カレーといえば、
「ハンバーグカレーだろう」
と、僕などは思ってしまうわけなんですよね。
だいたいカレーは、ご飯の上に液体がかかっていて、食べ応えがまったくない。
昔デブッチョ芸人が、「カレーは飲み物だ」と名言を吐きましたが、たしかにその気持ちは、僕にもよくわかります。
カレーのせいで、ご飯もやわらかくなってしまうから、「お粥」に近い感覚ですよね。
そこでカレーの「飲み物感覚」を払拭するための1つの案として、「カツカレー」がある。
カツカレーは、どかんとカツが乗っているから、これは食べ応えがある。
ボリューム的には申し分なく、またカツのソースとしても、カレーはなかなか悪くないから、男性は「基本はカツカレー」という人も、少くないんじゃないでしょうか。
でもカツカレーには、致命的な欠点があるんですよね。
「食べにくい・・・」
まずカレーは、原則として「スプーン」で食べることになるでしょう。
ところがスプーンでは、カツが食べられない。
そこでカツカレーの場合には、スプーンといっしょに「フォーク」も出されるわけですけれど、たかがカレーごときを食べるのに、スプーンとフォークをいちいち持ち替えなければいけないのが面倒くさい。
さらにフォークで、カツがうまく食べられるかといえば、そうでもないんですよね。
まずそもそも、ご飯の上に乗っているカツは、安定が悪いから、これをフォークで刺すのがなかなかうまくいかない。
カツを刺そうと思っても、カツの下はご飯だから、カツは沈み込んでしまうことになるわけですね。
まあしかし、何とかカツを、フォークでさせたとしても、今度はそれを口に運ぶと、幅1センチ、長さ5センチほどの大きさに切られたカツは、まず一口では口に収まらない。
そこでカツの半分くらいをかじって、残りをまたお皿に戻し、フォークをスプーンに持ち替えて、カレーを食べることになるわけです。
この半分かじられたカツが刺されたフォークが、皿に置かれている光景は、まあいわば、パンツを脱いだら、それをそのまま床の上に放置するようなもので、なんとも嫌な感じがするわけですよね。
ところがこれが、ハンバーグの場合は、そうではない。
ハンバーグはなんと、スプーンでサクッと切れるんですね。
ですからハンバーグカレーは、カレーの原則である「スプーンで食べる」ことを外れることなく、パンツを床の上に放置することもなく、最後まできれいに食べられることになるわけです。
* * * * *
ハンバーグカレーは、ふつうのカレー屋さんなどでは、ハンバーグとカレーは別に調理して、盛り付けるときに、ご飯の上にのせたハンバーグに、カレーをかけるということになるでしょう。
もちろん外食店では、ハンバーグの他にも、さまざまなトッピングをしないといけないわけだから、これは仕方がないわけですが、家でハンバーグカレーを作ろうというとき、このやり方をしてしまうのはもったいない。
ご存知のとおり、ハンバーグを焼くと、大量の肉汁が出てくるわけです。
この肉汁を利用して、ソースを作ったりすることもあるのだから、ハンバーグカレーにするのだって、これを利用しない手はないでしょう。
というわけで、今回は「煮込みハンバーグカレー」。
ハンバーグを焼いたときに出る肉汁を利用してカレーを作り、さらにハンバーグをカレーで煮込んでしまい、
「肉汁を一切無駄にしない」
という企画です。
◎ ハンバーグを作る
まずはハンバーグを作ります。
・牛豚の合いびき肉200g
・玉ねぎのみじん切り2分の1個分
・パン粉カップ2分の1
・卵黄1個
・塩小さじ2分の1
・コショウ少々
・サラダ油大さじ2
■ 作り方
材料をすべて器に入れ、手でよくこねます。
粘り気がでて、手にひっついてくるくらいになるまで、十分こねるのがポイントです。
2個作るのにちょうどいい分量になっていると思います。
タネの中に空気が入らないよう、まず丸めたタネを両手でキャッチボールのように往復させながら、平たくしていきます。
またこの写真ではそうなっていませんが、ハンバーグは火を通すと、水蒸気の関係なのでしょう、中央がふくらんできますので、中央部をへこませるようにしておくと、焼き上がったとき平らになります。
ハンバーグはあとから煮込みますので、両面にこんがりと焼き色がつけばOKです。
焼けたハンバーグは、皿にとり出しておきます。
◎ カレーを作る
ハンバーグを焼いて、たっぷりの肉汁がフライパンの上に出ているわけです。
これを利用して、カレーを作ります。
カレーは、もちろん市販のカレールゥを使ってもかまいませんが、自分でルゥから作るのも、それほど手間がかかるわけでもありません。
ですから今回は、ルゥから作るやり方をしてみましたので、自分でルゥを作ってみたいという人は、参考にしてください。
■ 材料
・玉ねぎのみじん切りを半個分
玉ねぎのみじん切りは、ほんとうは玉ねぎ2個くらいを使い、1時間ほどトロ火でじっくり炒めると、それはそれはおいしいカレーができるわけですけれども、時間の関係上、今回は割愛。
ただもし時間がある人は、玉ねぎをじっくり炒めてみてください。
・ニンニクのみじん切りを1かけ分
・バター1かけ
・小麦粉大さじ3
・カレー粉大さじ2
・カットトマト缶2分の1(200g)
カットトマト缶をこの分量つかうと、「ちょっと酸っぱ目」のカレーになります。
これはこれで、さわやかでおいしいんですが、あまり酸っぱいカレーが好きではない人は、これを100gにしてください。
・水400cc
カットトマト缶を100gにした場合は、水を500ccにします。
・ローリエ1枚
・ジャム小さじ1
ジャムはいちごでもママレードでも、冷蔵庫にあるやつでいいです。
・ウスターソース小さじ1
・塩少々
・ニンジン2分の1本
・じゃがいも2個
・ブロッコリー1茎
■ 作り方
焦がさないよう気をつけながら、10分ほど、じっくり炒めます。
これが「ルゥ」ですね。
ローリエ、ジャム、ウスターソース。
最後に味を見ながら、塩を入れ、味を決めます。
そしたらブロッコリーを入れ、さらに5~10分ほど煮て出来あがり。
ルゥはこの程度の簡単なものでも、市販のものには引けをとらない味がします。
* * * * *
酒はまずビール、それから焼酎水割りにしてみましたが、どちらもカレーによく合いました。
「カレーは酒に合わない」と思い、家で食べるのは避けていたところがあるんですが、まったくそんなことはなかったですね。
これは「ツマミ」ですから、スプーンは使わずあくまで「箸」で、具でカレーソースをぬぐい取るようにしながら食べます。
ちなみにビールは、見栄を張ってドライにしました。