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2012-04-04

ウー・ウェン先生の中華でも和食でもないおかず。
「サンマ味噌炒め」



昨日は財布に700円しか入っておらず、タバコを買ったら残りは460円。晩めしの買い物もしないといけないし、さすがにこれは虎の子の商品券に手を付けなければいけないかと思いましたが、ウー・ウェン「大好きな炒めもの」をパラパラとめくってみたところ、安いサンマだけ買って、あとは冷蔵庫に入っているもので、献立が一発決定。

ウー・ウェン先生の威力に、あらためて恐れ入った次第です。



世の中に、中華料理のレシピ本は星の数ほどあるけれど、ほとんどが中華料理屋のコックか、料理学校の先生が書いたもので、イマイチ参考になりません。

料理屋の料理と家庭料理とでは、やはり根本的なちがいがあるわけで、大人数のお客を相手に、強力な火力で、効率よく仕上げるための料理屋のやり方は、少人数の家族のために、貧弱な家庭用のコンロで、残り物などをつかってチマチマ作る家庭料理には、あまり役に立たないことが多いでしょう。

料理屋の料理を車の「ポルシェ」に例えれば、主婦が買い物に行くには、ポルシェより「ママチャリ」のほうが、使い勝手がいいわけです。

そんな「ママチャリ級」の中華料理をいろいろ教えてくれるという点で、ウー・ウェン先生、大変ありがたいというわけなんですね。



中華料理を作るという時、テレビの料理番組などでは「中華鍋」を使っているから、やはり中華鍋がないといけないのかと思ってしまいがちなのですが、ウー・ウェン先生、

「中華鍋はいらない」

と言います。フッ素樹脂加工の「炒め鍋」のほうが、家庭では何かと使いやすいというんですね。

中華料理屋独特の、あの長い柄のついた玉じゃくしも、家庭では必要なく、むしろ「菜箸」のほうがいいとのこと。

たぶん中国の家庭では、そうやって料理をするんでしょう。

じっさい僕が、以前日本に住む中国の人に、食事会に呼ばれたときも、炒め物はふつうのコンロにフライパンで作っていました。



「大好きな炒めもの」は、日本の家庭でふつうに手に入る、ありふれた材料を使い、「目からウロコ」の意外な中華料理を作ってくれるのが楽しいわけなのですけれど、材料の中には、ウー・ウェン先生が来日してから、初めて見るようになったものも少なくない。

北京で生まれ育ったウー・ウェン先生は、魚といえばコイなどの淡水魚が中心で、日本で売っている豊富な海の魚に目を見張ったのだそうです。

マグロやサンマなどの青魚は、食べたことはおろか、見たことすらなかったとのこと、日本人のご主人に買い物に付き添ってもらい、魚の名前を覚えるようにしているのだとか。

でもウー・ウェン先生、それら日本の見たこともなかった魚を、買ってみて、自分なりに料理してみる。「大好きな炒めもの」には、そんな料理の数々が紹介されているのも、なんとも微笑ましいんですね。



「大好きな炒めもの」に紹介されている、「意外な中華料理」の中でも、最も意外なのは、

「サンマの甜麺醤炒め」。

サンマを使った中華料理って、まず見たことないですよね。

ウー・ウェン先生自身、この料理は「中華料理でも日本料理でもない」と書いていますけれど、中国人は、「四つ足のものは机以外は何でも食べる」といわれるくらいですから、こうして新しい材料に貪欲に挑戦することこそ、中国人の本領発揮といえるのでしょう。

