2012-02-21
調味料を加えるだけで全くちがう味。
「韓国式ブリ大根」
韓国の料理は、日本人にとっては、合う人と合わない人とが極端に分かれるのではないだろうか。
日本人は、辛いのが苦手な人が、少なくない。
韓国の料理は、ほとんどが激辛料理だから、言うまでもないが、辛いのが苦手な人は、食べられない。
子供は辛いのが苦手な場合も多いから、韓国の子供はどうするのかと思うかもしれないけれど、韓国では、子供にはやはり、それなりのトレーニングを積ませるみたいだ。
小さな子供には、キムチを水で洗って食べさせたりしている。
しかし小学生くらいになると、もうすでに、キムチがないとご飯が食べられなくなっていたりするからオドロキだ。
韓国でここまで広く普及している唐辛子だけれど、元々は秀吉の時代に、日本を経由して韓国に入ったのだそうだ。
日本では、七味唐辛子など、あくまで添え物にしかならなかった唐辛子だが、韓国では主役の座に躍り出ることとなった。
唐辛子をめぐるこのような扱いのちがいが、どのような国民性のちがいを背景としたものなのか、興味がわくところだろう。
もともとは中国の強い影響のもとにあった日本と朝鮮だが、徐々に独立の機運が生まれ、統一国家としての道を歩むことになる。
その際、中国から遠く離れた日本では、中国からの影響を排除するのもそれほど難しくなかったろうけれど、中国と大地を接する朝鮮では、つねにその影響と戦わなければならなかったろう。
さらには秀吉が朝鮮半島に侵略したことで、朝鮮にとっては、日本も戦う相手となる。
朝鮮は、長い年月にわたり、東西の脅威にはさまれながら、自らの独立を保っていかなければならなかったということだろう。
朝鮮半島では、現在でも、南北に分断され、緊張がつづいている。
韓国は、北朝鮮との一触即発の状況のなか、いつでも応戦できる体制をととのえている。
地理的に離れた場所で、侵略の脅威もなく暮らしてきた日本とは大きくちがう。
唐辛子の辛さは、「口」という肉体にたいする、一種の攻撃であるともいえるだろう。
唐辛子を食べることにより、その攻撃を受けながらも、栄養分をとり入れ、さまざまな効能を求めることは、朝鮮半島が歴史的に、緊張状態がつづいてきたことと、無関係ではないように思える。
じっさい韓国へ行くと、街頭でケンカしているのかと思うような光景を、しょっちゅう見かける。
しかしそれは、日本人にはケンカしているように映っても、韓国の人にとっては、べつに何でもない、ふつうの会話だったりする。
日本と韓国とは、長年密接な交流があり、兄弟ともいえるような身近な関係なのだけれど、歴史的、地理的な条件により生み出される国民性には、大きなちがいがあるということなのだろう。
韓国の料理は、唐辛子、それにニンニク、それからゴマを、大量に使うところが、日本の料理とは大きく異なる。
しかし実は、ちがいはその3つだけで、あとは日本の料理とよく似たところも少なくない。
ものすごく単純に言ってしまえば、日本の料理に、唐辛子とニンニクと、ゴマ油を入れれば、韓国の料理になる。
韓国でも、魚の煮付けはよく作られる料理の一つとなっているが、日本の煮付けと異なるのは、上の3つの調味料が入っていることだ。
あとはほとんど同じだといってもいい。
作り方はほとんど同じなのに、できるものは全くちがって感じられるから、日本人にとって、韓国式の料理を学んでみるのは、楽しいこととなる。
それで昨日は、ブリが食べたいなと思い、韓国式で、ブリ大根を作ってみた。
ブリは、あらを買うと、うまくて安い。
煮付けにするなら、あらは脂が乗っているから、切り身より断然いい。
ブリは臭みが出やすいから、熱湯で湯通しし、その後よく水で洗って、血のかたまりやヌメリをていねいに落としておく。
大根は、20~30分下ゆでし、箸がすっと通るくらいにしておく。
大根とブリを鍋に入れ、まずたっぷりの酒。
酒はどれだけ多くてもいい。ぜんぶ酒で、水を一切入れないのが、一番うまい。
しかしなかなかそういう訳にはいかないから、ヒタヒタになるまで水を足す。
それに、砂糖、みりん、しょうゆ、それぞれ大さじ2~3杯。
