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2011-10-24

魚屋の若大将にきいた、「たらのじゃっぱ汁」


魚屋で、たらのアラを分けてもらったとき、ずいぶんな量だったから、食べきれなかったらほかにどういう食べ方があるのか、若大将にきいてみた。そうしたら、

「じゃっぱ汁」

にしたらいいという。

じゃっぱ汁とは、津軽の郷土料理で、「あら汁」のことだ。津軽では、たらが大漁のときに、浜で女たちがそれを待ち受け、その場でじゃっぱ汁をつくるのだとか。

京都でふつうに、じゃっぱ汁を食べるものなのかどうか、若大将にききそびれたが、魚屋だから、全国の魚料理に通じているんだろう。

「大根は、細く切って」

と、細かい指定までしてくれた。




たらのアラ。

これは、もしふつうに買ってきたものなら、塩をふり、しばらくおいてから、よく水洗いする必要がある。

今回は、魚屋で塩をふってもらったのを持ちかえってきたから、水洗いして、冷蔵庫に入れておいた。

じゃっぱ汁はもちろん、たらにかぎらず、鮭でも鯛でも、好きな魚でつくったっていいわけだ。

たらは臭みがあまりないから、塩をふり水洗いするだけでいいが、それ以外の魚をつかうときは、さらに湯通ししたほうがいいだろう。


野菜は、

「細く切った大根と、長ネギ」

というのが、若大将の指定だ。

もちろんこれも、冷蔵庫にあるあまった野菜を、どんなのだって入れたらいい。


鍋に水を張り、昆布をひたしておく。


鍋を火にかけ、沸騰したら昆布をとりだし、たらと大根を入れる。

ここで酒を、「ドバドバ」と入れておく。


アクをとりながら、しばらく煮る。


味付けは、まずみりんを少々。


火を止めてから、味噌を溶かし込む。

味が決まったら、ひと煮立ちさせて出来あがり。




たらの上品な出汁がでた、しみじみとした味。

こうやって汁にして、魚の骨まで食い尽くしてしまうというのが、家庭料理の基本なのだよな、やはり。




晩飯は、豚肉の水菜の鍋。

水菜は、一時300円ほどもしていたものが、ようやく値が落ちつき、スーパーの特売では、78円で売られるようになった。

豚肉は、池波正太郎にならい、いちばん安いコマ肉をつかう。

豚肉と青菜は、黄金の取合せだけれども、またこの水菜の、シャキシャキした食べごたえが、もっちりとした豚肉と、よくあうわけだ。


タレはポン酢に、大根おろしと青ネギ、それから一味唐辛子。


冷や酒を2合飲む。


豚の出汁がたっぷりとでた残り汁を、塩コショウで味付けし、雑炊にするのが、たまらない。




毎週通っている、近所のラーメン屋。

体調不良で休んでいた大将が、1ヶ月ぶりに復帰した。


1ヵ月ぶりに食べる、大将のつくった、大盛ラーメン。

大将が休んでいるあいだは、大将のかわりを、直弟子である若いお兄ちゃんがつとめていた。お兄ちゃんも一生懸命やっていて、べつにまずいとも、おもいはしなかったのだけれど、やはり大将がつくったラーメンは、全然ちがう。

麺のゆで方ひとつとっても、「これ以外ない」と感じられるポイントを、外すことなく突いてくる。

全体として、「せまってくる度合い」が、はるかに高い。



大将も、直弟子のお兄ちゃんも、ラーメンの作り方を、「レシピ」としてみれば、おなじようにやっているはずだろう。

それなのに、味がこれだけちがうというのは、料理がただ、レシピによってだけ決まるものではないということだ。

料理がそういう、奥深い世界をもつからこそ、毎日つくっても、飽きることがないのだな。