魚屋へ行ったら、おばさんがきすをすすめてくれた。
きすといえば天ぷらだと思うけれども、フライやムニエルもうまいとのこと。
おばさんに料理の仕方を根掘り葉掘り聞きだして、大根おろしにポン酢しょうゆのムニエルにすることにする。
あとは引き続き、冷蔵庫に入っている残り野菜の処理が中心。
きすは腹開きにして塩コショウし、片栗粉をふる・・・。
腹開きは頭を落とし、腹から包丁を入れて背骨の両側に切込みを入れ、最後に背骨の下に包丁を入れて背骨をはずす。
理屈は簡単だけれども、きすはサンマやイワシとちがって腹骨が固いから、それを断ち切るのにけっこう苦労する。
開いたら、さらに包丁で腹骨をすき取る。
たっぷりのオリーブオイルで揚げ焼きする・・・。
きすのムニエル。
大根おろしとすだちを添え、しょうゆで食べる。
三つ葉がもう今日で限界だから、冷凍してある鯛のあらで吸物・・・。
ほうれん草とシイタケは、バターで炒めてしょうゆで味付け。
ナスは焼きナス・・・。
いただきます。
ほくほくのサクサク。
和久井映見は、昨日はすこし体調をくずして自分の家で休んでいた。
おっさんは、今日は来られるのかどうか、電話がしたくてたまらない。
「でもあまりせっつくようになるのも悪い・・・」
夕方まで待ち、暗くなったころ電話してみようと思う。
その時、インターフォンのチャイムが鳴った。
宅急便かと思って出てみると・・・。
「映見です・・・」
いきなり幸せの絶頂になり、玄関のドアを開けて和久井映見がエレベーターで上がってくるのを待つおっさん・・・。
しかし和久井映見も、ただではおっさんの家にいない。
おっさんの生活態度をあれこれチクチクと指摘する。
ホコリにまみれたおっさんの家を隅から隅まで掃除したきれい好きの和久井映見は、おっさんにそれを維持するようにと言う。
おっさんもすこしはマメに、掃除機をかけたり洗濯をしたりするようになっている。
「和久井映見といっしょにいられるためならば、こんなことくらい安いものだ・・・」
「この幸せがいつまでも続くといいね」
オレはがんばるよ。