2012-02-02
京都の防寒対策。
「鶏肉入りの湯豆腐」
京都は夏暑くて、冬は寒いと聞いていたけれど、まさにその通り。盆地だから、寒暖の差がとても激しい。
まずびっくりするのは夏。ふつうなら、昼間はどんなに暑くたって、日が暮れるにつれ涼しくなり、明け方にはちょっとひんやりしたりするものだろう。
ところが、京都はちがう。
去年の夏は、節電しようと思って、扇風機で過ごしてみたのだけれど、午後3時か4時頃までは、まだなんとか耐えられる。
ところがそこから、夕方になり、日が暮れるにつれ、逆に蒸し暑くなってくるのだ。
これはたぶん、京都は盆地で、湿気がたまってしまうから、同じ湿気なら、温度が下がるほど湿度が上がるという道理なのだろう。
それでもう、日が暮れると、エアコンを付けないと耐えられないことになる。
京都の人に聞いたら、むかし町家で、エアコン無しで過ごしていた時代には、日が落ちてくると、窓も戸も、全部閉めきってしまうのだそうだ。
その方が、湿気が入ってこないから、まだマシだということなのだろう。
そのまま夜中じゅう、蒸し暑さは続き、明け方になっても、依然空気は「もわ~」としている。
朝の散歩も、さわやかさは全くない。
京都は、冬の寒さも厳しい。
今年は東日本の方が、京都よりずいぶん寒いみたいだし、京都より寒いところは、いくらでもあるわけだけれど、東京出身の僕にとってはかなりきつい。
東京の寒さは、要は「風の冷たさ」で、風さえきちんと遮断してしまえば、そうそう寒いこともない。
ところが京都は、底冷えする。
東京なら、ダウンを着れば、その下にセーターまでは、着る必要がないものだけれど、京都では、セーターを着ないと冷えてくる。
家の中でも重装備が必要だ。
Tシャツとパンツの上に、ジャージーを上下、2枚重ね、カーデガンを着て、さらにフリースを羽織る。
靴下も2枚重ね。
家がオール電化で、エアコンだけなので、エアコンの温度をかなり上げても、そこまでしないと寒さがしのげない。
ジャージや靴下の2枚重ねは、京都に来るまでは、一度もやったことがなかったのだけれど、やってみると、かなり暖かい。
それで去年の冬は、なんとかしのぐことが出来たのだが、今年はさらに寒くなり、それでも耐えられないことになったので、昨日とうとう、小さな電気ストーブを買った。
もうちょっと我慢すれば、これから暖かくなるという時に、「今さら」という気もしたが、もう耐えられないのだから仕方がない。
ストーブを買いに行った店の店員も、
「電気ストーブはこれしかないんですか」
と聞いたら、
「もうずいぶん売れちゃいましたから」
と、こちらの今さら感を、さらに掻き立ててくれる始末。
それでこのストーブだけれど、暖かい。
たった2,450円の小さなものだけれど、これを足元に置いておくと、全身がポカポカしてくる。
寒くなるといちばん困るのが、手がかじかむことだ。
しかしストーブを足元に置いておくと、不思議なもので、手もかじかまない。
そういうわけで、電気代がどれくらいのことになるのか、不安だということを除けば、快適に過ごせるようになった。
ところが今度は、暖かくなったらなったで、眠くなる。
いずれにせよ、仕事ははかどらないということとなっている。
昨日は晩飯を、「鶏肉入りの湯豆腐」にした。
材料は、鶏肉やネギ、エノキ、それに豆腐。それを昆布だしにたっぷり酒をふり込んだ水で煮、ポン酢で食べるわけなのだが、これが「鶏の水炊きとどう違うのか」は、ちょっとした問題だ。
見た目はまったく同じようなものとなるが、違いは僕の理解によれば、
「鍋は豆腐を煮込むけれど、湯豆腐は煮込まない」
ということだ。
豆腐は煮込んで、味がしみたのもまたうまいけれど、湯豆腐は豆腐を煮こまず、あくまで温めるだけ。
豆腐の作りたての食感、そのものを味わうものだ。
京都の湯豆腐屋へ行くと、冷たいだしに冷たい豆腐を入れた土鍋を火にかけて、だしが沸き始め、豆腐の外側は熱くなっているけれど、中はまだ冷たいという状態のところで食べさせてくれるところもある。
まず鍋に昆布をしいて水を張り、酒をたっぷりと振りいれたら、鶏肉を入れ、火にかける。
これで10分ほど煮て、だしを取る。
長ネギ、そしてエノキを入れて、最後に豆腐を入れたら、火を落とし、だしが沸騰しない程度の火加減にする。
あとはこれを、チマチマと楽しむ。
沸騰さえさせなければ、豆腐やエノキののプリプリ感や、長ネギのシャキシャキ感は、わりと後までなくならない。
タレは、ポン酢に青ネギ、七味唐辛子。
湯豆腐は、あまりゴテゴテ入れず、豆腐だけを、昆布だしでシンプルに食べるのが、もちろんひとつの、洒落た食べ方といえるわけだが、こういう変わり湯豆腐も、また悪くない。
この鍋は、むしろ鶏のうまみがたっぷり出ただしが、メインとも言えるくらいだ。
下手に醤油で味付けせず、塩コショウにするのがうまい。
ご飯の上からぶっかけるもよし。雑炊にするのもよし。