木曜日は僕が馴染みにしている喫茶店「ikoi cafe」に昼めしを食べに行くと決めている。
いい店で30代前半という若いママが頑張っているから、応援したいと思っていて、週にいっぺんは行こうと思っているのだけれど、木曜というのは発売したての週刊文春が置かれるからで、ここでランチを食べて、コーヒーを飲みながら週刊文春を一冊読み切るというのを、僕は木曜日の日課としている。
今週の週刊文春では、ソフトバンク孫さんの自然エネルギー構想が叩かれている。
週刊新潮でもやはり孫さんを叩いているのだそうだ。
自然エネルギーといっても現在の時点では、ソーラーパネルにしても風力発電にしても発電効率は低く、到底原子力発電を代替するということにはならないのだけれど、それを孫さんが政権に食い込みながら推進しようとしているのは、単純にもうけを狙っているからだというのがその趣旨だ。
ソフトバンクはiPhone頼みの経営になっていて、借金も1兆円以上あり、通話料を安くしているから基地局の整備も進まず、実際大震災でもソフトバンクの携帯ははいちばん通じにくかった。
このまま行ってもジリ貧なので、新たな収益の柱をぶち上げる必要に迫られて、それで孫さんは自然エネルギーに邁進しているのだと。
実際自然エネルギーは、菅首相が退陣の条件とした固定買取制度が成立すれば、作った電気を国に決まった値段で買い取ってもらえることになるから、必ずもうかる補助金ビジネス、ボロもうけの商売だ。
孫さんは憂国の士などではなく、政治に食い込むことで大きな利益を得ようとする、現代の政商なのだと。
僕は孫さんの真意がどこにあるかについて、本当のことなど分かろうはずはないけれど、孫さんが原子力に替わる新たなエネルギー源が今こそ日本に必要であり、そのために自分は、事業家として出来うる限りのことをしようと思っているという、孫さんの気持ちは本物だと思っている。
僕もそれには共感できるし、実際僕も、今回のこの悲惨な原子力災害については、何か自分が力になれることをしたいと思い続けている。
でも孫さんの今回のやり方を見ていると、補助金を収益の柱にしようとするというのは、人の善意を当てにして商売をしようとしているというようなもので、事業としては「ひねり」が足りないのじゃないかと思うのだよな。
例えば思い出すのはジョン・レノン。
ビートルズは結成以来、ロックンロールからスタートしながらも、それに留まらない世界を表現できる新しい音楽を生み出しつづけて行ったわけだけれど、ジョンはそのころ盛り上がっていったベトナム戦争に対する反戦運動に影響されて、徐々にそちらに傾倒していくことになる。
しかし反戦というメッセージをストレートに出そうとすればするほど、音楽としては貧弱なものになってしまったのだよな。
その代表的な作品である「イマジン」は、国境のない世界を夢見るジョンの心根こそ美しいけれども、音楽的には見るべきものは何もないと僕は思う。
というか、そのレコードをお金を出して買いたいとは思わない。
ジョンはそのうち、音楽自体を作れなくなってしまって、長い休眠期間に入ってしまい、再スタートしようとした矢先に撃たれて死んでしまうわけなのだけれど、なんだか僕には孫さんがジョンと同じような道を歩もうとしているのではないかと思えてしまう。
何かをやろうとしたときに、その「目的」というものも重要なのだけれど、それをいかに実現するかという「手段」も大切なのだよな。
その手段というのは、「音楽」とか「事業」とか、そのほか文学でも科学でも政治でも何でも良いのだけれど、存在するためにはある一定の形をとる必要があるもので、元来保守的なものだ。
その保守性が、革新的な「正しい」目的からみると何ともまどろっこしく、まさに打破すべき相手そのもののように映ってしまうということがあるのかとは思うのだけれど、しかし結局はきちんとした手段なしに物事が実現するということはない。
それは一見遠回りのように見えるもので、そんなことをグズグズ言っているよりも、何でもいいからまずは行動するほうがいいと言いたくなるようなものであり、たしかにそれも必要な時があるけれど、でも結局は、きちんとした手段を整備していくことが一番の近道だ、ということなのじゃないかと僕は思う。
ikoi cafeのランチはアスパラの入った鶏のつくね。
京都では6月30日にこの「水無月」というものを食べる習慣があるということで、ママのお母さんが作ったというのをいただいた。
要はういろうにあんこを乗せたもの。
近くの神社で「茅の輪くぐり」というのをやっていて、これをくぐってお参りするといいことがあるというから、僕もやっておいた。
でもお賽銭は50円。
京都はこれからいよいよ祇園祭もスタートし、いい時期になるな。
晩めしは、昨日も炒麺シリーズ、豚と水菜のソーミンチャンプルーを作ってみたのだけれど、すごく失敗した。
焼きそばの要領で、酒と醤油のタレを使ってみたのだけれど、これが全くダメだった。
焼きそばの場合、蒸し麺を使うから、その麺がきちんとタレを吸い込むわけだけれど、素麺は茹でてしまうから、タレを全く吸い込まない。
なんだか水浸しの、煮物の出来損ないを食ってるようで、いちおう全部食べたけれど、素麺にタレを使ってはいけないということは、はっきり分かった。
しかも家のカセットコンロ、炒め物をするには火力が小さくて、水洗いした水菜を入れたらフライパンの温度が下がってしまい、そのあと入れたタレが沸騰しないものだから、酒が十分煮切られず、アルコールの風味が残ってしまうし、兎にも角にもいいことがなかった。
しかし酒は賀茂鶴。
これは変わらずうまかった。