カキもそろそろ終わりだから、今のうちに食べておかないといけない。
カキの食べ方もいろいろあるけれど、カキの本場、広島の人に聞いたら、やはり「鍋に入れる」というのがいちばん多いみたいでした。
あとは生食用をポン酢で食べる「酢ガキ」や、カキフライ、カキのソテー。
殻のついたままのカキを焼いて食べる「焼きガキ」も、広島ではよく食べるようだけれど、殻のついたままのカキは、他県では、スーパーでも魚屋でも、なかなか見かけることはないですね。
簡単な食べ方といえば酢ガキだけれど、カキはさっとゆでてもまたうまい。
生とはまたちがう、ふっくらとしたやさしい味になってくれます。
火をとおして食べる時には「加熱用」のカキを買うことになりますが、意外にわからないのが、カキの「生食用」と「加熱用」のちがい。
他の魚とおなじように、生食用のほうが「鮮度がいい」と思いがちなんですが、実はちがうんですね。
カキは生で食べると当たる可能性があるから、生食用のカキは、水のきれいな海域でとれたものを選び、さらに数日をかけて、減菌処理をしたものを出荷する。
それにたいして加熱用は、この減菌処理をしていないというのが、生食用と加熱用のちがいです。
ただ減菌処理をするときの数日間は、カキは餌を食べられないから、その分痩せてしまうことになる。
だから加熱して食べるなら、加熱用の方がおいしいということなんですね。
加熱用のカキをさっとゆで、大根おろしでも添えポン酢で食べれば、もう十分おいしいのだけれど、ちょっと手をかけるなら「ぬた」。
これは僕が広島にいたころ、毎日のように通った食堂で食べさせてもらったやり方です。
カキはゆで過ぎると、小さく、かたくなってしまうので、くれぐれもゆで過ぎないよう、「温まった」くらいのところで引き上げるのがポイントです。
酢の量を調節して、どろっとした加減にし、好みの量のからしを入れる。
京風の白味噌なら、これだけでいいけれど、ふつうの麹味噌を使うのなら、すこし砂糖を入れたほうがいいのかもしれません。
このタレに、ゆでたカキと青ねぎを入れ、和えればぬたの出来あがり。
カキの食べ方の、王道の1つといえるのじゃないでしょうか。
昨日はだしを取ってあったので、それで割りましたけれども、カキをゆでるとき昆布を入れ、さらに酒を多めに足せば、十分かもしれません。
塩と醤油で味付けします。
カキのエキスも、しじみと同様、肝臓の機能を助け、二日酔いをおさえる働きがあるのだそうです。
女性はイモ類が好きですが、男性の場合、イモ類はあまり食べない人が多いでしょう。
たしかにイモは、酒のツマミにも、ご飯のおかずにもなりにくい。
「存在価値がわからない」というところではないでしょうか。
しかしその、酒のツマミにも、ご飯のおかずにもならないところが、イモのよいところでしょう。
並んでいる皿が、ツマミやおかずになるものばかりだと、つい箸の移動が、「酒とツマミ」「ご飯とおかず」の往復運動になってしまう。
ところがそこに、ツマミにもおかずにもならないイモがあると、箸は往復運動から解放され、ほっと一息つけることになる。
食卓の、まさに「オアシス」のような存在が、イモであるといえるのではないでしょうか。
里芋は、ほんとに色々種類がありますが、炊いてしまえば、どれもあまり変わりません。
大きい場合は、半分に切って一口大にし、上下を落として、皮をむきます。
「六方にむく」といい、包丁をタテ方向に動かして、里芋が六角形になるように皮をむくと、むきやすいし、見栄えがいいですね。
里芋の皮のあたりはかたいので、すこし厚めに皮をむきます。
10分くらいにて、箸がすっと刺さるくらいにやわらかくします。
そうしたらうすくち醤油を、味を見ながらちょうどいい加減までくわえ、さらに10分程度煮る。
火から下ろしたら、そのまましばらく置いて、味をしみ込ませる。
味は、冷めるときにしみ込むんですね。
だしの味がしみた小芋はいいものです。
日の菜とスグキ。
スグキも肝臓にいいのだとか。
献立の中にイモがあると、ご飯がなくてもお腹がいっぱいになるのもいいところです。