2011-11-28
肉や野菜の自然の味を、まるごと味わう。
スペイン版ポトフ「コシード」
スペインの料理は、調味料をあまり使わず、肉や魚介、野菜の素材の味を、そのまま活かしたものが多い。
なかでも「コシード」とよばれる料理は、その最たるものだろう。
「コシード」は、スペイン語で「料理」のこと。
料理の名前に「料理」とつくのは、それがまさに、スペイン料理の基本形であることを意味するのかもしれない。
コシードは、肉や野菜を、とにかく煮るだけ。
味付けは、ひとかけのニンニク。ローリエ。あとは塩、コショウ。
秋から冬にかけて、スペインの農家では、朝からコシードを、暖炉の火でコトコト煮込む。
自分の農場で育った、家畜や作物。その自然の味を、心ゆくまで味わうということなのだろう。
材料は、まず豚の骨付き肉。鶏の骨付き肉。牛のかたまり肉を入れても、もちろんいい。
ニンニクひとかけと、ローリエをくわえ、水を張って、火にかける。
煮立ったら、アクをとり、そのまま1時間ほど、フタをして、弱火でコトコト煮込む。
1時間たったら、塩、コショウ。
次に野菜をいれていく。
まずはガルバンゾ。ひよこ豆。
生のひよこ豆が手に入れば、それを一晩、水でもどし、肉といっしょに煮込む。
水煮した缶詰だったら、ここで入れる。
半分に割った、ジャガイモ。大きく切ったニンジン。玉ねぎ。カブ。カブの葉。キャベツ。
長ネギや、セロリをいれてもいい。
野菜はどれも、大きく切る。
30分ほど、野菜がこっくり、やわらかくなるまで煮る。
煮上がる10分ほど前に、破裂をふせぐため、フォークで穴をあけたチョリソーをいれる。
最後に味をみて、もう一度、塩、コショウで味をととのえ、出来あがり。
スペインでは、まずスープだけを、ショートパスタをくわえて味わい、次に肉と野菜を、メインとしてたのしむ。
しかし日本人なら、スープ皿にいっしょに盛って、箸とスプーンで食べるのも悪くない。
ショートパスタをここに入れれば、そのほうがうまいだろうが、今回は割愛。
トマトソースや、オリーブオイルとワインビネガー、粒マスタードなどで変化をつけても、またうまいとのこと。
酒はもちろん、スペインではワインだろうが、料理の味に癖がないから、日本酒でも十分いける。