昨日は買い物をした時点では、手羽元と大根、それに厚揚げを煮るつもりに
していて、卵も入れようかと迷っていた。
でもスピナーズで桐島かれんにの女性に、
「それでは中途半端なおでんになるから」
と言われ、煮物には手羽元と大根だけを入れ、厚揚げは焼くことにしたのである。
このところ涼しくなってきたから、煮物的なものが食べたいと思い、
家にあった大根と合わせるために、スーパーで手羽元と、さらに厚揚げを買った。
家に帰って冷蔵庫を見たら卵があったから、せっかくだからこれも入れ、
おでん的なものにしようかと考えながら、「まずは一杯飲もう」と
いつも行く四条大宮のバー「スピナーズ」へ行った。
このところスピナーズへは、連日通っているのだけれど、
やはり失恋したからなのだと思う、寂しくて一人ではいられないのだ。
スピナーズには松下奈緒似の女性がいたから、まずは乾杯。
松下奈緒は早い時間からいたらしく、少し世間話をしたら帰って行った。
入れ替わりに、今度は九十九一似の男性と、桐島かれん似の女性が来た。
隣りに座った桐島かれんと、料理の話に花が咲く。
桐島かれんは料理が上手い。
いや食べたことはないのだが、話していると、上手いのが分かる。
桐島かれんはぼくに尋ねる。
「今夜のご飯はどうするの?」
手羽元と大根、厚揚げを煮ようかと思っていると答えると、
「それじゃ、中途半端なおでんになるよ。
大根だけにして、厚揚げは焼きな。」
言われてみれば、たしかにそうだ。
おでんだったら5品は欲しい。
3~4品では、おでんでも煮物でもない、中途半端なものになってしまう。
それで桐島かれんの助言を容れて、手羽元と炊くのは大根だけにし、
厚揚げは焼くことにしたのである。
この話をあとからツイッターで投稿したら、大阪に住む女性から、
「煮物とおでんはラーメンとつけ麺くらい、違うものだと思っていた」
と返事があった。
なるほどたしかにそれも分かる。
煮物はコッテリとしたもので、おでんはあっさりとしたものだという意味だろう。
でも京都では、おでんだしを使ったうす味の煮物がけっこうある。
大根と油揚げをおでんだしで煮たものは、「大根煮」と呼ばれている。
おでんと煮物の境界は、具の数によって決まるわけだが、
これは関西の風習かと思っていたら、大阪の女性は違う感覚だったから、
京都の風習なのだろう。
まずはたっぷりとだしを作る。
5センチ角くらいのだし昆布と、大きく一つかみの削りぶしを5カップの水に入れ、
中火で煮立て、煮立ったら弱火にしてアクを取りながら3分煮る。
ザルにペーパータオルを敷いて濾し取ると、4カップほどのだしが出来るから、
ここに酒とみりんを大さじ4、うすくち醤油を大さじ3、それに塩少々で味をつける。
出し殻の昆布と削りぶしは、わさび醤油でその場で食べる。
料理しながら飲む酒の、格好の肴になるのである。
出来ただしにサッと洗った手羽元と、皮を剥き、2センチ厚さほどに切った
大根を入れる。
アクを取り、弱火で40~50分、大根がしっかり柔らかくなるまで煮て、
そのまま火を止めしばらく冷まし、大根に味をしみさせる。
たっぷりの青ねぎと、七味を振る。
味のしみた大根は、やはりうまい。
厚揚げはフライパンで焼き、青ねぎとショウガじょうゆをかける。
こんがり焼くと、香ばしくなりうまいのである。
あとは豆ごはん。
冷凍してあった生のえんどう豆を使ったけれど、グリーンピースの水煮でもいい。
1カップの米に対して酒大さじ1、塩小さじ1/2、それにだし昆布を入れて炊く。
檀一雄レシピのオクラおろし和え。
サッと塩ゆでして小口に切ったオクラと軽く汁をしぼった大根おろしをよく混ぜて、
オクラの粘り気を大根に移したあと、冷蔵庫でしばらく冷やす。
ちりめんじゃこを加えてさらに混ぜ、ポン酢しょうゆをかけて食べる。
食事が終わり、スピナーズへも行ってきたからすでに酒は十分だったが、
どうも布団に入る気がしない。
そこでツイッターを相手にさらに一杯。
もう時間も遅くなっていたから、タイムラインには誰もいなかったけれど、
一人で延々と呟きつづける。
酒の肴は煮物のだし。
うす味だから、かなりイケる。
さらに一杯。
まだ一杯。
結局4時まで飲みつづけ、ヘベレケになって布団に入った。
「失恋したからってそれじゃダメだよ。」
生活を立て直さないとな。