ここまでは、日本のブリ大根と同じ。
さらに韓国の粉唐辛子、粗びきのと細引きのを、大さじ1杯くらいずつと、みじん切りにしたニンニク2~3カケ分、やはりみじん切りにしたショウガ1カケ分、それにコチュジャン大さじ2~3杯を入れる。
キムチがあれば、それを入れてもいい。
あとは落としぶたをし、弱めの中火で20~30分、煮汁が半分から3分の1くらいになるまで煮る。
最後に春菊でも入れて、ゴマ油を大さじ1くらいたらし込んだら出来あがり。
いつものブリ大根が、全くちがった味になり、これはこれで、大変うまい。
辛いのが好きな人は、こちらの方がいいと思う人も少なくないだろう。
酒はビールや焼酎はもちろん、日本酒でもまったく問題ない。
ただ日本酒は、燗をつけてしまうより冷や酒のほうが、唐辛子で熱くなった口の中を冷ましてくれることになるのでいい。
残り汁を、温かいうどんにかけて食べると、またうまい。
2011-09-24
韓国人のユキちゃんに作ってもらったプルコギ
別居した直後は、言うまでもないことだが、寂しくてやりきれなかった。今まで家族がいた家に、一人きりで住んでいる。ついこないだまで聞こえていた子供たちの声が、今はもう聞こえずしんと静まり返っている。これにはさすがに耐え切れず、しばらくは激しく飲み歩くこととなった。
職場のあった渋谷で、仕事仲間と飲むにとどまらず、自宅があった蒲田でも、あっちの店こっちの店と、夜な夜な渡り歩いた。
蒲田は東京の最南端のどん詰まりにあり、JRの駅に加えて、東急池上線、目黒線の始発駅ともなるちょっとしたターミナルなのだが、JRで急行に相当する東海道線が、品川から蒲田を通り越して隣の川崎まで行ってしまうためか、垢抜けたところがない街だ。最近駅ビルが改装されてきれいになったが、依然として駅前は、東口も西口も、古い雑居ビルが所狭しとならび、サラ金の看板とパチンコ屋がやけに目立つ。
西に京浜工業地帯の小さな町工場群を抱え、歴史的にそこの労働者が飲みに来る街だったのだろう、ガード下やら細い路地やらに、小さな飲み屋が密集している。タクシーの運ちゃんに聞いた話だが、飲み屋の軒数としては、蒲田は新宿より多いのだそうだ。
今はもう、新しく東京都の条例ができて、そんなことはなくなってしまったのだが、10年ほど前までは、夜9時頃蒲田の駅を降りると、駅前にふんわりとしたパーマをかけた長い髪に、濃い目のメークをばっちりと決め、ロングドレスを着た、背が高く痩せたお姉さん方が何人も、駅前で待機して客引きをしていたものだ。さらにその向こうには、今度は中国人のお姉さん方が、マッサージの客引きをしていた。
そんな怪しい街に住んでいたものだから、別居の寂しさから、そのお姉さん方のいる店の一軒一軒を訪ねることになってしまったのは、仕方が無いことだっただろう。
その中で一軒、特に通いつめたのが、韓国エステの店だ。西口のロータリーから小さな路地を入ったすぐのところにある、雑居ビルの3階にあったのだが、その店のユキちゃんという女の子に、僕は完全にハマってしまった。
ユキちゃんは当時29歳だったのだが、韓国人の女の子は、時々ものすごく若く見える顔立ちの子がいて、どう見ても23、4にしか見えなかった。韓国のホテルで美容院を経営していたが、それに失敗して負債を抱え、まだ幼稚園に小学生だった娘二人を韓国の親戚に預け、日本へ出稼ぎに来ていたのだ。
日本に来たばかりの頃で、僕が初めての客だったとのこと、泥酔した僕を慣れない手つきでマッサージしてくれたのだが、寂しい男は、隙のないプロより、素人臭い女に惹かれるものだ。それからというもの週に2~3回のペースで、その韓国エステに出かけ、ユキちゃんにマサージを受けるようになった。
それだけ常連になると、店に行くとマッサージだけでなく、ユキちゃん手作りの韓国料理を出してくれたりするようになる。さらにユキちゃんとは、店に内緒で個人的に付き合い、家に呼んだりもするようになったから、その時にもずいぶん、韓国料理を作ってもらった。
