料理をすると、食器やら調理器具やらを洗うのが、面倒くさいといえば面倒くさいのだけれど、面倒くさいのは洗剤を使うからだ。
洗剤をつけて洗って、さらにその倍くらいの時間、すすがないといけない。
ということは、洗剤を使わなければ、食器を洗う時間は3分の1になる計算だ。
実際いまは、洗剤を付けなくても落ちる毛糸でできたスポンジも売ってるし、それを使ってお湯で洗えば油もけっこう落ちるから、食器など洗うのはあっという間だ。
洗剤を使わないと、お腹を壊しそうな気がするかもしれないけれど、僕はもうここ3年ほど、洗剤を使わずに食器を洗い、お腹を壊したためしはない。
じつはお風呂でも、石鹸を使うのは週に1~2度ほどなのだが、それで体がかゆくなることもない。
頭は、シャンプーしなくなってから2~3日はかゆいのだけれど、それを過ぎると、かゆみがおさまる。
水虫も、夏場でも出てこないようになった。
これは、「菌のバランス」のせいなのではないかと思っている。
腸の中でも、善玉菌と悪玉菌のバランスが重要なのだそうだ。
菌がバランスを保っていれば、善玉菌の働きにより、悪玉菌もそれほど悪さをしないけれど、バランスが崩れると、悪玉菌が凶悪化する。
下手にシャンプーなど使ってしまうと、頭の善玉菌まで洗い流してしまうから、頭がかゆくなったりするのじゃないか。
だいたい人間が石鹸など使うようになったのは、ここ100年くらいのものだろう。
それまで何10万年にもわたり、人間は石鹸など使わずに、なんとかやってきていたのだから、食器を洗うのに洗剤を使わないことくらい、屁でもないのだ。
と自慢にもならないことを自慢してみた。
イカなど昔は、あまりにあっさりしすぎて食べたいとも思わなかったけれど、この年になるとうまいと思えてくる。
イカのあの、あっさりしながらも甘みのあるところがいい。
ワタの濃厚で、強烈とも思えるうま味もたまらない。
しかもスルメイカなら、1パイ100円とか、200円とかで買えるのだから、自炊するにはありがたい。
スルメイカを食べる、いちばん簡単で、しかもうまいやり方は、サッと焼いて、ショウガ醬油で食べることだ。
ほんの1分ほど、イカがぷっくり膨れたあたりで火から下ろすと、死ぬかと思うくらいおいしい。
ただこれは、イカがほんとに新鮮じゃないとダメだ。
魚屋やスーパーに、市場からその日に入ったものを使う必要がある。
スルメイカの鮮度を見分けるポイントは、色だ。
新鮮なやつは、鮮やかな茶色をしている。
ただ、色だけに頼ると、冷凍物は鮮度が落ちても色が抜けないから、騙されることになる。
魚屋なりスーパーなりの店員にちゃんと聞いて、そのイカをいつ仕入れたのか、確認することが必要だ。
イカは、自分で捌かないといけないのが、ちょっと面倒くさいのだけれど、これも慣れると楽しくなってくる。
あとはエンペラのあたりを左手でおさえ、右手で中身を引き抜いていくと、わりとすんなり外れてくれる。
あまり引っ張ると、ちぎれるのじゃないかと心配になるけれど、イカは意外に丈夫だから心配ない。
胴には中身とつながっていたところに、長い軟骨が入っているから、それを引き抜く。
中身は目のあたりに包丁を入れて上下を切り離し、脚の根元に硬いくちばしがあるから、それを取り外す。
ワタを使わないのなら、それで胴とゲソが、めでたく手に入ったというわけだ。
すぐに胴がピンク色になり、ぷっくりと膨れてくるから、そうしたら裏返し、またそちらも膨れてきたら、火から下ろす。
やはりこうやって食べるには、鮮度が良くなければいけないと、あらためて実感した次第。
白めしは、酒の肴にならないけれど、カボチャやイモはだいじょうぶだ。
だしはやはり、面倒でも昆布と削りぶしでちゃんと取ると、ほんだしとは味が全然ちがう。
火加減は中火のままで、沸騰した煮汁が、きちんとカボチャの上にかぶる程度にしておく。
アルミホイルの真ん中に穴をあけておくと、アルミホイルが浮き上がってしまわないし、沸騰の加減も見えるのでいい。
落としブタは、丈夫なキッチンペーパーがあれば、それでもいい。
うすくち醤油を、味を見ながらちょうど良い加減になるまで入れ、また落としブタとフタをして、さらに10分弱煮る。
箸を刺してみて、下まですっと刺されば出来あがり。
しばらくそのまま煮汁に浸して、味をしみ込ませる。
菜の花は、花が咲きかけてしまっているからだろう、どっさり入ったのが見切り品で80円で売っていた。
見切り品は、大好きだ。
菜の花を食べるつもりではなかったのだけれど、急遽予定を変更した。
菜の花は、あっという間に火が通ってしまうから、とにかく煮すぎないのがポイントだ。
だしで先に油揚げを煮て、味噌を溶き入れてしまってから菜の花を入れ、ひと煮立ちしたら火を止める。