京都には、「おばんざい」の店がたくさんあるわけなんですが、その中でも昨日行った「御飯処 山ふく」は、異色といえるのじゃないでしょうか。
京都の飲食店は、どうしても気取ったところがあり、それが京都の良さでもあるのだけれど、多少窮屈なところがなくもない。
ところが「山ふく」は、そんな気取ったところが微塵もなく、親戚のおばさんの家にでも来たような気安さでくつろげる。
もう49年やっているそうなので、老舗の部類に入ると思うんですが、大層にかまえたところが全くないのが魅力なんですね。
四条通から花見小路を下がり、一本目の道を東に入ったすぐのところ。
花見小路沿いは、お茶屋の「山ふく」になっていて、そちらが本家のようですが、その裏の、もともとは住宅だったところを改装して、おばんざい屋を始めたそうです。
以前はランチで来たのですが、1,800円という、観光地ど真ん中のこのあたりの店の中では、比較的安い値段で、おばんざいが10品ほども出てきました。
さらにおまけもいくつも出てきて、男性でも完全に満腹になるという量。
20食限定で、ふつうは予約しないと入れないところ、キャンセルが出たというのでたまたま入れましたが、味もどれもよく、夜も一度来てみたいなと思っていたのでした。
「口は悪いが心はやさしい」というタイプです。
息子さんなのでしょうか、男性と、若い女の子とで給仕をしてくれました。
おばちゃんが自分で漬けるのだそうですが、どれも素朴でおいしいです。
醤油で甘辛く炊いてありますが、柚子の風味が香り立ちます。
長い時間炊いて、味がきっちりしみています。
わさびをのせ、醤油をたらします。
しめじと青ねぎ、春菊、葛きりといっしょに、だしで炊いてありました。
ポン酢で食べます。
しじみを甘辛く炊いたもの。
お節句の料理だそうです。
わけぎのぬたで、赤貝が入っている。
これはしろ菜でしょうか、なっぱと油揚げを炊いたものですが、いわゆる「青菜とお揚げの炊いたん」とちがい、たっぷりのだしが入って、吸い物のようになっています。
これは初めて食べましたが、大変いいですね。
これにあと、写真を撮り忘れましたが、かやくご飯でシメました。
たっぷりのイカナゴの釘煮が添えられます。
お酒をそれなりに飲んで、3時間ほども長居して、お勘定は2人で7,700円。
祇園という場所柄もありますから、1万円くらいかなと思っていたら、だいぶ安かったですね。
御飯処 山ふく
その後、この山ふくからほど近いところにあるバーへ、初めて行ってみました。
ゆったりとした椅子のカウンターと、後ろにはボックス席、2階には団体用の個室もあるということでした。
食べログの評価が非常に高かったので行ってみましたが、もう30年になるお店だとのこと、店員の感じもよく、店も落ち着ける雰囲気で、大変よかったです。
チャージが1人500円、それに飲み物は、1杯1,000円でした。
このあたりの店としては、わりと低料金といえるのではないでしょうか。
フィンランディア・バー
祇園から家まで、途中でラーメンでも食べようと歩いて帰りましたが、もう時間が遅かったため、ラーメン屋はあいておらず。
それで24時間営業のスーパーに寄って、朝めしの材料を買って帰りました。
飲んだ帰りにスーパーに寄るなど、以前では考えられなかったわけですが、人間、変われば変わるものだ。
買い物をしてしまうと、自炊モードに切り替わり、「ラーメンを食べたい」などという気持ちが吹き飛んでしまうのが、我ながら笑えます。
昼めしなどにしょっちゅう作って食べていますが、たいへん簡単にできて、しかも非常にうまいです。
材料は豚こま肉と、斜め切りした長ねぎ、焼きそば麺。
それに酒と醤油、それぞれ8分の1カップ程度を合わせたものに、おろしショウガを入れたタレ。
そのまますこし炒め、豚肉の味をタレに溶かし込ませるようにしたあとに、長ねぎと焼きそば麺を入れる。
最後に味見をして、もし味が足りなければ、塩を足したら出来上がり。
この料理は、ウー・ウェン「大好きな炒めもの」の中にあるものです。
この本も、中国の家庭料理がたくさん載せられていて、参考になりますよ。
ウー・ウェン女史のコメントが、またかわいくて泣かせます。