もう忘れてしまったものも多いのだが、作ってもらった韓国料理のうち、強く印象に残っているものの一つがプルコギだ。ニラが欲しかったユキちゃんは、「ニラ」という日本語が分からず、「細長くて緑色の野菜」というから、青ネギを買ってきて手渡したら、「これは違う」と言いながら、けっきょくその青ねぎを使っておいしいプルコギを作ってくれた。
不思議とそれから、自分でプルコギを作ることはなかったのだが、先週10数年ぶりに作ってみて、ちょっと失敗したから、昨日もう一度作ってみたというわけだ。
材料はまず牛肉。薄切りの肉なら何でもいいが、グルメシティでは木曜の特売日で牛コマ肉を安く出すので、昨日はそれを使った。それからニラ、玉ねぎ、ニンジン、昨日はそれに加えてシメジを入れた。プルコギに普通何が入るのか、ユキちゃんは当時何を入れたのか、ちゃんと覚えていないが、ニラと玉ねぎは間違いない。昨日はこれに彩りのニンジン、食感のシメジで、全く問題なかった。
調味料は、まず砂糖。韓国料理は、意外と思う人もいると思うが、砂糖を多用するのだ。それから醤油。酒とみりん。ここまでは日本の調味料と全く同じことだから、肉じゃがを作るのと同じような感覚で、ジャバジャバと入れていく。
しかし韓国料理だから、当然ここにニンニクが入る。ユキちゃんがプルコギを作っていた時にも、びっくりするほど大量のニンニクを入れていたのだが、今回も株になっているニンニクの半分ほど、5かけくらいを入れてみた。でも食べてみたら、この肉と野菜の量なら、もっと入れても良かったかもしれない。あとはゴマ油をだらりだらりと振りかける。
以上の材料をフライパンに全て入れ、これを手でよく混ぜ合わせる。手を使うのが、韓国料理独特のやり方なのだよな。両手を使い、野菜と肉に、調味料を揉み込むようにしていく。韓国では、料理の味を、「オモニ(お母さん)の手の味」と表現したりもするそうだ。
あとはこのままフライパンを強火にかけ、肉に火が通り、野菜がしんなりしたら出来上がり。火にかけると、すぐに大量に水が出てくるので、プルコギが日本語で「焼肉」と訳されるわりには、焼くというより蒸し焼きのような形になる。焼肉屋などでは、ジンギスカン鍋のような、中央が丸く盛り上がった鉄板を使い、汁がまわりに垂れることにより、肉と野菜がきちんと「焼ける」ように工夫していたりもするが、ユキちゃんはフライパンでやっていたから、家庭ではこれでいいんだろう。
前回プルコギを作った時は、ショウガを入れてしまったために、プルコギだかショウガ焼きだか分からないものになってしまったのだが、今回はちゃんと、完璧なプルコギ。この作り方で、きちんとプルコギになるのは間違いない。
プルコギは、肉と野菜から染み出してくる汁が、また非常にうまい。この汁をご飯にかけて食うと最高なのだが、今日はご飯がなかったのが残念だった。
昨日はあまりにいい天気。しかも休日だから、街ものんびり静まり返り、ほんとは色々やろうと思っていたのに、全くヤル気にならなかった。
朝飯はいつも通りのうどん。
昼飯は、これもいつも通りの、ビールに塩焼きそば。これは何度食っても、ほんとにたまらん。酒に風味づけ程度の醤油、ニンニクとショウガ、それに塩コショウで味付けする。
2011-09-16
うろ覚えで作ったプルコギ、微妙に失敗
韓国へは大学の時、ホームステイをしたのが初めだったのだが、この時はカルチャーショックで腹を壊して大変だった。
韓国はお隣りの国で、街などを歩いていると、日本にそっくりと思えるところもあるのだが、その一方で、すべてが違うという感じもする。その典型が料理で、韓国の料理はすべてが赤い。そして独特の風味がする。ニンニクの風味だ。
韓国へ行ったことがある人は、ご存知のことと思うが、日本で食べる韓国料理と、実際に韓国で食べる韓国料理とは、ニンニクの量が桁違いだ。韓国で料理を作るのを見ていると、目が点になるほど大量のニンニクを入れる。多くの日本人は、それだけ大量にニンニクが入った料理を受け入れられないから、日本の韓国料理では、ニンニクは相当減量されている。初めて韓国へ行った時には、すべての料理から、この極度に強いニンニクの風味と、それに唐辛子の辛味がするところに、まずはやられてしまったというわけだ。
