2013-06-11
『自分でつくる うまい!海軍めし』
ぼくが男だからかもしれないですが、軍隊とか、相撲部屋とか、男だけの世界で、男が自分達のために作る料理というものに、興味が湧くんですよ。
軍隊にしても、相撲部屋にしても、プロのコックではなく素人が作るわけだから、作り方があまり難しかったらいけないはずですよね。
でありながら、食事は過酷な肉体労働をするために、大きな楽しみになるはずだから、栄養があるのはもちろんのこととして、まずおいしくなくてはいけないはず。
さらに海軍などの場合なら、船に積み込める物資には、かなりの制限があるはずだから、そういった制限もクリアしなければならないことになる、と・・・。
それで買ってみた、この 『自分でつくる うまい!海軍めし』 なんですが、期待に違わず、興味深いメニューが色々掲載されています。
まず全体を見て驚くのは、洋食メニューが圧倒的に多いこと。
海軍といえば、明治から昭和初期の時代になるわけですけど、洋食とはずいぶんハイカラだなと思ったら、ネットを見たりしてみると、脚気予防と関係があったとか。
明治初期の創設当初の帝国海軍では、食事に和食メニューを出していたところ、長期の航海で乗組員に脚気が蔓延し、大きな問題になったとのこと。
ところが洋食中心の外国の軍隊で脚気の発生はなかったため、「食事に問題があるのでは」ということになり、海軍では食事をすべて、和食から洋食メニューに切り替えたのだそうです。
この本にもステーキだのポークチョップだの、ハンバーグだのカレーだの、色々な洋食メニューあ並べられていて、しかもそれらが、わりとシンプルな作られ方をしているのが、とても興味深いです。
ただ洋食メニューは、乗組員にとってはあまり好評ではなかったそうです。
当時の一般の日本人にとっては、洋食は「バタ臭く」て、あまりおいしいものではなかったのだとか。
そういうなか、あるメニューの発明が、牛肉などの洋風食材を乗組員に効果的に食べさせるために大きな役割を果たしたそうです。
それが「肉じゃが」だったとのこと。
肉じゃがは、イギリス留学経験がある東郷平八郎が、艦上で「ビーフシチューが食べたい」と言ったところ、艦船の調理師はシチューを食べたこともなく、またドミグラスソースなどの調味料もなかったため、醤油と砂糖で味付けしたと言われています。
今では「おふくろの味」の代表ともされる肉じゃがが、海軍において、ある必要性から発明されたというのはおもしろい話だと思うんですが、『自分でつくる うまい!海軍めし』 には、他にも似たような、和洋折衷料理がいくつか載っています。
豚肉をニンジンにゃジャガイモと煮込んだものは、味噌で味付けがされているし、おでんには牛肉が入っています。
どこまでが海軍のオリジナルなのか、この本からだけでは定かには分かりませんが、このあたりの和洋折衷感も、この本の興味深いところだと思います。
この本は、「自分でつくる」と表題に入っているところから分かる通り、詳しいレシピもついています。
それも、艦船の厨房ではなく、自宅の台所で作れるよう、味付けや材料には忠実でありながら、きちんとレシピが書き換えられている。
化学調味料などは使わず、材料や調味料もシンプルなものばかりなので、この本は、料理の入門書としても悪くないのではないかと思います。
ぼくも上の肉じゃがや豚の煮込みを初めとして、この本を見て作るようになったものはいくつかあります。
「レシピのご飯の量が、一人前2合なんだよね。」
そうそう、それだけは気を付けないと多すぎなんだ。
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