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2010-07-25

踊る大捜査線 THE MOVIE 3

踊る大捜査線、7年ぶりに映画第3作が封切りされたので見に行ってきた。僕はもう10年以上前になるわけだが、テレビシリーズがとても好きで、ビデオをレンタルして3回くらい見て、クライマックスでユースケ・サンタマリアふんする真下捜査官が重傷を負うあたりになると、3回とも号泣した覚えがある。

何がそんなに良かったのかというと、それまでの刑事ドラマ、たとえば「太陽にほえろ」にくらべて、基本的な構図が、まさに僕たちの世代の感覚に合っているという感じがしたのだよな。

太陽にほえろでは、警察が善で、犯人は悪。善悪ははっきりと峻別されていた。水戸黄門でも同じだが。それに対して踊る大捜査線では、犯人役に人気のタレント、例えば小泉今日子などをもってきて、視聴者が犯人の側にも思い入れをすることができるような作りになっている。

それからもう一つ、これがより大きいのだが、太陽にほえろでは現場の捜査員が善で、官僚は悪。操作一係の「ボス」である石原裕次郎は、現場の捜査員の気持ちがよくわかっているが、七曲署署長である平田昭彦は、現場には冷ややかで、無理難題を押し付けてくる。それに対して踊る大捜査線では、官僚の中に、柳葉敏郎ふんする室井慎次という、現場の捜査員である、織田裕二ふんする青島俊作と気脈を通じる人間をおくことによって、ただ捜査の現場だけでなく、警察という組織全体にたいしても、一縷の希望を抱けるようになっている。

小沢一郎とかを見ていてもつくづく思うのだが、冷戦体制下の高度経済成長の時代に育った人たちというのは、善悪をはっきり区別して、自分たちはうまく善の側にいるように立ち回りながら、悪と名指したものを切り捨てていくというやり方で、世の中をわたっていく傾向がある。それにたいして、それよりは一回り下の世代である僕たちは、そのやり方にはっきりとした限界があると認識するところからスタートしているわけで、そういう僕たちの世代にとって、踊る大捜査線が打ち出した、刑事ドラマの新たな構図は、なんともしっくりくるような感じがしたものだ。

ということで「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」、見に行くことにしたわけだ。クチコミを見ると、あまり評判は良くないのだが、いいにせよ悪いにせよ、かつてかなりの思い入れをもったものだから、見ておかないと気が済まないのだな。

踊る大捜査線はうちから近くのBivi二条4階、TOHOシネマズで上映している。ここはいいな。インターネットで席を指定してのチケット購入をすることができる。会員登録などもまったく必要ない。

で映画の前に、まずは腹ごしらえ。Bivi二条といえば、当然たかばしラーメン

ラーメン大チャーシュー増量野菜多め麺かため。ここのラーメンも、禁断症状が出るほどではないのだが、つくづくうまい。この店はBivi二条という娯楽施設の中に入っているから、家族連れや若い女性客が多く、それに合わせて店構えもおしゃれで、店員も若いイケメンになっていたりするのだが、第一旭のDNAはきちんと保存されている。荒くれ男的なのだよな、基本的に。神輿度が高いと言いたい、僕は。

ということで踊る大捜査線、見ました。まあどうかな、この映画自体はあまりおもしろくはなく、切れ味は悪く、ストーリーも無理が多く、踊る大捜査線がもともと好き、という人以外は見ない方がいいのじゃないかと思うが、それでも僕は、懐かしい面々にまた会えて、クラス会的なノリとして、楽しめないこともなかったかな。

今回新しいのは、犯人が20代前半の、ネットゲーム中毒の若者だったり、また若手の官僚として小栗旬をもってきたりして、より若い世代に対するアピールということを考えているという点。青島、今回係長になっていたが、彼が室井管理官を信じ、警察という組織に希望を抱いているのに対して、この映画の中で、若い世代の描かれ方は、はるかにドライ。小栗旬ふんする鳥飼補佐官は、「悪いやつは死んでしまったほうがいい、警察の役割は逮捕ではなく、処刑することだ」みたいなことを言うし、若い犯人たちも、小泉今日子ふんする、「すべてを破壊せよ」とメッセージを送る謎の女性を崇拝する。

たしかに時代は、10年前からさらに大きく変化して、今はすべてが崩壊の危機にひんしているわけであり、若い人の絶望は、たしかに僕らより大きいのかもしれないが、しかしそこで、ただ絶望していても、物事は始まらないのであって、もしかしたら踊る大捜査線は、何らかの新しい希望を、描こうとしているということなのかな。

今回なにかと、「仲間」ということが強調されていたのだよな。それに対して組織はひたすら悪であるというように描かれていた気がした。この大崩壊の、絶望の時代に、大事なのは仲間だ、ってことか。それじゃ陳腐な太陽にほえろの二項対立に、逆戻りしてしまうだけだと思うのだがな。「死んだ気でやれば、生きられる」みたいなことも言っていて、それってただクサイだけに見えるのだが。

まあそのあたりのこと、今回はよくわからなかったが、今回興行的にもいいみたいだし、実際今日もお客さん、けっこう入っていて、ストーリーとしても、拾われきらない伏線がいくつか残っていたりするから、これは次回作があるのだろう。それほど期待するわけじゃないが、まあ見ちゃうだろうな、次回作も。

出演者では、小泉今日子がなんとも良かった。いい年の重ね方してるよな、今日子。呼び捨てかよ。