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2008-07-15

横川 ロペズ



ご主人はグアテマラ人だそうだが、八昌で修行して、こちらで独立したらしい。昼間は火曜と金曜のみの営業なのだが、1時過ぎに行ったらずらりと行列、ただ八昌と違ってこちらは冷房の効いた店内で待つことができるので、助かった。

待つこと30分、やっと席に座って注文、八昌のことを思うとこれから更に30分位待つのだろうなと思い、いつもは昼は頼まない生ビールなども所望してみたりしたのだが、何とびっくり、10分程で出てきたのだった。



女将さんらしき人も、お待たせして申し訳ありませんでした、と本当に申し訳なさそうに挨拶してくる。そうなのだ、ここのご主人は八昌の一番大事なエッセンスを貫き通すことが出来なかったのだ。

八昌は色々優れた点があると思うが、中でも多分一番重要なのは、キャベツを蒸らすために普通の倍くらいの時間をかけるという事なのだと思う。時間をかけて火を通すことにより、キャベツが柔らかく甘くなる。このキャベツの味が、八昌のお好み焼の真骨頂なのだと思う。

しかしその時間をかけるという事が、簡単そうに見えて実は意外に難しいのではないかと思う。一つには時間をかけて鉄板の上に置いておいて、しかも焦がさないというのが、そうそう簡単な事ではないだろう。ただ単純に火を弱くすると、今度は火が通らないという事もあるかも知れない。そのためには鉄板を厚くするとか、多分色々な工夫が必要なのだと思う。

しかしそれだけではない。通常の考え方に従えば、お客を待たせる事は、即ち悪である。その常識に対抗してお客を待たせ、しかもお客も納得して喜んで待ち、更にはその待ち時間を有効活用してビールやつまみや色んなものを頼んでもらうまでに持っていく為には、それなりの腹の据わり方が必要だという事だろう。この店の場合、女将さんすら待たせて悪いと思っていたから、多分ご主人は一番手前の女将さんの時点で敗退してしまったのだろう。残念なことだが八昌のお好み焼、簡単そうに見えていかに難しいかを表す事例と言えるのだと思う。

まぁしかし、八昌という事を考えなければ、この店のお好み焼は、けっこうおいしいお好み焼。パラペーニョのトッピングもあったりして、楽しめそう。ご主人も性格良さそうな人だから、ぜひ行ってあげて欲しいと思う。

ロペズ (お好み焼き / 横川)

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