2012-06-17
鯛あらの酒蒸し
鯛あらの酒蒸し。
鯛のあらは養殖物なら年中安く売ってるし、今季は天然物もたいへん安く出ているけれど、骨の近くの肉はプリプリして味がいいし、第一目玉やら口やらが付いている頭の部分は、皿に盛ったとき豪華に見える。
ごぼうといっしょに煮付けるのは定番だし、汁の実にするのもうまいけれど、今日は酒蒸し。
養殖物の場合なら、まず塩をふって30分くらいおく。それから養殖物でも天然物でも、熱湯にちょっとひたして、そのあと水で、残っているうろこや血のかたまり、ぬめりなどをよく洗い落とす。
皿にだし昆布をひき、鯛あらと、豆腐やしめじなど好きな野菜を並べ、酒をふりかけ、蒸し器で15分くらい蒸す。
蒸し器がない場合は、水を入れた鍋の底にまず小皿をおき、その上に皿をおくようにする。
ポン酢しょうゆで食べる。
皿の底にたまった汁が絶品。
冷やした瓜の煮物。
これもまたうまい。
キュウリの浅漬。
2日目でまさに食べごろ。
あとは冷やしトマトで、芋焼酎の水割り。
4杯飲むクセは、もう直らない。
最近読んだ、オススメの料理本。
矢吹申彦「おとこ料理讀本」
矢吹は1944年生まれというから今68歳の、デザイナー/イラストレーター。
僕が座右の書にしている池波正太郎「そうざい料理帖」「同 巻二」の料理イラストも担当している。
20代のころ伊丹十三の指南で京都有名料亭厨房のカウンターに出入りすることをおぼえ、そこで板前の仕事をながめるうちに、料理に目覚めたのだそうだ。
奥さんも料理をするけれど、自分が食べたいものは奥さんの分も一緒に、自分で料理をしているらしい。
素人が家で、自分のために作る料理の数々だから、必要以上に凝りすぎていないところがいい。
酒が好きな人のようだから、酒の肴のレシピも豊富。
といって酒の肴ばかりというわけでもなく、「もてなしの一品(妻への食卓)」と題してご飯物や麺類のメニューも数多い。
「文人ごはん」では池波正太郎、檀一雄、向田邦子、玉村豊男、内田百閒、水上勉などなどの著作に登場する料理も載せられている。
料理に趣味をもつ男性にはもちろん、婦人雑誌「パンプキン」に12年にわたって連載されたものだから、女性が見てもおもしろいはず。
僕がこの本を知ったのも、俵万智のツイートがきっかけだった。
紹介する料理の1品ごとに、まつわる思い出やらが短編のエッセイにまとめられていて、それもまた、いい。
レシピで一番気に入ったのは「油揚げのはさみ焼き」で、2つ切りにし袋にひらいた油揚げの中に、ねぎとかつお節をすこしのしょうゆで和えたのをつめ軽く焼くというもの。
僕も実際やってみたが、大変うまかった。