おばちゃんは、もう70くらいだと思うが、この店を28年やっていて、女手ひとつで酔っぱらいの男を相手に、飲み屋をやってきただけのことはある、腹のすわった、そして憎めない人なのだ。今は自分と、自分の娘と、姪っ子と、20歳くらいの若い子が二人ずつ、曜日によって交代で入るようになっていて、形式としては、今流行りのガールズバー、カウンターの向こう側に女の子がいて、お客はカウンター越しに女の子と話して、癒されることを主な目的としてやってくる、という場所だ。
値段は完全に、居酒屋価格。今日も瓶ビール1本に熱燗2合、冷奴とハラミの焼肉と、そのはら皮を食べて、3,200円。十分納得だよな。カラオケも、1曲200円でいくらでも歌える。
家から一番近い飲み屋で、今日はもう、食器も冷蔵庫の中も、完全に片付けてしまったので、行くといえばここしかない、みたいなものだったのだが、先週来たときは会えなかった、ここのおばちゃんに、広島を離れる前に挨拶しておきたい、ということもあった。「また来ます」というと、「今までそう言って、ほんとに来た人は一人もいないんだから」とのこと。たしかにほんとにまた来られるかどうか、わからないが、ドスのきいた声で言われると、また来なくちゃと思うよな。