こう寒くなってくると、鍋が恋しくなってくる。このところスペイン料理にハマっているおっさんだから、スペイン料理で鍋にあたるようなものがないかと探してみたら、いいのが見つかった。
「Sopa de Pescados y Mariscos」
海の幸のスープ。
エビやらイカやらアサリやらムール貝やら、白身魚やらを入れ、スープに仕立て上げる。
味付けはトマトやサフランを入れたり、小麦粉を入れトロミをつけたり、さまざまなやり方があるようだが、今回はそのなかで最もシンプルな、塩コショウだけの味付けで作ってみることにした。
魚はタラのあら。魚屋にイキのいい、うまそうなのがあったから買ってきた。
魚屋は、行けばいろいろ話し込む。昨日もまだ作ってもいない、この海の幸のスープの作り方を、魚屋のお兄ちゃんに、調子にのって教えてきた。
タラは魚屋ですでに塩をふり、もみ洗いしてくれたものだったから、そのまま水洗いし、よく水をふき取って使ったが、ふつうに鯛などのあらを使うばあいは、塩をふってしばらく置いて、よく水洗いするくらいのことは、しておいたほうがいいだろう。ただ魚はオリーブオイルで炒めてしまうし、ニンニクも入れるから、それほど神経質になることもない。
もちろんあらじゃなく、ふつうに白身魚の切り身を使ってもよいに決まってる。切り身のばあいなら、何もせず、そのまま使ってしまえばいいだろう。
それからアサリ。
アサリは塩水にしばらく浸け、砂出しをしておく。
エビやイカ、ムール貝などを入れるのは、もちろんいいが、今回は省略。
スペインでは、この海の幸のスープに、丸ごとの野菜を入れたりはしないみたいなのだけれど、やはり日本人としては、鍋には野菜がほしい。
スーパーで大長考をしたあげく、ジャガイモとシメジを入れることにした。
白菜も入れてみようかと、一瞬思ったのだけれど、それはやめておいた。
あとはそれに、みじん切りのニンニク1かけか2かけと、玉ねぎのうす切り半個分。
出汁は昆布でとる。
スペインではもちろん、昆布を使ったりはしない。あらかじめ魚の骨やエビの頭などで出汁をとっておくか、または顆粒のスープを使うみたいなのだけれど、ここは日本なのだから、昆布を使っても悪くない。
まずフライパンに、たっぷりとオリーブオイルをいれ、玉ねぎとニンニクをじっくり炒める。玉ねぎがしんなりと透き通るようになったら、油をきって取り出しておく。
オリーブオイルをちょっと足して、今度は魚を炒める。これはオリーブオイルやニンニクの風味をつけ、臭みをとることが目的だから、ざっと炒めるだけでいい。
エビやイカなどをいれるばあいも、ここで入れる。
魚にかるく火が通ったら、アサリをいれる。白ワインひとふりを入れ、フライパンにフタをして、アサリの口がひらくまで蒸し焼きにする。
ただ昨日、失敗したと思ったのは、ここからさらに野菜を入れて、しばらく煮込んだために、アサリがかたくなってしまったことだ。
アサリやエビ、イカなどは、炒めたらいったん取出しておいて、最後にもどし入れるようにしたほうが、いいんじゃないかと思う。
昆布出汁をそそぎ、塩コショウする。塩ははじめは、うすめに入れておく。
じゃがいもを入れ10分ほど煮込む。
しめじを入れ、味をみて、必要ならば塩を入れ、ひと煮したら出来あがり。
器によそい、パセリのみじん切りをふる。
出来あがった「スペイン風海の幸のスープ」。
これはですねえ、実にうまい。もう一度いいたい。実にうまい。
塩コショウだけのシンプルな味付けなので、魚のうまみが活きていて、まさに水炊き感覚。でありながら、ニンニクと玉ねぎ、オリーブオイルがきいているから、きちんとスペイン風。ワインとパンにもバッチリ合う。
これは、たまらない。
サバなど青身の魚のばあいだと、このままではちょっと味が足りないかもしれないけれど、トマトで味をつければうまそうだ。
材料や味付けを変えれば、さまざまにバリエーションを楽しめそうだし、これから鍋の季節、このスペイン風鍋にはハマりそうですわ。
と大満足の、おっさんでした。
めでたし、めでたし。