池波正太郎の「そうざい料理帖」、まだいくつか食べてみたいものがあって、昨日は「豚肉のうどんすき」。
池波が小説家子母沢寛の家へ遊びに行ったときにごちそうになったもので、子母沢の著書に
「・・・鍋に湯をたぎらせ、これに豚肉を二百匁ほど入れ、ぐたぐたと煮立てた中へ、うどんをさっと入れ、玉がくずれてさらさらとなったところをつまみあげて下地へつけて食べる。うどんの芯まで熱くなっては駄目。うどんの玉がくずれたかくずれないかという、この加減が、ちょっとめんどうだが・・・」
と書かれているというもので、池波はこれを豚肉の細切れでやり、子母沢に教えられた醤油1、みりん1、昆布だし4の割合にととのえたものへつけて食べるのだという。つけ汁はめんどうなときは、生醤油でもいいそうだ。
ちょっと前から、これを昼に食べようと思って、特売日に豚コマ肉を買ってあったのだが、前日の鍋の残りで雑炊にしたり、外食をしたりしているうちに、賞味期限を2日も過ぎてしまった。でも賞味期限など、2日くらい過ぎたって、何も問題ない。キムチなど、賞味期限を過ぎたほうが、鍋や炒め物にするにはおいしいくらいだ。じっさい臭いをかいでみたが、悪くなっているきざしもなかった。
池波は「湯をたぎらせ」と書いているが、ここはやはりせっかくだから、だし昆布に酒を入れる。
つけ汁は、醤油とみりんをあらかじめ入れておいたところに、沸騰した鍋のだしを入れるようにしてみた。
鍋に豚コマ肉を入れ、
豚コマ肉の色が変わったら、冷凍のうどんを入れる。
ちなみに何度も書いているが、うどんは冷凍がうまい。下手なうどん屋で食べるより、よっぽどうまい。
いやこれはうまかった。
ただ今回、みりんのせいなのか、鍋からよそった汁に入っていた酒のせいなのか、つけ汁がアルコールの臭いがきつかった。鍋から汁をよそうタイミングを、もうちょっとあとにして、きちんと煮切ってしまわないといけなかったかもしれない。
もちろんいっしょに発泡酒。うどんを食べ終わったら、だしをつけ汁に入れて飲む。豚のだしがたっぷり出ていて、これがまたたまらない。
晩酌は、カキの小鍋だて。
一人用の小さな鍋は、小さすぎて使いにくいと、ついこないだ書いたばかりなのだが、このごろは甚だ便利に多用している。小さなテーブルに鍋の材料を入れた皿をならべるのは、たしかに狭いし、キーボードを打ちながらいちいちそれを鍋に入れていくのは、煩わしいのだが、煮えたての鍋というのはやはりうまいから、仕方がない。
カキは塩をふって揉み洗いし、そのあと水でよくすすぐ。
野菜は豆腐と長ねぎ。
カキはほんとに、温まったかどうかというくらいで引き上げる。
小鍋だては、一回に食べる分だけをちびちびと入れていくので、材料をあれこれ入れずに、2品か3品にしぼるというのが、煩わしさを避けるためには重要だ。肉か魚に、豆腐を入れたらもう2品、あと1品何を入れるかというときに、長ねぎは主張が強くて、ほかのものに負けないのがいい。
鍋にはだし昆布と酒。タレは醤油にレモン汁をたらす。レモン汁はポッカレモン100。
全国地酒めぐりの旅、いよいよ今日から京都篇。
家からそう遠くないところに「佐々木酒造」があって、そこで純米酒を買ってきた。佐々木酒造は、俳優佐々木蔵之介の生家で、蔵之介が家を出てしまったものだから、今はその弟が継いでいる。
この「聚楽菊」、2,100円のお手頃価格、まずは常温で飲んでみたが、とくべつな風味や深みはないものの、甘くもからくもない、はんなりとした、いかにも京都風の味。するすると入るから、気を付けないと飲み過ぎてしまうな。
酒を2合飲んで、シメは雑炊。
雑炊にはレトルトご飯をつかうのが便利。1膳分だと多いから、半分に小分けになっているのを買ってきた。
鍋の汁に塩で味をつけ、醤油をたらし、ご飯をいれてさっと煮る。いや極楽。
佐々木酒造