さらに生活習慣も、韓国は日本と極度に違う。ステイ先の食事に、尾頭付きの大きな魚を真っ赤に煮付けたものが出てきた。この煮付けに大量のニンニクと唐辛子が入っている時点で、すでに拒否反応があったところに、その食べ方が、その時はまた耐えられなかった。家族の全員がその煮付けを直箸でつつき、そのまま口へ入れている。それは日本ならマナー違反だろう。
日本でのマナー違反が、韓国では何も問題ないという例はけっこう多くて、たとえば猫まんまをすること。味噌汁をご飯にぶっかけるのは、日本ではどちらかと言えば下品とされているが、韓国では正式な食べ方だ。しかも日本が味噌汁をご飯にぶっかけるのに対して、韓国ではそれはマナー違反になり、逆にご飯を汁のお椀の方にに入れなければならない。日本では茶碗やお椀は手に持って食べないといけないのに、韓国では反対に、手に持って食べるとダメ。女性が立て膝をしたりお膳に肘をついて食べたりするのは、日本では下品だが、韓国では正式な作法。日本で良いとされていることが、韓国ではダメで、韓国で良いとされていることが、日本ではダメ。このすべてが真逆になったようなところも、初めて韓国へ行ったときには、どうにも受け入れることができなかった。
しかし二度目に韓国へ行った時には、慣れもあったのかも知れないが、韓国の料理や習慣に、すんなり馴染むことができ、ホームステイ先の家族とも涙の別れをして日本へ帰ってきた。それ以来、韓国は大好きな国となり、今に至っている。
韓国と日本とは、ほんとに距離が近い、お隣りの国で、歴史的に交流も深かったのに、どうしてこれほどまでに、料理の仕方や習慣がちがうのか。やはりあまりにも近い国だったから、双子が一緒の家に暮らすと、お互い違おうとする気持ちが働くと言われるように、近親憎悪のようなものがあったのかとも思うのだが、「ニンニクと唐辛子」だけに着目すると、その背景となる考え方自体に、韓国と日本で根本的な違いがあったのかなと思うところがある。
韓国と日本とでは、調味料は全体としては、それほど変わらない。日本で使われる調味料は、基本的に韓国でも同じように使う。おそらくは韓国も日本も、まずは中国の食文化の影響を、等しく受けているということなのだろう。
ただ調味料の中で突出して違うのは、ニンニクと唐辛子で、これは元々中国で使われていたものだったのだろうが、それが韓国では、極度に増幅されて、ほとんど調味料の中心とも言える位置付けになっているのに対して、日本ではほとんど使われなくなっている。ニンニクは伝統的な日本料理には、まったく使われないものだろうし、唐辛子も七味のような形で、好みにより振りかけるという程度の使われ方しか、日本ではされないわけだ。
この、ニンニクと唐辛子をふんだんに使うか、ほとんど使わないかという違いが、なぜ生まれたかということなのだが、これは肉や魚の「臭み」に、どう対処するかということの、考え方の違いを表しているのじゃないかと思うのだよな。
日本の場合、肉や魚の臭みは、徹底的に取り除くわけだ。湯通しや下ゆでをしたり、あくをていねいに取ったりすることにより、臭みを排除していく。ショウガにより臭みを消したりもするが、それはどちらかと言えば次善の策で、日本ではまず臭みがまったくないことが、尊ばれると言えるんじゃないか。
それに対して、韓国でニンニクや唐辛子を大量に入れるというのは、臭みに対して、もっと強力に臭いものや、また唐辛子のように臭みを感じなくさせるものを入れ、臭みを中和しようとすることだと言えるんじゃないか。臭みを排除するのでなく、臭みと共存しながら、それを中和し、感じなくさせるような、積極的な策を採用している。
このことは、韓国と日本の、料理という観点だけから見たことだけれど、一般的に問題への対処法の、代表的な2つのスタンスとも言えるのじゃないか。ある問題があった時、その解決法として、日本が排除の論理を採用し、韓国が中和の論理を採用する。このことは、日本国内の状況を考えても、また韓国が北朝鮮と、どのように接しようとしているのかを見ても、うなずけるものがある気がするんだがな。実際韓国では街角で、日本人から見ると喧嘩しているのかと思うような激しい調子で、普通に会話しているのをよく見かける。これも上のような考え方の違いに基くものかと思えなくもない。
