麺、って僕はこれまで、担々麺はそれほど食べてきてはいないのだが、少なくともその中では、一番うまいな。
僕が今まで、担々麺について、欠点だと思ってきたことは、「ゴマの味」なのだ。ほんとの韓国料理で、日本人には考えられないくらい、大量のニンニクと一緒に使われる場合は別として、日本の料理の中でゴマが使われても、目先が変わるというだけで、実際には何もおいしくないと、僕は思う。これはもちろん、好きな人は、それはそれでいいのだが、だから担々麺も、香ばしいゴマの味を利かせているのが多く、僕はそれはまったくうまいと思わなかったために、担々麺自体、これまであまり食べてこなかったのだ。
ところが、これは話はそれるが、広島の汁なし担々麺、これはゴマはまったく使っておらず、かわりに大量の中国山椒を入れていて、これは新鮮でうまかったよな。実際これが人気になるということは、僕と同じように思っていた人が、多かったということなのかなと思ったりもするが。
この店の担々麺も、ゴマを使っていない。ゴマを使わない分、何かでコクを出さないといけないわけだが、一つにはニンニクが、日本人が「アリ」と思う感覚を、たぶん越えた量、使ってある。僕はそういう、限界を踏みこえる精神、痛快でけっこう好きなのだが、しかしもちろん、それだけではない。ここはスープが、なんともうまいのだ。
豚骨なのか鶏ガラなのか分からないが、かなり濃く出してあって、それがただ濃いだけじゃなく、乳化というのか、牛乳のような、クリーミーな味なのだ。このだしがきっちりあった上に、唐辛子とニンニクの味が重ねてあるから、ゴマの不在をおぎなって余りある、というより、ゴマを入れるより圧倒的にうまい。スープは咳が出る程度には辛く、けっこうな量もあったのだが、思わず最後まで飲み干してしまった。
麺は、ふつうのと、太いのがあって、今日はふつうの麺にしたが、もさっとしていて、しかもかなりのコシがあり、うまい。全体として、すべてにおいてはっきりしていて、曖昧さがなく、店主はかなりのセンスの持ち主だと思った。
タンタンヌードゥルショップ 担担 (担々麺 / 四条大宮、大宮、西院)
★★★★★ 5.0

2010-03-17

四条烏丸 「天天有 四条烏丸店」

今日はほんとは別のラーメン屋を目指したのだが、定休日だったのでこちらへ来たのだ。昭和46年創業というから、もう40年近くになる、古い部類の店だよな。一乗寺に本店があって、市内に3店出しているが、ここ四条烏丸店はわりと最近できたらしい。
鶏と野菜を18時間炊き込んでできるというスープは、かなり薄味に仕立ててあって、醤油はほとんど使っていないのかな、どろりとした濃厚な鶏のエキスが前面に出されている。「天下一品」と似たところがあると思うが、天下一品がクセのない、まろやかな味であるのにたいして、こちらは鶏の臭みを少し残している。
麺はコシのある細いやつ、それにもそっとした薄切りのチャーシューと、もやしにメンマに青ネギ。全体の印象として、九州の豚骨ラーメンの鶏ガラ版、という風情で、実際テーブルには、紅しょうがと辛味噌が自由に使えるように置いてある。
僕の感想としては、そこそこうまいのだが、小ぢんまりまとめられてる感じがして、残念ながら、感動がない。しかしこれはたぶん、この店は支店なので、一乗寺の本店とは、味が違ったりすることがあるのだろうな。天下一品も、支店に行ったときは特別どうとも思わなかったが、総本店に行ったら、感動したからな。
中華そばとごはん(小)、餃子のセットで950円、中華そば単品だったら680円。餃子の味は普通。
天天有 四条烏丸 (ラーメン / 四条、烏丸、河原町)
★★★☆☆ 3.0