〔バーの楽しみ方(1)〕バーには「自分に合うバーと合わないバー」があるだけだ。
〔バーの楽しみ方(2)〕まずは近所のバーをひと通り回ってみるのがオススメである。
〔バーの楽しみ方(3)〕バーでは別に黙っていてもいいのである。
からの続きです。
同じ「バー」と括られるものであっても、バーにはいくつかの種類があり、
さらに店主の性格や考え方によって、雰囲気は千差万別である。
バーにどのような種類と雰囲気の幅があるかを予め知っておくことは、
もしあるバーに入って楽しめなくても、「バー」を全否定してしまったり、
逆に「自分が悪かった」と必要以上に思ってしまったりすることを
避けることにつながるのではないかと思う。
◆食事を出すバーと出さないバー
バーには、いわゆる「ショットバー」と呼ばれる、基本的に食事は出さず、
食べる物はナッツなど軽いツマミしかないところと、
「ダイニングバー」と呼ばれる、軽食を出すところがある。
ダイニングバーはかなり凝った料理を出す場合も少なくなく、そういう店なら
そこでお酒を飲むだけでなく、食事まで済ませてしまうこともできなくない。
食事を出すか出さないかは、お客の立場として言えば、まず一つには、
「その店を1軒目として利用するか、2軒目以降で利用するか」
という違いが出てくることになるけれど、それだけでなく、
店で自分がどのように過ごすかにも、違いが出てくることになる。
料理を食べることができるバーなら、料理を注文しさえすれば、
とりあえずは自分の居場所ができることになる。
また料理を食べている最中は、話が出来ないわけだから、
なおさら一人の時間を過ごすことがラクになる。
それに対してツマミしか置いていないバーでは、しゃべる相手がいなくなると、
お客としては、途端に居場所がなくなることになる。
だから料理を出さないバーは、一般的に言って、
それだけ「会話」に重点を置いていると言えると思う。
◆店主とお客が放射状につながるかお客同士が網の目状につながるか
ぼくは20年くらい前、一人でバーへ行き始めた頃、当時行きつけにしていた店の
マスターから、バーでのマナーを教育された。
それは、
・ 隣に座る他人には、自分の許しがない限り、勝手に話しかけてはいけない
・ 直接話しかけなくても、他人が話す話題を取って話してしまってはいけない
・ 一度話したことがあるお客でも、他人なら、次に店で会った時にはまた、
自分の許可がない限り勝手に話してはいけない
というものであった。
全国津々浦々を詳しく調べたわけではないから、詳しいところはきちんとは
分からないけれど、これは東京の、どちらかといえば古風な、
バーのマナーなのではないかと思う。
東京でも、別にお客と勝手に話して、何も問題がないバーも多いと聞くし、
京都では、まだぼくが行った範囲では、そのようなマナーは見かけたことがない。
ただここまで厳密ではなくても、やはり店主が、お客さんの一人ひとりと
放射状につながることを好む店はある。
そのような店では、「マナー違反」とまではならなくても、他のお客さんと話す時は
よくよく空気を読んで、慎重にやらなくてはいけない。
またそれとは逆に、店主がお客さんを完全に放任し、お客さんの方でも、
他のお客さんにかまわず話しかけるのを善しとする店もある。
そのような店では、席に座った途端に、両側から常連さんに話しかけられたりもし、
「一人で飲みたい」人にとっては、疲れることにもなるかもしれない。
上の2つを両極として、お客と店主の関係について多くの店は、
この間を濃淡をもち、なだらかに分布することになる。
この「店主とお客さんの関係」は、店の雰囲気を左右するとても大きなことだから、
あるバーが自分に合うか、合わないかも、やはりそれに、
大きく左右されることになるのである。
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◆街の中心部にあるか、外れた所にあるか
街の中心部は、どうしても店を借りるための賃料が高くなるし、
逆に中心部から外れたところは、賃料が安くなる。
だから街の中心部にあるバーは、どうしても料金が高めになるし、
外れた所にあるバーは安めになる。
ただバーが街の中心部にあるか、外れた所にあるかは、単に料金の問題だけでなく、
バーの雰囲気も、大きく左右してくる場合が多くなる。
一般的な傾向として、街の中心部にあるバーは、飛び込みのお客さんが多くなるから、
それに対応して一般的なサービスを提供することになりやすい。
それに対して中心部から外れた所にあるバーは、飛び込みのお客さんは
あまり期待できないわけだから、お客さんにリピートしてもらうために、
それぞれのお客さんに合わせたサービスを提供することを考えるようになる。
ぼくは個人的には、中心部からやや離れたエリアの、分かりにくい所にある、
さらに分厚いドアで閉ざされたりしてとても入りにくく見えるようなバーが好きで、
そういう一見敷居が高そうに見える店ほど、一旦中に入ってみると、
ホッコリとした温かい雰囲気であることが多いと思う。
◆男女の出会いを積極的に奨励するか、そうでないか
バーが男女が出会うきっかけになり得るのは確かである。
ぼくもバーで彼女を見つけた。
ただバーには、男女の出会いを積極的に奨励する店と、あまり奨励しない店がある。
男女の出会いを積極的に奨励する店では、店主が空気を読みながら、
男女の会話を取り持ってくれたりすることもある。
だから「異性と出会いたい」と思う人は、そのような店へ行くのがいい。
逆に男女の出会いをあまり奨励しない店は、お客さんの男性が知らない女性に
話しかけるのも、あまり善しとしないこともある。
そのような店は、特に男性から声をかけられたりせず、落ち着いて飲みたい
女性にとっては、行きやすいことになる。
以上のことは、もちろんちょっと極端な、類型的な分類で、多くの店は、
その中間になだらかに分布している。
またこれらのこと以外にも、お店の雰囲気は様々なことで左右されることになり、
例えば店主が音楽や演劇など特定の興味を持った人なら、
常連のお客さんもその関係者が多くなったりもするだろうし、
さらには店主の性格も、その店の雰囲気を大きく決めることになる。
どういうわけだか、会社員が多く集まる店と、自由業・自営業の人が
多く集まる店があるし、お客さんの年齢層も、それは店主の年齢と関係すると思うが、
若めの人が集まる店と、上めの年齢の人が集まる店とがある。
さらに言えば、店主が男性であるか女性であるかも、店の雰囲気を大きく左右
することになる。
女性が店主のバーはそう多くはないが、なくはなく、その場合男性のお客は、
かなり抑制的なふるまいを要求され、もし「雰囲気に合わない」と思われれば、
入店をお断りされる可能性も出てくることになる。
いずれにせよ、バーには様々な雰囲気があるのであり、
例え一軒のバーで楽しめなくても、2軒、3軒と訪ね歩いていくうちに、
自分に合うバーは必ず見つかってくるのである。
「女性と出会いたいと思う場合はどうしたらいいの?」
次はそれを書いてみるよ。