「時代祭」は京都三大祭のひとつだが、ほかの二つ、祇園祭と葵祭が千年以上の歴史をもつのに対して、まだ百年ほどにしかならない。明治時代が始まって、都が京都から東京へうつされ、落胆した京都の人たちの気持ちを少しでも慰めようと、明治28年に、建都1100年を記念して平安神宮が造営され、それと同時にこの時代祭が興された。運営するのは「平安講社」という市民組織。祇園祭と葵祭が、選ばれた人だけが参加できるのに対して、こちらはより市民参加型になっていて、初めは500人ほどだった行列が、今では2000人を超えるのだそうだ。
行列は京都御所を出発し、丸太町通を西へ。烏丸通を南に下り、御池通、河原町通から三条通へ入り、平安神宮へ。4.5キロの工程を、様々な時代の衣装に身を包んだ2000人の人たちが練り歩く。行列の先頭から最後までが通過するのにも、1時間半。かなりの規模だ。僕はこの祭りには、さほど興味があるというわけでもなかったが、やはり京都の三大祭、見れるときに見ておかないと、いけないだろうということで、烏丸通、京都新聞社の前に陣取り、カメラを構えて行列を待った。
平日だし、見物客は、あとになるとこの写真を取った時よりちょっと増えたが、それほどでもなかった。隣の外人さんは、ニュージーランドの人で、話しかけたらちょっと仲良くなって、行列を待つあいだに色々話をした。日本の街や車があまりにきれいだと言って驚いていた。
初めは維新勤王隊列。
坂本龍馬。注目されて照れくさそうだった。
牛車はほんとに牛が引っ張ってる。牛はおとなしく歩いてたが、馬は気が立ってまっすぐ歩かないのが何頭もいた。
この人が謎だったのだが、役どころとしては誰でもないのだが、やけに偉そうで、いちばん貫禄があった。何人ものカメラマンが写真をパチパチ撮って、「会長」とか声をかけられてたから、物好きのお偉いさんが、自腹で参加しているとか、そういう感じなのだろうか。
大原女。この人けっこうな京美人ですな。
途中で何度も、区切りになると、この格好をした人たちが大勢登場する。たぶん地元の名士とか、そういう感じなのでしょうね。
などなど。
これはとにかく衣装がすごくて、明治時代から平安時代までのこれら膨大な数の衣装を、時代考証して、作って、またそれを100年にわたってきちんと保存して、修繕したり、使い終わったらクリーニングもするのだろうし、かけられている人手と時間たるや、どれだけのものだろうと想像もできない。時代祭はまず第一に、この衣装を見て驚くものなのだな。
しかしそれだけ衣装が凝っているわりには、お囃子など鳴り物系が少なくて、初めにちょこっとあったきりで、あとはただ人が黙々と歩くだけになってしまうので、2時間近い長丁場、ちょっと間が持たず、見物人としては疲れてしまうところがある。そのあたりのこと、もう少し考えてもらえれば、なお楽しい祭りになると思うのだがな。