グルメシティの木曜特売日で、毎回オーストラリア産の牛コマ肉が安く出る。いつもそれを買い、肉じゃがにしていたのだが、毎週木曜は肉じゃがと言うんじゃあまりに芸がないから、昨日はプルコギにしてみた。
プルコギは韓国風の焼肉だが、日本の焼肉とはだいぶ趣きがちがう。肉だけじゃなく野菜も一緒に、調味料を手で揉み込んで、それを丸ごと焼くというやり方だ。汁が大量に出るから、韓国料理屋などではジンギスカン鍋のような、中央が丸く盛り上がった鉄板で焼き、汁が周りに落ちてくるようにするのだが、韓国人がこれを家庭で作るのを見ていたら、フライパンの中で肉と野菜、それに調味料を合わせ、それをそのまま火にかけるというやり方をしていた。
プルコギはここしばらく食べておらず、韓国人が作るのを見たのもはるか以前だから、野菜や調味料に何を入れるのか、うろ覚えだったのだが、とりあえずうろ覚えのままで、レシピなどは確認せずにやってみた。自分一人が食う飯を作るために、レシピなどをチマチマ見る気はまったくしないのだ。
というわけで完成したプルコギ、そこそこおいしく食べられるようには出来、プルコギの味もまあまあしたんだが、食っているうちにどうも違和感が。調味料が、喧嘩しているような感じがする。それでよくよく考えてみたら、すりおろしたショウガを入れてしまったのが失敗だったのだ。
調味料は、醤油と砂糖、みりんと酒、ゴマ油、それに大量のニンニクというのが正解だったのだな。ここにショウガを加えてしまったものだから、プルコギなのかショウガ焼きなのか、よく解らないものになってしまった。
これで昨日は、酒を2合半。
韓国はお隣りの国で、街などを歩いていると、日本にそっくりと思えるところもあるのだが、その一方で、すべてが違うという感じもする。その典型が料理で、韓国の料理はすべてが赤い。そして独特の風味がする。ニンニクの風味だ。
韓国へ行ったことがある人は、ご存知のことと思うが、日本で食べる韓国料理と、実際に韓国で食べる韓国料理とは、ニンニクの量が桁違いだ。韓国で料理を作るのを見ていると、目が点になるほど大量のニンニクを入れる。多くの日本人は、それだけ大量にニンニクが入った料理を受け入れられないから、日本の韓国料理では、ニンニクは相当減量されている。初めて韓国へ行った時には、すべての料理から、この極度に強いニンニクの風味と、それに唐辛子の辛味がするところに、まずはやられてしまったというわけだ。
さらに生活習慣も、韓国は日本と極度に違う。ステイ先の食事に、尾頭付きの大きな魚を真っ赤に煮付けたものが出てきた。この煮付けに大量のニンニクと唐辛子が入っている時点で、すでに拒否反応があったところに、その食べ方が、その時はまた耐えられなかった。家族の全員がその煮付けを直箸でつつき、そのまま口へ入れている。それは日本ならマナー違反だろう。
日本でのマナー違反が、韓国では何も問題ないという例はけっこう多くて、たとえば猫まんまをすること。味噌汁をご飯にぶっかけるのは、日本ではどちらかと言えば下品とされているが、韓国では正式な食べ方だ。しかも日本が味噌汁をご飯にぶっかけるのに対して、韓国ではそれはマナー違反になり、逆にご飯を汁のお椀の方にに入れなければならない。日本では茶碗やお椀は手に持って食べないといけないのに、韓国では反対に、手に持って食べるとダメ。女性が立て膝をしたりお膳に肘をついて食べたりするのは、日本では下品だが、韓国では正式な作法。日本で良いとされていることが、韓国ではダメで、韓国で良いとされていることが、日本ではダメ。このすべてが真逆になったようなところも、初めて韓国へ行ったときには、どうにも受け入れることができなかった。
しかし二度目に韓国へ行った時には、慣れもあったのかも知れないが、韓国の料理や習慣に、すんなり馴染むことができ、ホームステイ先の家族とも涙の別れをして日本へ帰ってきた。それ以来、韓国は大好きな国となり、今に至っている。
