節分に豆をまくのは知っていたけれど、京都では節分に、イワシの塩焼きと恵方巻きを食べる。
そんなのは聞いたことがなかったけれど、せっかく京都にいるのだし、魚屋の若大将も店頭に山と積まれた塩イワシを勧めてくるから、食べてみることにした。
昨日は節分には1日早かったけれど、今日は夜、外飲みの予定が入っているから、うちは昨日が節分。
体長20センチほどもある大羽イワシは、京都では節分のとき以外はあまり見かけることがない。
節分になるとあふれるように出てくるから、そのときのために備蓄されているのかも。
丸々と太って脂が乗りまくっているから、焼くと焼き網が大火災になる。
スダチに大根おろし、しょうゆで食べると、まあ普通にうまいっす。
食べ終わったイワシの頭と骨は、ヒイラギの枝に括りつけ、門前に飾ると厄除けになるのだとか。
ヒイラギの枝をせっかくもらってきたけれど、イワシを食べ終わったころにはすっかり酔っ払っていたから、忘れてそのまま捨ててしまった。
恵方巻きも、東京にいたころには見たこともなかったけれど、京都では昔から、節分の日に食べるそうだ。
「恵方」に向かって丸かぶりすると、厄落としになるのだとか。
恵方はその年によって方角がちがい、今年は「南南東やや右」とのこと。
いちおうぼくも、一瞬その方角に向かい、かぶりついてはみた。
あとは昨日は、冷蔵庫に入っているものを出したけれど、前日に作ったのはだしし殻昆布とニシンの山椒煮。
ぼくは材料の残り物をあまりとやかく言うのは好きではなく、材料など余ったら捨ててしまったらいい。
一人暮らしが料理をすると、慣れないうちはどうしても、材料が余ってしまいがちになる。
「捨ててはいけない」と思い過ぎると、料理をすること自体がイヤになってしまうから、イヤになるくらいなら、きれいサッパリ捨てたらいい。
ただ料理もだんだん年季が入ると、残り物をうまく活用できるようになる。
捨てるはずのもので重宝な常備菜ができるのは、気分がイイ。
だしをとったあとに残っただし殻昆布は、味が抜けているから、だしの出るものと一緒に煮込むのがいい。
そこでニシン。
ニシンが京都以外で売っているものなのかどうか、よくわからないのだけれど、京都の店にはカチコチに干し上げた身欠きにしんのほかに、半生タイプのソフトニシンが売っている。
ソフトニシンは、身欠きにしんのように時間をかけてもどさなくてもすぐに使えるから手軽。
ソフトニシンは1センチ幅くらいに切り、アクをとるためサッとゆで、ゆで汁を捨てる。
冷蔵庫に備蓄しておいただし殻昆布は、せん切りにしてアク抜きしたニシンと一緒に鍋に入れる。
酒とみりん、砂糖大さじ3と、もしあれば実山椒少々を入れ、材料がかぶるくらいの水を入れて火にかける。
もし実山椒がなかったら、わさびを少々入れてもいい。(これは八百屋のご主人のアドバイス)
落としブタをし、弱火で20~30分煮たら、しょうゆ大さじ3を入れ、さらに20~30分煮る。
最後は煮汁をほぼすべて、煮詰めてしまうようにする。
酒の肴にうってつけなのはもちろん、ご飯のおかずにもいいと思うっす。
それに恵方巻きを買った店でサービスにもらったうなぎの肝。
昨日は晩飯の前、四条大宮のバー「Kaju」へ食前酒を飲みに行った。
深酒をした翌日は、どうしてもまた飲みたくなってしまう。
しかもKajuに前日入荷したと聞いていた「京永野の赤ぶどう酒」がまたうまい。
できたての赤ワインで、グレープジュースのような味がする危ない飲み物。
防腐剤を使っていないから、賞味期限が2週間ほどしかないそうだ。
開店直後のKajuは、まだお客さんが少なくて、マスターのKajuさんと二人きりのことが多い。
ぼくはそれをいいことに、Kajuさんに近況を報告する。
Kajuさんはぼくと同じ年だから、話が噛み合う。
それに話を聞き流してくれるから、こちらもかえって話しやすい。
恋愛の相談は、だいたいKajuさんにする。
Kajuさんもバツイチ独身、一人暮らしだから、立場が似ている。
「長話を聞いてくれるんだから感謝しなくちゃね。」
ホントだな。