僕は以前、家の近くにある宝屋のチェーン店の一つに行ったことがある。
その時は、まだ京都へ来て間もない頃で、京都の他のラーメン屋との比較ができなかったということもあっただろう、何の主張も感じられず、ただ中途半端なラーメンを機械的に出しているとしか思えず、それ以来、宝屋の他の店へは行っていなかったのだが、京都駅近くでは、第一旭たかばし店に次ぐ人気店となれば、やはり行って、確認してみないわけにはいかないだろう。
今日はいちばん来てはいけない日の、来てはいけない時間に、来てしまったな。
日曜の午後1時半。
どの店もずらりと行列。
まあしかし、ラーメンは回転が早いから、思ったよりは待たないのだ。
当然スタッフも、精鋭を送り込んでいるはずだ。
店外で行列している客を、手際よくさばいていくオネエちゃん、外人に英語で話しかけられて、ちゃんと英語で答えていた。
店長らしき男性は、小金沢昇司ばりの二枚目で、麺をゆでたりしながらも、客の一人ひとりににこやかにあいさつしていく。
さすがだ。
今日はビールからライスまで、べつに注文をつけずに、同時に持ってきてもらった。
いつもはギョウザか何かをあてにビールを飲んで、それを飲み終わってから、ラーメンを持ってきてもらうようにしていたが、ラーメンの場合、そうするよりも、ラーメンを食って、それをおかずにライスを食って、さらに合間にビールを飲む、という食べ方のほうがうまいな。
でこの宝屋のラーメンの味なのだが、ひとことで言えば、小ぎれいにまとめた背脂醤油系、だな、僕の感想としては。
京都の代表的なラーメンの一つである、背脂醤油系、動物系だし醤油味のスープに、背脂をふり、一味唐辛子を隠し味に入れるという味、この基本路線を踏襲しながら、化学調味料を除いてみたり、麺を特別な製法にしてみたり、各所にこだわりを加えてみました、という感じ。
全体として上品に仕上げているから、いかにも「京都のラーメン」という印象があり、他県の人からは受けるのだろうな。というかこの宝屋は、これから他県に、「京都で生まれたラーメン店」としてチェーン展開しようとしているわけだから、それは綿密な計算の産物なわけだ。
まあしかし、僕はそういう計算は、それが商売というものについては、必要なことであり、それをとやかく言われる筋合いはさらさらないということは、重々承知しているが、ラーメンを食べる立場としては、あまり興味ないのだ。
味についても、化学調味料を使っていないためだろう、臭みが鼻につくところがあって、これを素朴であると肯定的に捉えることも、できないわけではないかもしれないが、僕はあまりおいしいとは思わなかった。
空中経路という、ただ上を歩けるようになっているというだけの、実用的にはなんの役割も果たしていないものもあったりして、さすが京都らしい、はったりの利いた空間だ。
熟成細麺 宝屋 京都駅ビル店 (ラーメン / 京都駅、九条駅、東寺駅)
★★★☆☆ 3.0
熟成細麺 宝屋 京都駅ビル店 (ラーメン / 京都駅、九条駅、東寺駅)
★★★☆☆ 3.0