韓国と日本とは、ほんとに距離が近い、お隣りの国で、歴史的に交流も深かったのに、どうしてこれほどまでに、料理の仕方や習慣がちがうのか。やはりあまりにも近い国だったから、双子が一緒の家に暮らすと、お互い違おうとする気持ちが働くと言われるように、近親憎悪のようなものがあったのかとも思うのだが、「ニンニクと唐辛子」だけに着目すると、その背景となる考え方自体に、韓国と日本で根本的な違いがあったのかなと思うところがある。
韓国と日本とでは、調味料は全体としては、それほど変わらない。日本で使われる調味料は、基本的に韓国でも同じように使う。おそらくは韓国も日本も、まずは中国の食文化の影響を、等しく受けているということなのだろう。
ただ調味料の中で突出して違うのは、ニンニクと唐辛子で、これは元々中国で使われていたものだったのだろうが、それが韓国では、極度に増幅されて、ほとんど調味料の中心とも言える位置付けになっているのに対して、日本ではほとんど使われなくなっている。ニンニクは伝統的な日本料理には、まったく使われないものだろうし、唐辛子も七味のような形で、好みにより振りかけるという程度の使われ方しか、日本ではされないわけだ。
この、ニンニクと唐辛子をふんだんに使うか、ほとんど使わないかという違いが、なぜ生まれたかということなのだが、これは肉や魚の「臭み」に、どう対処するかということの、考え方の違いを表しているのじゃないかと思うのだよな。
日本の場合、肉や魚の臭みは、徹底的に取り除くわけだ。湯通しや下ゆでをしたり、あくをていねいに取ったりすることにより、臭みを排除していく。ショウガにより臭みを消したりもするが、それはどちらかと言えば次善の策で、日本ではまず臭みがまったくないことが、尊ばれると言えるんじゃないか。
それに対して、韓国でニンニクや唐辛子を大量に入れるというのは、臭みに対して、もっと強力に臭いものや、また唐辛子のように臭みを感じなくさせるものを入れ、臭みを中和しようとすることだと言えるんじゃないか。臭みを排除するのでなく、臭みと共存しながら、それを中和し、感じなくさせるような、積極的な策を採用している。
このことは、韓国と日本の、料理という観点だけから見たことだけれど、一般的に問題への対処法の、代表的な2つのスタンスとも言えるのじゃないか。ある問題があった時、その解決法として、日本が排除の論理を採用し、韓国が中和の論理を採用する。このことは、日本国内の状況を考えても、また韓国が北朝鮮と、どのように接しようとしているのかを見ても、うなずけるものがある気がするんだがな。実際韓国では街角で、日本人から見ると喧嘩しているのかと思うような激しい調子で、普通に会話しているのをよく見かける。これも上のような考え方の違いに基くものかと思えなくもない。
グルメシティの木曜特売日で、毎回オーストラリア産の牛コマ肉が安く出る。いつもそれを買い、肉じゃがにしていたのだが、毎週木曜は肉じゃがと言うんじゃあまりに芸がないから、昨日はプルコギにしてみた。
プルコギは韓国風の焼肉だが、日本の焼肉とはだいぶ趣きがちがう。肉だけじゃなく野菜も一緒に、調味料を手で揉み込んで、それを丸ごと焼くというやり方だ。汁が大量に出るから、韓国料理屋などではジンギスカン鍋のような、中央が丸く盛り上がった鉄板で焼き、汁が周りに落ちてくるようにするのだが、韓国人がこれを家庭で作るのを見ていたら、フライパンの中で肉と野菜、それに調味料を合わせ、それをそのまま火にかけるというやり方をしていた。
プルコギはここしばらく食べておらず、韓国人が作るのを見たのもはるか以前だから、野菜や調味料に何を入れるのか、うろ覚えだったのだが、とりあえずうろ覚えのままで、レシピなどは確認せずにやってみた。自分一人が食う飯を作るために、レシピなどをチマチマ見る気はまったくしないのだ。
というわけで完成したプルコギ、そこそこおいしく食べられるようには出来、プルコギの味もまあまあしたんだが、食っているうちにどうも違和感が。調味料が、喧嘩しているような感じがする。それでよくよく考えてみたら、すりおろしたショウガを入れてしまったのが失敗だったのだ。
