僕が住んでいたのは大田区の「蒲田」という場所なのだけれど、駅の西側と東側どちらにも、すし屋が10軒くらいずつはあった。
と書いてみて、本当かどうか、いま不安になったので、「食べログ」で検索したら、蒲田駅周辺には、「回転寿司」が東西に3軒ずつ計6軒、ふつうの「寿司」というのも計25軒が掲載されていたから、やはりこれは嘘ではなかった。
ちなみに同じ縮尺で、僕が今住んでいる「四条大宮」のまわりで検索してみると、回転寿司はなし、寿司は11軒。
「JR京都駅」は、回転寿司は3軒、寿司が16軒。
「JR名古屋駅」は、回転寿司3軒、寿司27軒。
「JR広島駅」は、回転寿司1軒、寿司11軒。
ちょっと興味がわいたので、さらに都道府県別、人口1万人あたりの、食べログでの検索ワード「寿司」のヒット数を調べてみた。
「東京都」 3.9 (軒 / 1万人)
「京都府」 2.4 (軒 / 1万人)
「愛知県」 2.3 (軒 / 1万人)
「広島県」 1.5 (軒 / 1万人)
やはり「東京はすし屋が圧倒的に多い」という僕の印象は、まちがっていなかったことがわかる。
ヒマ人やな。
ちなみに「広島県」では、「お好み焼き」のヒット数については、5.8(軒 / 1万人)という驚異的な数字になる。
おつかれさま。
◇ ◇ ◇
実際僕は東京にいた頃には、週に3回はすしを食べていた。
もちろんふつうのすし屋じゃなく、回転寿司にいくわけなのだが、東京には回転寿司といってもバカにできない、けっこううまいところがある。そこで生ビール1杯と、すしをお腹いっぱい、ってこれべつに、シャレのつもりじゃなかったです、それに味噌汁をのんで、1,500円くらいで食べられるので、すしが好きとなれば、それは週に3回くらい、いってしまうことになるのだ。
京都には残念ながら、そういう店はないのだが、それでも最近、毎週土曜になるといっている「源八鮨」では、頼むネタに気をつければ、2,000円以下で、お酒一本とすしを腹いっぱい、それに汁物をたのむことができる。
ところでこの源八鮨で毎週すしを食べてみて、京都の人は、「すし」というものの捉え方が、東京とは根本的にちがうことに気がついた。
東京ではいちばんオーソドックスなすしの食べ方としては、まずはじめに刺身なんかをちょっとつまんで酒をのみ、それからすしを食べて、後半になって吸物を頼む、というスタイルになると思うのだが、源八鮨では、ほとんどのお客さんは「そば」か「定食」を頼んでいて、その添え物として、すしをすこし食べるという食べ方をしている。
よく東京の立ち食いそば屋で、そばやうどんといっしょに頼むごはんものとして、いなり寿司があったりするわけだが、たぶん完全にその感覚なのだ。
実際店のスタイルも、源八鮨はすしのほかに、あらゆる食堂料理および居酒屋料理があるという、「総合飲食店」の趣きをしめしていて、広島でもすし屋は、ほとんどがそういう業態だった。
やはり郷に入っては郷にしたがえ、これまでは東京流の食べ方をしていた僕だが、ちょっと京都流の楽しみ方をしてみようじゃないかということで、今回は「かしわ一人鍋定食ごはん抜き」というのをまず頼み、そのあとにすしをすこし頼むというやり方をしてみることにした。
かしわ鍋は、だしであらかじめ炊いたものが出てくるのだが、色はうすいのだが、どちらかといえば甘めのだしで、そこに山椒がかけられてくるというのが、いかにも京都らしいとおもった。
ちょっとした小鉢もついてくる。
最後にサバ寿司と鉄火巻き。押しずしや巻きずしなど、関西流の寿司は、たしかにこういう食べ方をするのが、ぴったりとくる感じがしますね。
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昨日の源八鮨には道連れがいた。僕のブログを読んでくれている、「ほほいのほい」さん。
僕が毎週源八鮨で昼酒をしているのをブログで見てくれていて、ほほいさんもちょうど、土曜の午前は近くで仕事をしているとのこと、ご一緒しましょうと連絡をくれたのだ。
僕はいつもは、この店でとくべつ話をするということもなく、まわりのお客さんの会話などに耳をすませながら、ひとりで黙々と飲み食いしていて、それはそれで、べつに悪くもないのだけれど、しゃべる相手がいるというのも、また楽しい。
僕は最近では、酒をのむというのは、「料理を食べる」ことがあくまで主で、酒は「料理のとも」という位置付けになっていて、それはべつに、それほど気をつけているというわけでもないのだが、自分でいろいろ料理をつくるから、自然とそういうのみ方になってきたというわけなのだけれど、ほほいさんは「味噌を舐めながら酒をのむ」のが好き、というような人で、こちらがバクバク、一人鍋やらすしやら食べているのに、頼むのは小さな刺身と、すしを2貫だけ。それで僕以上に飲んでいる。
去年の夏にそれが原因で膵炎になったのだそうで、ほんとは酒ものんではいけないと医者にいわれているとのこと。大丈夫なのかとちょっと心配。
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このごろまた、新たな中国マッサージにハマりつつある。
中国や韓国の店というのは、日本の店とは根本的にちがって、「システム」というのがあってないようなもので、人間どうしの関係性で、いかような楽しみ方もできるというのがおもしろいところであり、またもちろん、あぶないところでもあるわけなのだが、昨日はマッサージをしてもらったら、ほかにお客がいなかったので、そこでそのまま昼寝をさせてもらった。起きたら、店内禁煙になっているところを、裏の従業員用のスペースでタバコを吸い、ママがシャワー室にビニールのマットをしこうと悪戦苦闘しているのを手伝いもせずにながめ、オネエちゃんとムダ話をして、こんど来たときには中国料理をつくってもらう約束をした。
これはもちろん、相手としても、慈善事業でやっているわけではなく、そうやって自分たちの日常の関係にお客を引き込んでしまうと、お客が抜けられなくなるということを、計算とまではいわないが、無意識にわかっていてやっていることだ。僕はその結果、超流動的にお金をとられるという経験を、これまで何度もしているにもかかわらず、懲りずにふたたび、そういうところに足を踏み入れるというわけだから、「バカは死ななきゃ治らない」とは、まさにこのことなのだ。
◇ ◇ ◇
グルメシティでサバを買い、これを「汁」にしようと思ったのだが、味付けをどうしようとおもって、ネットのレシピを検索してみたら、「船場汁」というのがあったので、それをやってみることにした。
昆布だしに塩と淡口しょうゆで、吸物くらいの濃さに味をつけた汁で、強めに塩をふってしばらくおき、そのあと湯通ししたぶつ切りのサバを、大根や人参などの野菜といっしょに、10分くらい煮る。
僕はそれを鍋ごと卓上コンロにかけ、時々あたためながら、ちまちまと器によそって食べるわけなのだが、
これはいつも自作料理の自慢ばかりで、たいへん申し訳ないのだが、死ぬほどうまい。
サバはふつうにスーパーで売っている、煮付け用のもので、それほど新鮮というわけでもないのだが、臭みなどはまったくない。ないどころか、このサバのだしが、なんとも素朴な、しみじみとした味になる。
船場汁がけっこうな量になってしまい、それを欠食児童のようにバクバクと食べたので、酒は1合で終了した。