昨日のおっさんひとり飯は、イワシとナスの梅煮そば。
おととい深酒したおかげで昨日は一日酒が残っていて、夜9時過ぎになって
ようやく酒が抜けてきたと思ったら、今度は気持ちが悪くなってきた。
それであっさりとした魚介系汁そばが食べたいと思い、
京都名物「にしんそば」をヒントに作ってみたというものである。
にしんそばは、身欠きにしんをコッテリと煮付けたものを汁そばに入れていて、
にしんの香味とそばがよく合い、大変うまい。
にしんがそばに合うのだから、似たような味のイワシもそばに合う道理で、
実際これも大変うまい。
イワシを煮付ける時は、梅干しを入れるのが定番だ。
さらににしんと合わせるのが定番のナスを合わせてみたのだが、
これもイワシにもそばにも、なかなかの相性だったと思う。
ナスなどの野菜を魚の煮付けに合わせる場合、京都の人は、
魚の煮汁を別鍋にとり、それを薄めて野菜を煮る。
魚はあくまでコッテリと、そして野菜は薄味でと炊き分ける訳なのだが、
カセットコンロ一つで調理するぼくの場合、2つの鍋を並行して使うのは、
さすがにちょっと面倒だ。
それで魚を煮付けている途中、まだ煮汁が煮詰まらないうちにナスを入れ、
ナスが煮えたら別皿に取り出しておくようにした。
魚はその後コッテリと煮詰めるから、やることは、2つの鍋を使うのと
まったく同じ話になる。
にしんそば発祥の店である祇園南座の[松葉]では、煮付けたにしんを
そばの上ではなく、下に入れている。
そうすると、まずは上に張られた薄味の出しでそばを味わい、
その後下にあるにしんに箸を伸ばすと、底に沈んでいる濃い煮汁が
出しと混ざり合い、味の変化を楽しむことが出来るようになっている。
何とも心憎い配慮で、まさに京都流の食のエンターテイメントだと思うのだが、
今回も本当はそれを真似して、ナスと梅だけ上に置き、
コッテリ煮付けたイワシはそばの下に入れたかった。
でもそうすると、ブログの写真を撮る都合上、分かりにくくなってしまうので、
泣く泣くイワシも上に乗せるということになっている。
まずナスを、やや大きめに切り、サッと1分ほど水で煮てアクをとる。
煮汁は捨て、水でゆすいでアクを落とし、皿に置いておく。
イワシは包丁で頭を落とし、腹を割いてワタを取り出し、よく洗ってワタの残りと
ウロコを落とす。
イワシを生で使ったり煮付けたりする場合は、よく洗うのが臭みを取るための
大きなポイントになる。
鍋に出しコブを敷いて、イワシを並べ、穴を開けて味が出るようにした
梅干し2~3個、水1カップ、酒1/2カップ、砂糖とみりん、醤油大さじ3ずつを入れて
強火にかける。
煮立ったら弱めの中火にし、アクを丁寧にすくい取る。
アクを取っている間に、たぶん5分くらいの時間が経ち、イワシの出しが
出始めることになっていると思うから、そうしたら、取り出しておいたナスを戻す。
落としブタをして3~4分、ナスが柔らかくなるまで煮る。
煮えたナスは、煮汁少々と一緒に皿に取り出しておく。
こうしておくことで、ナスに味が染みていく。
イワシはそのまま10分ほど、落としブタをして煮る。
煮汁が煮詰まり、ドロリとしてきたあたりで火を止める。
イワシは全部で20分ほど煮たいので、その時間で煮汁がドロリとするよう、
火加減を調整するのがコツとなる。
別に20分以上煮る分には、何分煮てもかまわないし、逆にもし20分経たずに
煮汁がなくなってしまったら、水を少し足してもいい。
2カップの水に5センチ角くらいの出しコブを入れて中火にかけ、沸騰したら
一旦火を止め、一つかみの削りぶしを入れて再び火をつけ、
再沸騰したら火を止めて、削りぶしが鍋の底に沈んだら、
ザルとキッチンペーパーで出しを濾し取る。
濾し取っただしに酒とみりん、うすくち醤油大さじ1ずつと塩少々で、
薄めに味をつける。
やや固めにゆで、水で洗って熱湯で温めたそばをどんぶりに入れ、
イワシをのせて、イワシの上にドロリとした煮汁をかけ、
その上にナスと梅干しをのせて出しを張り、青ねぎと七味、粉山椒をふる。
(もちろん本当は、イワシと煮汁はどんぶりの底に入れるのがオススメである。
粉山椒も初めからふらずに、イワシの煮汁が出しと混ざった時点でふるのが
正しい。)
このそばは、酒には打ってつけの肴になる。
イワシは20分煮れば、骨もそこそこ食べられる。
「おっさんは、二日酔いで気持ち悪くてもまた酒を飲むんだね。」
飲むと気持ち悪いのがスッと消えるのが曲者なんだよな。