ここは以前、夜に行って、夜はほんとは予約の客しか受け付けないところ、人の紹介だということで入れてもらえたのだが、僕と同じ年代の3代目の大将、飲みながら色々話をさせてもらって、かなりおもしろい人なのだ。
数年前にお父上が亡くなって、この店のあとを継ぐまで、他店を転々としながら修行してきた人なのだが、料理がほんとに好き、という人で、またそれを、熱く語る人なのだな。
料理人の姿勢として、料理は語るものではなく、作るものだ、食べてもらえばすべてわかる、というような考え方もあると思うが、僕はやってることがほんとに好きで、日々発見の連続である、という人にとっては、誰かに言いたくてうずうずしている、ということがいくらでも、たまっているはずだと思うんだな。
または逆にいえば、そういうものだけがほんとの発見だと、そういう風にすら言えるのじゃないかと思う。
もちろん料理は、手作業であるという側面も大きく、これはことばにはならないにしても、どんな材料を使うのかとか、調味料はどうするのか、お客にどういうふうに出すのか、などなど、これはあくまで文化的な側面であって、それは最終的には、自分なりに理論化していかないと、きちんと自分のものにはならないと思うからだ。
こちらはずぶの素人だから、プロの料理人の発見を、きちんと受け止めることができないことはもちろんなのだが、だしのこととか、調味料のこととか、相手にすればつまらないことを、根掘り葉掘りきくと、いちいちちゃんと答えてくれて、とても楽しかった。
なかでもいちばん興味深かったのは、「やればやるほど、わからなくなるんだ」ということを、話の最後に言っていたこと。
べつに気取っているのではなく、実直な大将の本心なのだと思うが、たしかに、本物の世界というのは、わかったと思いながら、またわからなくなり、それを繰り返していくものなのだろうな。
今日たのんだのは、天とじ丼とミニうどん、900円。
まずうどんのだしを一口すすってびっくり。
僕が毎朝作ってるうどんのだしと、全然ちがう。
濃厚なかつおだし。
プロの作るものは、これだけちがうんだと、あらためて実感。
天とじ丼も、大きなエビが2本。
ほっこりうまい。
夜は酒がついて3,000円からの、激安コースもあり。
河原町あたりからわざわざ来るお客さんも、多いのだそうだ。
松川家 (うどん / 大宮駅、四条大宮駅、二条城前駅)
★★★★☆ 4.0