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2012-06-16

瓜の煮物、イカ焼き


八百屋に出始めている瓜を使って、京都風の煮物。

八百屋で食べ方を聞いていたら、お客さんまで一緒になって教えてくれる。



瓜は皮をむき、タテ半分に割って中の種をスプーンでかき出し、1センチ幅くらいに切って、塩ひとつまみをふり込んだ水で4~5分下ゆでする。

瓜がかぶる程度の出しに酒大さじ1くらい、それに味を見ながらうすくちしょうゆを足し味付けして、下ゆでした瓜を10分くらい、コトコト弱火で煮る。

瓜がやわらかくなったら、水溶き片栗粉でとろみを付ければ出来あがり。

おろしショウガを上に乗せて食べる。

ほっくりと炊けた瓜に出しがしみ込み、いかにも京都らしい、しみじみとしたうまさ。

冷やして食べてもうまいそうだ。



魚屋に新鮮なスルメイカがあったので、イカ焼きと塩辛。

イカ焼きは定番通り、こってり味付けする。



イカの中身をとり出し、軟骨をぬき取って5ミリ幅程度に輪切りにし、酒とみりん、しょうゆ各大さじ1、砂糖大さじ2分の1、おろしショウガ小指の先くらいをふり込んでよくもみ込み、10~20分くらいおいて味をしみ込ませる。

フライパンに大さじ1の油を入れ強火で熱し、下味を付けたイカを汁ごと入れる。

混ぜながらイカが赤くなり、汁気が煮詰まってイカに絡みついたら出来あがり。

七味をふって食べる。



新鮮なスルメイカを即席の塩辛にするには、作るのはとてもカンタンなのにすごくうまい。

イカのワタに塩ひとつまみをふり込み、ぶつ切りにしたイカゲソを和えて2~3時間おく。

食べる前に酒とみりん、ポン酢果汁をひとたらしすれば出来あがり。

酒にはもちろん、ご飯にも絶対合う。



キュウリは1袋買ったら、漬物器で漬けて冷蔵庫にいれておく。

斜め切りしたキュウリを、1本につきひとつまみの塩で塩もみする。

ハサミで細く切った出し昆布1枚と鷹の爪1本といっしょに重しをかける。

翌日あたりから食べごろになる。



じゃこおろし卵。

大根おろしに卵の黄身をのせ、ちりめんじゃこをふる。

しょうゆをかけて食べる。

酒のあてには最高。



あとは冷奴に梅干しで、酒は芋焼酎水割り。

今日も4杯飲んじまった。






夜の散歩に出かけ、キム君の店をのぞいてみると、ずいぶん女性のお客さんが入っている。

しかも男性のお客さんは少ない。



「入ってみようか・・・」



しかしあまり女の尻ばかり追い駆けるのはみっともないと思い直し、大宮通を南に下ることにする。



鉄板焼屋をのぞくと、入口近くで鉄板を焼く店長のお兄ちゃんが、こちらに気付いて入口の縄のれん越しにあいさつする。

僕もあいさつを返すけれど、鉄板焼屋はおととい行ったばかりだし、お客さんはずいぶん入っていて面白いものが見られるかもしれないけれど、今日は気分じゃない。

やはりホームグランドのKaju。今日はマスターと、男同士のんびり話すことにする。



バーも店により、雰囲気がずいぶん違うものだけれど、Kajuはわりと静かな店だ。

お客さんも静かな人が多く、マスターがかける音楽DVDを横目で眺めながら、のんびりグラスを傾ける。

今日もドアをあけると、男性のお客さん2人が静かにマスターと話していた。



芋焼酎の水割りを注文し、最近みつけた赤胴鈴之助のバーのことをマスターに話すと、マスターも鈴之助のことを知っていて、鈴之助が元いたバーを経営しているのが、今しがたのぞいてきた鉄板焼屋のオーナーなのだそうだ。

鉄板焼屋とバーではずいぶん業態がちがうから、はじめはびっくりしたけれど、あの気取らない雰囲気は、たしかに共通したものがある。

それから商店街の話になり、マスターは三条会商店街についても、ずいぶん色々知っているようだった。



三条会商店街は、マスターが店を始めた8年前ほどまでは、それこそ「シャッター商店街」で、閉まっている店もずいぶん多かったとのこと。

ところが商店街の2代目、3代目の、当時20代後半から30代前半の人たちががんばって、商店街全体のイベントを積極的に行うようになったりして、徐々に変わってきたそうだ。

僕がよく行く魚屋や豆腐屋の若大将も、年長の人たちから

「若いのが何も知らずに勝手なことばかりして」

と言われながらも、商店街を盛り立てるためがんばってきたという。



商店街にしても、飲み屋にしても、古い人の中には他店にライバル意識をもち、

「そっちに来たのに、どうしてうちには・・・」

とお客さんに言う人もいるとのこと。

でもマスターは、

「それではうまくいかない・・・」

と言う。

「三条会商店街」とか、「四条大宮の飲み屋街」とかを1つの「箱」と考えて、そこに全体として人が流れてくるようになれば、それでよしと考える。

新しい店が出来れば、それをライバルと考えるのでなく、応援して盛り立てることで、「箱」が活性化して、結果として、自分の店もうるおうことになる・・・。



そんな話をマスターとして、水割りを飲み終わった僕は、店を出た。



大宮通を北に上がると、再びキム君の店が見えてくる。

もう一度中をのぞいてみると、やはり女性客でにぎわっている。

ポケットから小銭を出し、まだキム君の店で1杯飲むお金くらいは残っているのを確認した僕は、



「やっぱり行こう・・・」



お店の中へ入っていった。



カウンターの一番はしに座り芋焼酎の水割りを注文すると、隣に座っていた女性がこっちを見て、



「こないだお会いしました・・・」



見慣れない帽子をかぶっていたから、不覚にもすぐに思い出せなかったけれど、先日久しぶりに行ったバーの、マスターの奥さん。

僕と同い年で、やはりバツイチのマスター、最近になって、若い女性と結婚した。

しかも岡江久美子を30歳くらい若くしたような美人・・・。



それからしばらく、僕はその奥さんと話をした。

定休日には、いつもお店で顔を突き合わせているご主人とは別行動をすることにしている奥さん、今日も食事もし、お風呂も入ったのだけれど、1杯飲みたい気持ちがしてやって来たのだとのこと。

お店で見かけた時も、マスターはよくこんなに若くて美人で、しかも機転のきく頭のいい子と結婚できたもんだと感心したけれど、こうやって直接色々話してみると、あらためていい子だと思う。

しばらくしたら、話をキム君がうまく引き取ってくれて、あとは奥さんも僕も、カウンター全体の話に参加した。



やがて僕は、水割りを飲み終わった。

奥さんは、女同士の会話で盛り上がり、さらにお酒をお代わりする。

しかし僕は、もうお金がないから、お勘定することにした。



「お先に失礼します・・・」



奥さんに声をかけるけれど、会話に夢中の奥さんは気付かない。

僕は1人で店を出た・・・。



キム君だけが、僕を店の出口まで見送ってくれた。