やまとの湯にも広い休憩コーナーがあって、テーブルや座敷がたくさんあり、土曜の午前はそれほど人もいないから、座敷の端、窓際にあるテーブルを一人で占拠して、そこでビールを飲むのもかなり寛げはするのだが、いかんせんつまみがまずい。セントラルキッチンで用意されたものに、パートのおばちゃんがちょこっと手を加える、という程度のものしか置いてないのだ。
色々と店にも行ってみたのだが、やまとの湯から近くの店は、昼から開けている店は今ひとつなのしかなく、いいと思うところはチャリンコで10分ほど行かないといけなくて、風呂上りで乾いた喉をかかえて、10分チャリンコを漕ぐというのはけっこうしんどい。
と思っていたら、灯台下暗し、やまとの湯から徒歩30秒の場所に寿司屋があったのだが、なんとなくまずそうな感じがして、敬遠して行っていなかったところがあったのを思い出し、今日はそこへ行ってみることにした。
大将はたぶん僕と同じくらいの年。おじいさんの代から京都東山で飲食店をやっているという家の出で、東京でも修行したことがあるという人が、美人の奥さんと二人で、2年前にこの店を始めたのだそうだ。小料理屋だったところに居抜きで入ったという店内は、カウンターに座敷が三つ、きちんと大人びた、落ち着いた雰囲気。
「この不景気の真っ只中に、なぜ寿司屋を始めるんだ」とずいぶん言われたそうなのだが、かなりの覚悟をして始めたのだろうな、「ファミリーずし」とか、「にぎりいっちょ!」とかいうネーミングは、その覚悟の表れなのだ。本格寿司というイメージからは遠くなってしまうが、なんとかお客さんにアピールしたいという気持ちから、あえてこういう名前を選んだということなのだろう。
このゲソポン、ぷりぷりとして、けっこううまかった。
仕入れは毎朝、中央市場へ行くのだそうだ。「幸い市場が近いので」と言っていたが、昼11時半の開店で、夜は9時半ラストオーダー、お客さんがいれば2時でも3時でも、ということだったので、「大変でしょう」と聞いたら、「いえ今の時代、サラリーマンの人でもずいぶん大変でしょうしね」とのこと。頑張っているのだな。
寿司はたしょう小ぶりだが、どれもうまい。ネタは中クラスだが、この値段でそれは当たり前だし、何より大将の気持ちが、きちんと入っている。その辺が、大量生産の回転寿司とはぜんぜん違うのだな。鯖のしめ加減も、ちょっと浅めで上々。トロはきちんとまろやかで、えんがわはこりこり、赤貝も新鮮な海の風味がした。
お勘定は、以上で3,470円。遠慮せずに頼んだので、夜も同じ値段だってことだ。かなりいいんじゃないか。
にぎりいっちょ! (寿司 / 丹波口駅、四条大宮駅、大宮駅)
昼総合点★★★★★ 5.0