ここは京都標準ともいえる、京都の代表的なラーメン屋だし、また醤油豚骨で、広島のラーメンとも似ているから、広島の人にとって理解しやすいということもある。
しかし何といっても、僕が久しぶりに食べたかったからな。
平日のお昼どき、隣の新福菜館本店ともども、ずらりと行列していると思ったのだが、意外に行列はなし。
夏で暑いから、行列までしてラーメンを食べようという人は、少ないということなんだな、たぶん。
僕はラーメンは、夏も冬も関係ない。
僕がこの店が好きなのは、「ビールを飲んでラーメンを食う」ということについて、よくよくわかっているということが、まずある。
キムチとかメンマとか、すぐに出てくるつまみがちゃんとある。
ビールにギョウザとラーメンを注文すると、きちんと、「ラーメンはギョウザのあとにしますか」と聞いてくれ、ギョウザを食べ終わるまさにそのタイミングで、ラーメンを出してくれる。
そのギョウザが、小ぶりで皮がバリっと焼けて、餡の味はパンチがきいて、ビールのつまみになんとも合う。
そしてラーメン。
このラーメン、まず言えることは、「日本のラーメンといえば、これだろう」という、まさにそういう味。
ラーメンというものは、全国に考えられないくらいの膨大な種類があり、さらに人による好みも激しい食べ物なわけだが、たとえば、もし未来のために、日本のラーメンを一つ、ラーメンの代表としてタイムカプセルに入れて、残さなければいけないということになったとしたら、このラーメンを選ぶということについて、かなりの同意が得られるのじゃないだろうか。
というか、ビールのためのギョウザなのだな、まさに。
これは「特製ラーメン」800円。
特製ラーメンは、麺とチャーシューが大盛りになっている。
ビールの話の続きでいえば、このラーメンがまた、ビールによく合うのだ。
ラーメンには、ビールに合うのと合わないのと、あるのだが、何が違うのかな。
このラーメン、まず言えることは、「日本のラーメンといえば、これだろう」という、まさにそういう味。
そういう、ラーメンとして非常に折り目正しい味なのだ。
次にこのラーメン、男気があるんだな。
僕はもし、高倉健が、「僕はこのラーメン、毎日食べてます」と言うのを聞いたとしても、驚かない。
気品ある男のラーメン、という感じなのだ。
これは、このラーメンのスープが、大きく影響していると思うのだが、野菜もなにも使わない、豚骨のみで取っただしに、香り高い、濃厚な醤油があわせてある。
におい消しを一切つかわず、火加減のみで勝負するという潔さ、それにあわせるこの醤油の味の正しさ。
男のなかの男、という感じがして、しびれるのだな。
麺は、「ラーメンの麺といえば、これだろう」と言いたくなる、中細のちょっともっそりしたタイプ。
チャーシューは脂の多い部分と赤身とをあわせてあって、ぷりぷりの煮加減。
チャーシューは注文すれば、脂身、赤身を選べ、また青ネギともやしは、これでもかというばかりの大盛りにもしてくれる。
いや参りました。
隅から隅まで、お客のツボを知り尽くした心づかい。
また来さしていただきます。本家 第一旭 たかばし本店 (ラーメン / 京都駅、七条駅、九条駅)
昼総合点★★★★★ 5.0