まだようやく春になったばかりなのですが、ちょっと気の早いゴーヤチャンプルー。
ゴーヤはさすが夏の野菜だけあり、ちょっと苦味のきいた味が、食欲がなくなりがちな夏でも、バクバク口に入りますよね。
おまけに入れる具も、豆腐に肉に玉子という、栄養満点なものばかりで、食べるとすごく元気になる感じがします。
沖縄は地理的に、日本と中国、それに東南アジアの中間に位置しますから、料理もそれら3地域のものが入り混じったようになっているのが面白いですね。
日本の伝統的な料理にはあまり見られない「炒めもの」が多用されながら、味付けには香辛料をあまり使わず、日本的に仕上げるところなど、「なるほどな」と思うところがたくさんあります。
ゴーヤチャンプルーは、ゴーヤと豆腐、肉を炒め、醤油ベースの味付けをして、最後に卵で閉じるという単純な料理ですが、全部をいっしょに炒めてしまうと、なかなかうまくいかないことが多いのではないでしょうか。
家庭用のコンロは火力が弱いから、フライパンに具をたくさん入れてしまうと、なかなか火が通らないですよね。
それに沖縄ではゴーヤチャンプルーを作るとき、「島豆腐」という水気が少く、かなり固い豆腐を使いますが、これを木綿豆腐でやろうと思うと、炒めているうちに水気は出るし、鍋返しなどすると粉々に砕けてしまう。
だからゴーヤチャンプルーを日本の家庭で作るときには、
「具を別々に炒める」
のがポイントになるといえると思うんですよね。
まず炒めるのは、豆腐です。
これは「炒める」というよりも、「焼く」という感じですよね。
時々フライパンを揺すって焦げ付かないようにしながら、豆腐にしっかりと焼き色が付くまで焼く。
水切りは、してもいいですが、別にしないでそのままやってしまっても、問題ありません。
水切りしないと、初めは大量の水が出てきますが、そのうちそれが蒸発し、きちんと焼けるようになります。
火加減を中火にしていれば、水が出ても、とくに油はねすることなどもありません。
途中で油がなくなってしまうようならすこし注ぎ足し、両面にしっかり焦げ目がついたら、皿にとり出します。
次にゴーヤ。
豆腐を焼いた時のサラダ油がなくなっているようならすこし足し、強火で炒めます。
ゴーヤは青臭さが強いので、ある程度ちゃんと火を通したほうが、おいしいのじゃないかと思いますが、まあこれは、好みですよね。
豚肉は、うす切り肉なら何でもいいです。
これも強火で、サッと炒める。
具を別々に炒めるときは、そのたび油を足しますから、油が多くなりがちですので、「すこし少ないかな」というくらいの量の油で炒めるのが、ポイントかと思います。
肉の色が変わったら、合わせ調味料をいれます。
合わせ調味料は、まず酒をすこし多めに、カップ4分の1くらい。それにうすくち醤油大さじ1と、ショウガのすりおろしたの1かけ分。
醤油はぜひ、うすくち醤油を使いたいです。濃口醤油だと、仕上がりが黒っぽくなってしまいます。
うすくち醤油は、野菜をいろどりよく仕上げるのにほんとに便利ですから、常備しておくといいですよ。
でももしうすくち醤油がないときは、塩小さじ3分の1くらいに、醤油大さじ2分の1ほどをいれるようにしても、問題はありません。
この肉のうまみのついた調味料で、全体に味を付けるんですね。
火加減は強火のままで、鍋返しをして、調味料を豆腐に吸い込ませるようにしながら、調味料を煮詰めます。
豆腐は固く焼いてあるので、鍋返しをしても、くずれたりはそれほどしません。
ここで味見をしてみて、必要なら塩を足します。
火を弱火にしてフタをして、卵が固まれば出来あがり。
このかつお節がまた、味のポイントになるんですね。
ゴーヤチャンプルーはこの作り方で作ると、豆腐にしっかり味がしみ、大変おいしいです。
豆腐は1丁まるまる入れてしまったので、食べきれるかと一瞬不安になりましたが、ペロリとかるくいけちゃいました。