調味料は、醤油と砂糖、みりんと酒、ゴマ油、それに大量のニンニクというのが正解だったのだな。ここにショウガを加えてしまったものだから、プルコギなのかショウガ焼きなのか、よく解らないものになってしまった。
これで昨日は、酒を2合半。
2008-12-25
釜山国際フェリーターミナル食堂 「カレーライス」
韓国でもカレーライスを食べるということは聞いていて、ぜひ食べてみたいと思っていたのだ。
帰りの船を待つあいだに匂ってきたカレーの香りに誘われて、ターミナルの食堂で食べてみた。
カレーライス、5,000ウォン(360円)。
一言でいうと「コクと辛味が全くないカレー」。
だいたい肉が入ってない。
カレールーも、昔ながらのカレー粉を小麦粉と炒めたりして作っているんだろうな、という感じ。
まあしかし、付け合せのキムチをいっしょに食べると、足りない味が補われてちょうどいいのだ。
なるほどな。
帰りの船を待つあいだに匂ってきたカレーの香りに誘われて、ターミナルの食堂で食べてみた。
カレーライス、5,000ウォン(360円)。
一言でいうと「コクと辛味が全くないカレー」。
だいたい肉が入ってない。
カレールーも、昔ながらのカレー粉を小麦粉と炒めたりして作っているんだろうな、という感じ。
まあしかし、付け合せのキムチをいっしょに食べると、足りない味が補われてちょうどいいのだ。
なるほどな。
釜山四面 テジクッパ 「釜田食堂」
「テジクッパ(豚クッパ)」というのは釜山の名物。
釜山の街中どこに行っても店があるのだが、今回は日本でいうと新宿に当たるという感じの街「四面(ソミョン)」の「テジクッパ通り」にあるここ、「釜田食堂 」へ来てみた。
韓国は同じ業種の店が自然に集まってしまうみたいで、ここテジクッパ通りにはテジクッパの店ばかり10件ほどだろうか、が、軒を連ねている。
ちなみにこの通りの先は、
おでんやお好み焼き、トッポッキという餅を甘辛く煮たものなどを出す出店が延々とならんでいる。
釜山には他にも「豚足ストリート」とか「ホルモン通り」「屋台街」などというのもあるし、市場などでもこの筋は食材とか、この筋は衣料品とか、自然に色分けされている。
聞くと当局が区画を規制するとかいうことではなくて、誰かが店を出して成功すると、周りに同じようなものを出す店がどんどん集まってくるのだそうだ。
店の名前まで同じにしてしまうこともあったりするみたい。
すごいな、韓国。
さてテジクッパだが、店の前では大釜で豚骨をぐらぐら煮ている。
どのくらい煮るのか聞いたら、丸一日、24時間煮るのだそうだ。
テジクッパ、4,500ウォン(320円)。
ご飯に豚骨スープを注ぎ、そこに「スユク」という、豚肉をかたまりのまま豚骨スープでゆで、薄切りにしたものが入っていて、ねぎが振りかけてある。
豚骨スープには全く味がついていなくて、アミの塩辛、韓国ニラ(日本のものより細い)、唐辛子味噌、塩を自分で入れて味をつける。
入れすぎないように注意しないといけない。
豚骨スープはさらっとしていて臭みもほとんどなく、コクだけが濃縮されているようなかんじ。
豚肉も余分な脂はぬけているが、パサパサはせず味がある。
ところでこのテジクッパだが、実際はどうなのか知らないが、「元祖長浜屋 」のラーメンの元になったのではないかと思えて仕方ないのだ。
まずこの「豚骨直球」という感じのスープがそっくりだ。
それから入っている肉も似ている。
元祖長浜屋に入っている肉って、いわゆるチャーシューとちょっと違って、まさにかたまりの肉をスープでゆでて薄切りにしてある、って感じの肉なんだよな。
飾り気なし、という感じの店構えも何か似ているし。
釜山と博多はほんとに目と鼻の先だから、そういうことがあってもおかしくないよなと思う。
2008-12-23
釜山南浦洞 「湖南韓定食」
やっぱり旅行に行くときは、できる限り下調べしていったほうが楽しいと思う。
