2010-11-13

ファミリーすし「にぎりいっちょ!」

毎週土曜日は、壬生松原町にあるスーパー銭湯「壬生やまとの湯」へ、朝10時の開店と同時に入って、サウナと露天風呂をたっぷりと満喫するのを楽しみにしているのだ。そのあとは言うまでもなくビールを飲むことになるわけだが、それをどこで飲むかが、頭の使いどころとなる。って僕はほんとに下らないことで、いつも頭を使ってるのだ。

やまとの湯にも広い休憩コーナーがあって、テーブルや座敷がたくさんあり、土曜の午前はそれほど人もいないから、座敷の端、窓際にあるテーブルを一人で占拠して、そこでビールを飲むのもかなり寛げはするのだが、いかんせんつまみがまずい。セントラルキッチンで用意されたものに、パートのおばちゃんがちょこっと手を加える、という程度のものしか置いてないのだ。

色々と店にも行ってみたのだが、やまとの湯から近くの店は、昼から開けている店は今ひとつなのしかなく、いいと思うところはチャリンコで10分ほど行かないといけなくて、風呂上りで乾いた喉をかかえて、10分チャリンコを漕ぐというのはけっこうしんどい。

と思っていたら、灯台下暗し、やまとの湯から徒歩30秒の場所に寿司屋があったのだが、なんとなくまずそうな感じがして、敬遠して行っていなかったところがあったのを思い出し、今日はそこへ行ってみることにした。

なぜまずそうだと思ったのかといえば、ここは「ファミリーすし」で、名前が「にぎりいっちょ!」。しかもランチは500円のにぎりセットからあったりする。いかにもお子様向けの、安かろう悪かろう、というものしかないチェーン店なのだろうと思ってたのだが、今日じっさいに行ってみて、ぜんぜん違うということがわかった。ここは基本は、個人経営の本格寿司なのだ。

大将はたぶん僕と同じくらいの年。おじいさんの代から京都東山で飲食店をやっているという家の出で、東京でも修行したことがあるという人が、美人の奥さんと二人で、2年前にこの店を始めたのだそうだ。小料理屋だったところに居抜きで入ったという店内は、カウンターに座敷が三つ、きちんと大人びた、落ち着いた雰囲気。

「この不景気の真っ只中に、なぜ寿司屋を始めるんだ」とずいぶん言われたそうなのだが、かなりの覚悟をして始めたのだろうな、「ファミリーずし」とか、「にぎりいっちょ!」とかいうネーミングは、その覚悟の表れなのだ。本格寿司というイメージからは遠くなってしまうが、なんとかお客さんにアピールしたいという気持ちから、あえてこういう名前を選んだということなのだろう。

とりあえず生ビール。

それからゲソポン。

このゲソポン、ぷりぷりとして、けっこううまかった。

仕入れは毎朝、中央市場へ行くのだそうだ。「幸い市場が近いので」と言っていたが、昼11時半の開店で、夜は9時半ラストオーダー、お客さんがいれば2時でも3時でも、ということだったので、「大変でしょう」と聞いたら、「いえ今の時代、サラリーマンの人でもずいぶん大変でしょうしね」とのこと。頑張っているのだな。

熱燗を一合。

寿司はランチだと、1,000円で良さそうなセットがあったのだが、せっかくなのでお好みで頼むことにした。お好みは、一個70円から270円。回転寿司レベルだな。回転寿司はだいたい、大手のチェーンが大量の仕入れをすることで値段を下げているわけだが、個人経営の店がそれと同じ値段を付けるというのは、けっこうな努力が必要なのだ。




頼んだのは、トロ、平目、いわし、えんがわ、しめ鯖、はまち、赤貝、いか、まぐろ山かけ、うなキュウ手巻き。

それにシメは、かけうどん。

寿司はたしょう小ぶりだが、どれもうまい。ネタは中クラスだが、この値段でそれは当たり前だし、何より大将の気持ちが、きちんと入っている。その辺が、大量生産の回転寿司とはぜんぜん違うのだな。鯖のしめ加減も、ちょっと浅めで上々。トロはきちんとまろやかで、えんがわはこりこり、赤貝も新鮮な海の風味がした。

お勘定は、以上で3,470円。遠慮せずに頼んだので、夜も同じ値段だってことだ。かなりいいんじゃないか。

つま楊枝には、一つひとつに、こうして千代紙で折った小さな袋がかぶせてあった。これは奥さんがやるんだろうが、こういうところが、やはり気持ちを伝えるポイントなのだよな。


にぎりいっちょ! 寿司 / 丹波口駅四条大宮駅大宮駅
昼総合点★★★★★ 5.0