昨日はこの「サンマの甜麺醤炒め」を、さらに少しアレンジして、作ってみました。



「サンマの甜麺醤炒め」には、その名の通り「甜麺醤」が使われています。

これは中国の甘辛い味噌で、日本でも瓶に入っているのが売ってますけど、買っても使い切れないんですよね。

甜麺醤を使った料理は、ほかには「回鍋肉」くらいしかないわけで、回鍋肉などそんなしょっちゅう作らないでしょう。

要は「甘辛い味噌味」だったらいいわけで、これは「赤だし味噌に砂糖とみりん」で代用することにしました。



サンマは頭を尻尾をおとし、腹を割いてハラワタをかき出して、水で洗って水気をよくぬぐい取る。

これを1.5センチ幅くらいの筒切りにして、片栗粉をうすくまぶす。

サラダ油をひいた炒め鍋を「強めの中火」で熱したら、サンマをならべ、「じっくり焼く」。

これはガチャガチャかき回すのでなく、焼肉でも焼く要領で、片面がこんがり焼けたら、菜箸でひっくり返して反対側を焼く、というようにするのがいいですね。



両面がこんがり焼けて、サンマから脂が出てくるようになったら、せん切りにしたショウガと「手で細かくちぎった赤唐辛子」をいれる。

ウー・ウェン先生の分量は、サンマ2尾にたいして、ショウガ1かけ、赤唐辛子3~4本です。

火加減は強めの中火のままで、ここでは菜箸で混ぜ合わせるようにしながら、ショウガと赤唐辛子を、サンマの脂を使って炒め合わせる。

これでサンマの脂の臭みを取るというわけですね。



ショウガと唐辛子の香りが出たら、ウー・ウェン先生は、「酒大さじ3を入れて煮立たせ、甜麺醤大さじ1.5・醤油大さじ0.5・酢小さじ1の合わせ調味料をいれる」としています。

酒とその他の調味料を分けることにどのような意味があるのか、定かにはわかりませんが、昨日は酒もふくめて、赤だし味噌をつかった合わせ調味料を作りました。

器にまず酒大さじ3くらいをいれ、ここに赤だし味噌大さじ1、みりん大さじ1、醤油小さじ1、それぞれ「くらい」をいれる。

味噌をよく溶かしのばしたら、味を見ながら砂糖をいれ、魚を煮付けるときのような、甘めの味にととのえる。

塩気は料理が冷めるにつれきつくなってくるので、ここではあくまで甘めにしておくのがポイントです。

味がととのったら酢小さじ1をいれ、よく混ぜれば、合わせ調味料は出来あがり。



火を強火にし、合わせ調味料をいれたらさっとからめ、「たたき潰したニンニク」1かけをいれる。

鍋を返し、ニンニクの香りが全体についたら出来あがり。



これは大変うまいです。

「甘辛い味」は日本でも、青魚を料理するときの定番ですが、これはその中国流。

「家族や日本の友人にも好評」とのことですが、たしかに日本人にとってもまったく違和感がなく、しかもきちんと中国風というのがしゃれてます。

サバやイワシなどでも、同じようにやればおいしくできるとのことでした。



それからこれは、骨が入ったままなのですが、食べるのには問題ありません。

骨だけ出してもいいですが、じっくり焼いているので、やわらかなサンマの骨は、十分そのまま食べられます。



あとは中国式「ニラ玉」。

卵にニラが、冷蔵庫に余っていたので、うまいこと処理できました。



ウー・ウェン先生の分量は、卵4つにニラ半把。

ボウルに卵と1センチ長さに切ったニラ、しらす干し30g、酒大さじ1、コショウ少々、塩適量をいれ、まぜる。

昨日はしらす干しがなかったので、味噌汁のために取っただしを少しいれ、醤油少しに、砂糖も入れました。

でもやはり、砂糖は入れない方がよかったです。

「しっかりと焼くことでニラの甘みが出てくる」とのことでしたが、たしかにその通り、砂糖がニラの味を邪魔してしまうところがありました。



サラダ油大さじ3を中火で熱し、溶き卵を一気に注ぎ入れる。

菜箸でときどき大きく混ぜ、「卵液を底に流しこむようにしながら」、均一な厚さに焼き、火を弱火に落として、フタをして3~4分。

全体をひっくり返して、さらにフタをし2~3分。

しっかり焼くので、ひっくり返すときも、クレープのように箸と手でつまめます。



焼き上がったら切り分け、皿に盛る。

この卵焼きの作り方は、いいですね。

丸めたりしなくていいので、フライパンで作るのにうってつけです。

昨日は史上もっとも上手に、卵焼きが作れました。



あとは玉ねぎと油あげの味噌汁に、キムチ。

190円で作った晩めしとは思えません。

焼酎が切れていたので、日本酒を飲みましたが、やはり炒め物には、焼酎がいいですね。

味噌汁は、中華にも余裕で違和感ないのがエライです。



朝めしは、いつも通り味噌汁でうどんを煮ます。

麹味噌だと、翌日の味噌汁はあまりおいしくありませんが、赤だし味噌なら、それほど味が変わりません。