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2012-03-15

こってりとした醤油に味噌の隠し味。
「スペアリブの煮込み」


肉を煮込むのって、楽しいですよね。

時間をかけてコトコトやっていくだけで、たいして手をかけなくてもおいしくなる。

肉はやはり、かたまり肉、しかも骨付きを食べるのが、いかにも「肉を食ってる」という感じがするでしょう。

すこし時間がある時に、骨付きのかたまり肉に挑戦してみるのも、料理の醍醐味の1つだといえますね。



骨付きのかたまり肉というと、代表選手は鶏もも肉かとは思うんですが、今回はスペアリブ。

スペアリブは、骨付きの豚バラ肉のことで、肉屋やスーパーでもだいたい売ってるんじゃないでしょうか。

家の近くの肉屋では、日本産のスペアリブが100グラム150円で売っていますが、スーパーによっては300円を取るところもあります。

肉はほんとに、どういうわけか、店によって値段のばらつきが大きいので、もし近所に複数の肉屋やスーパーがあるのなら、ひと通り回って、値段を調べてみるのがいいですね。



スペアリブはまず、味を付けずに煮ます。

煮てやわらかくしてからでないと、味が入らないからなんですね。

煮るとき濃厚な豚のだしが出ますから、せっかくだから、その日のスープの分と、翌朝のうどんの分くらいまでを見込んで、水を多めに入れるようにします。

スペアリブ300gにたいして、水800cc。

これでもべつに、スペアリブがまずくなるとかいうことはありません。

ちなみに300gのスペアリブは、男の人ならひとりで軽く食べちゃうと思います。



水にはカップ1くらい、たっぷりの日本酒を入れる。

日本酒は、スープのコクを出すことと、肉の臭みをとる働きをしてくれます。

ただ、安い料理酒は、塩分が入っているので、こういう風につかうと、肉がかたくなってしまいます。

すこし高くはなるけれど、一番安いのでいいから、塩分の入っていない、ふつうの日本酒をつかうのがいいですね。



あとはここに、ニンニクを1~2かけ。

ショウガのスライスを3~4枚。

豚肉のスープには、ニンニクか、または和風だしのどちらかが、マストになると思います。

スープにつかうことを見越して、だし昆布。

長ねぎの青いところがもしあれば、それも入れれば言うことありません。



アクを取りながら、1時間から1時間半くらい、弱火でコトコト煮ます。

アクといっしょに、浮かんでくる脂をとってしまえば、ヘルシーになりますね。

鍋のフタは、しない方が、臭みが残りません。

途中で水が足りなくなったら、適宜水を足してもかまいません。

肉を煮ているあいだは、鍋の前にずっと張り付いていなくても、時々見に行けば十分ですね。



肉が煮えたら、肉だけ別の鍋に移します。

できるだけ、肉をならべて、ぴったり収まるくらいの小さめの鍋がいいですよね。

もし鍋の場所が余るようなら、下ゆでした大根を一緒に入れたりしても、またおいしいのは間違いありません。



ここに元の鍋から豚のスープをとって、ヒタヒタ加減に入れ、鍋を火にかけ温めながら、味付けしていきます。

これをどういう味にするか考えるのが、また楽しいというわけなんですね。



和風味の基本として、まず砂糖。

それからみりん。

砂糖とみりんは、もちろん「甘み」になるわけですが、これをたくさん入れると、甘くなるのでなく、「こってり」します。

甘みは、あとで入れる醤油との、相対的な量で決まることで、砂糖をどんなにたくさん入れても、醤油が多ければ塩からくなるんですね。

甘みをたくさん入れれば、こってりとクドい味になり、少なければ、あっさりとした味になります。

これは完全に、お好み次第ということで、好きなだけ入れればいいんです。

昨日は、やはり豚肉はこってりさせたいということで、砂糖を大さじ3くらい、それにみりんを、「ジャバジャバジャバ」と入れました。

みりんは、甘みのほかに「照り」をだす効果もあるので、多めに入れると、仕上がりがピカピカ光ってきれいになります。



ほんとはここで、落としブタをして、10分ほどコトコト煮ておいたほうが、味が染み込みやすくなるんですね。

砂糖は醤油や塩より分子が大きいため、醤油や塩をいっしょに入れてしまうと、砂糖の分子が肉の中まで入れなくなってしまうのだそうです。



10分煮たら、塩からいものを入れていきます。

まず入れたのは、味噌。

もしあれば、麹味噌より赤だし味噌のほうが、煮込むにはおいしいと思いますが、これを大さじ1くらい。

あとは醤油。

これは慎重に、味を見ながら、ゆっくりと入れていきます。

甘みと塩からさのバランスが自分の好みのところになるまで、入れるようにします。

塩加減は、「ちょっと足りない」くらいにしておく方が、結局はおいしくなりますね。



これにあと、ウスターソースとか、ケチャップとか、りんごのすりおろしたのとか、隠し味に入れてもおいしいのじゃないかと思ったんですが、昨日は試してみませんでした。

あ、考えてみたら、コショウをふっても良かったかもしれないですね。

でも味噌と醤油だけでも、十分おいしく、問題はありません。



落としブタをして、火加減は、強めの弱火。

ちゃんと煮立って、煮汁が落としブタに当たるように調節します。

だいたい20~30分で煮詰めるつもりで、時間が近づいてもまだ煮汁がたくさん残っていたら、火を強めたりしてみてもいいですよね。

この時は、あまり放置してしまわずに、ちゃんと鍋を見ておかないと、気付いたら煮汁がなくなり、焦げ付いていたなどということにもなりかねません。



最後は落としブタをとり、火を強め、煮汁を上からかけながら、煮汁を煮詰めていきます。

煮汁は、ソースとしても使うので、その分は残しておくようにします。

またあまり煮詰めすぎると、焦げ付いてしまうので気を付けます。



スペアリブの煮込みの出来あがり。

青ねぎなど緑色のものを上からふると、きれいですよね。



いやこれはバッチリ、たいへんうまく出来ました。

やはり豚肉に、こってりと甘辛い醤油味は、黄金ですね。

味噌も、うまい具合にコクを出してくれています。

ニンニクが利いていますから、無国籍風になるのも、またいいところです。



スープは、もうニンニクとショウガの味がついていますから、塩だけで味付けすればだいじょうぶ。

醤油をすこし入れてもいいですが、入れなくても十分かも。

肉のだしと醤油味は、基本的には合わないものなのじゃないかという気がするんですよね。

でももちろん入れてもいいし、入れるとまさにラーメンスープの味になります。



油揚げとシメジを入れて、それから水菜をさっと煮ましたが、これはわかめでも長ねぎでも、具は何でも好きなものでOK。

器によそって、コショウをふります。



あとは前日のぶり大根。

ぶり大根は冷蔵庫に入れておくと、ゼリーのような煮凝りになります。

これは電子レンジなどで温めてしまうのじゃなく、冷たいまま食べるのが正解。



酒は、こってりとした肉料理には、やはり日本酒よりは、焼酎ですね。



スープは中華味ですから、ラーメンの麺を入れても大変うまいです。

でもラーメンは、ゆでたりするのが面倒だから、冷凍のうどんが、いちばん簡単でおいしいですよね。