旅行っていうのはもちろん、いろんなハプニングがあってそれが醍醐味なのだけど、事前に調べて色んなことを思い巡らせたり、そして実際に行ってみてその通りに行ったとか行かなかったとか、そういうことがあったほうが楽しさは何倍にも膨らむと思う。
今回釜山での食事にかんして、絶対食べたいと思ったのはまず第一に「韓定食」。
小皿がどあーっと並ぶやつ。
Webでいろいろ調べたら、ここ「湖南韓定食 」がオモニ(おばさん)が全羅道出身だというのでおいしそう。
全羅道って韓国で食事がおいしいので有名で、前に韓国に行ったとき全羅道の名物料理の一つである「全州ビビンバ 」というのを食べてほんとにおいしかった。
ということでまず朝食を食べにここに行くことにしたのだが、いやいやこの日の釜山、寒波がやってきていたみたいで寒いの何の。
空きっ腹にはこたえたぜ。
というわけで何とかたどり着くことができた湖南韓定食の看板料理「韓定食」。
10,000W(715円)。
いやいやいや、これ一人前。
ちなみに全品写真を撮ってきたので紹介しよう。
まずテンジャン(味噌)チゲ。
日本の味噌汁とはだいぶ違って、ニンニクがけっこう入っていて、しかも味噌を入れてからぐつぐつ煮込むんだよな。
日本人にとっては煮込んだ味噌は「風味」がなくなってしまう訳だが、韓国人の場合、風味に相当するのは「ニンニクの味」なのだと思う。
だから韓国の料理は何でもニンニクが入っているのだ。
具はアサリ、豆腐、ホバク(ズッキーニの太いやつ)、ねぎ。
白めし。
もち米だそうで、文字通りもちもちしている。
かきのキムチ。
大根キムチ。
生がき。
トンチミという、大根の水キムチ。
大葉のキムチ。
玉子焼きではない。
豆腐を焼いたもの。
白菜キムチをのせて食べる。
白菜キムチ。
何だろう、小さな貝を甘辛く煮たもの。
しじみではないと思うんだけど。
ブロッコリーのゆでたの。
味噌だれをつけて食べる。
海苔。
ご飯を巻いて食べるよ。
アジの塩焼き。
明太子。
もやしの和え物。
上にのってる白いの何だろう。
聞くの忘れた。
ほうれん草。
ゆでたのを塩とニンニクとゴマで味付けしてある。
わかめの酢の物。
ニンニクの酢漬け。
いやいやいや。
おかずがいっぱい、幸せいっぱい。
食前に出てくるお茶、
番茶の中にご飯のおこげが入っている。
たぶんご飯を炊いた後、そのおこげのついた釜でお茶を沸かしたんじゃないかと思う。
そして食後のお茶。
写真はもうほとんど飲み終わってしまったものなのだが、ショウガのお茶。
オモニはこちらに来てはいろいろ食べ方を教えてくれたりするし、初めから最後まで、まったく致せり尽くせりなのであった。
関釜フェリー
下関から釜山まで、「関釜フェリー」は初めて乗ったのだが、夜の6時に乗船して7時出航、翌朝8時下船という長旅がそこそこ楽しめるような工夫がされた場所だった。
部屋はいちばん安い、たいへん狭い部屋だったが、まずいちばん良いと思ったのは広い風呂があること。
またラウンジもけっこう広く取られていて、そこでくつろいで時間を過ごすことができる。
関釜フェリーは韓国船と日本船が交互に運航しているようなのだが、僕が乗ったのは韓国船だったので、乗組員も韓国人、客も9割がた韓国人、テレビも韓国語、ほとんど韓国という感じで面白い。
食堂もあり、
メニューはけっこう充実している。
帰りの朝に食べた「韓朝食」800円、
なかなかうまかった。
いちばん右にあるのが牛肉の出しで煮込んだわかめスープ。
韓国ってこういう場所の料理でも、意外にオモニがちゃんと作っていたりして、結構おいしいのだ。
器の大きさを見ても、韓国の食事というのは汁物が中心であることがわかる。
だから韓国の場合、汁物にご飯を入れるんだな。
逆に日本の食事の場合はご飯が中心だろう。
だからねこまんまをする場合、味噌汁をご飯の方にかけることになる。
売店で買ったカップラーメン、
いちばん目立つ場所に置いてあったから選んだわけだが、店員に「激辛ですが大丈夫ですか」と聞かれた。
「馬鹿にするんじゃない」と思ったわけだが、いやいやこのラーメン、
ほんとに辛かった。
「30倍」って感じだな。
これを普通に食べるのだから、さすが韓国はちがう。
登録:
投稿 (Atom)