2011-11-06
手軽にできるが、野菜もスープもたいへんうまい。
「イワシのスペイン風煮込み」
スペインでは、イワシをよく食べるみたいで、レシピを見てもイワシの料理がたいへん多い。スペインの市場へ行くと、イワシだけを売っている店もあるのだとか。日本にも市場には、魚一般をあつかう店のほかに、マグロの専門店があったりするけれど、それと同じようなものなのか。
昨日はそのイワシを、野菜といっしょに煮込むというのを作ってみた。スペインで魚をどのように煮込むのか、興味があるところだ。
レシピをみると、スペインではこの料理を、「フタ付きのキャセロール」で作るのだそうだ。家にキャセロールはないから、とりあえずいつも使っている土鍋でやってみたが、問題なくうまくいった。
まず鍋の底に、うす切りにした玉ねぎ2分の1個分と、1センチほどの厚さに切ったじゃがいもをならべる。
そこにローリエ1枚と、みじん切りにしたニンニク1かけ分。
さらにうす切りにしたトマト1個分と、やはりうす切りにしたピーマン1個分をかさねる。昨日はピーマンの代りに、万願寺とうがらし。
この上に、頭とハラワタを落としたイワシをならべる。イワシはスーパーに行けば、だいたいこの状態で売っているし、もし頭がついていたら、それをただ包丁で落とし、指で腹をさいてハラワタをかき出し、よく洗えばいいだけだ。
レシピには、「場合によっては、骨と尾もとる」となっていて、この「場合」がどういう意味なのか、よくわからなかったが、要は「食事のときに、ナイフが使えないような場合」なのだな。
イワシは手で開けば、簡単に骨もとれるが、今回は骨をつけたまま煮込んだ。
ここにまず、塩コショウ。塩は入れすぎないことが肝心だが、2つまみくらい入れたらいいと思う。
つぎにサフラン少々。
パセリのみじん切り。
さらにほんとうは、パプリカの粉を入れるんだそうで、これが味のポイントともなるそうだが、昨日は買い忘れたので省略。
そこに水と白ワインを、それぞれ4分の1カップ分。
オリーブオイルをだらりだらりとかけ回し、火にかける。
鍋のフタをして中火で煮立て、そのあと弱火にして、そのまま20~30分煮込む。たいへん簡単。
水と白ワインそれぞれ4分の1カップというと、水が足りるのか、心配になるのだけれど、これはトマトの水が上がってくるから、すぐに丁度よい汁加減になる。イワシはその汁の水面上に、顔を出した状態となるが、要はイワシは「蒸し焼き」にするということなのだな。
この料理は、鍋のまま食卓へ出すのだろう。スペインのお母さんが、食卓でこれを各自の皿にとり分ける様子が目にうかぶ。
皿にとり分ける前か、食べる前かに、さらにパセリをふりかけるようにする。
このイワシの煮込み、まずこの黄色いサフランの色が、いかにもスペイン風。パプリカをいれると、これがオレンジ色になるのか。よくわからないが、いずれにしてもこの鮮やかな色は、日本では考えられない。
イワシも、汁にどっぷり浸かってしまわずに、蒸し焼きにされていたから、20~30分も煮込んだのにもかかわらず、パサパサにならず、ぷりぷりした食べごたえを保っている。
しかしこの料理は、むしろイワシより、野菜を味わうものなのだな。蒸し焼きにされたイワシからでてきたうまみが、イワシの下にしかれた野菜に、いい味を付けるようになっている。
さらに言うまでもないが、このイワシの出汁がたっぷりしみ出たスープがたいへんうまく、パンを浸して食べると死ねる。
全体としてこの煮込みは、非常に簡単なのにもかかわらず、イワシ、野菜、そしてスープのそれぞれのおいしさを、うまいこと引き出す、よく考えられた料理法だ。
ローリエははじめて使ったが、独特のつよい香りと味がでて、いかにも西洋料理という風情になる。
昨日はもうひとつ、「万願寺のスペイン風」。
スペインには、ガルシア地方特産の、「ピミエント」という種類の小型のピーマンがあるのだそうだ。これは日本でいえば「ししとう」で、基本は甘いが、たまに辛いのがあるとのこと。
スペインではこれを、オリーブオイルで素揚げしたり、炒めたりして食べるというから、昨日は京都特産の万願寺とうがらしを、スペイン流の料理法で食べてみた。
フライパンにオリーブオイルと、たたき潰したニンニクをいれ、まずオリーブオイルをゆっくり温めて、ニンニクの味をうつす。
ニンニクは味がでたら捨て、そのニンニク味のオリーブオイルで、万願寺を炒める。塩コショウで味付けしたら出来あがり。
これはまさに、手軽な酒のつまみという趣き。
油でギトギトしているように思うかもしれないが、オリーブオイルだから、まったくしつこくなく、さわやかな仕上がりとなる。
昨日もこれらのつまみで、白ワインをコップに2杯。
ちなみに昨日、サウナで体重を測ったら、毎日スペイン料理を食べるようになった今週、1週間前より1キロやせていた。
食べる量を減らしているつもりはないから、スペイン料理は低カロリーということなのか。