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2011-08-19

煮物好きの肉じゃが好き


僕は煮るのが非常に好きなのだ。したがって鍋も非常に好きで、放っておくといくらでも鍋を買ってしまうので、かなり気を付けている。

ほかにもじつは洗濯も好きだったりする。きれい好きという意味じゃなく、洗濯機が回ってジャブジャブいってるのを、上からじっと眺めているのが好きなのだ。あと子供の頃色紙を水に浸け、色紙の色を水に溶かして遊ぶのも好きだった。

要は僕は、何かが水に溶け出していくのが好き、ということなのだと思うのだよな。

これが何故なのかは、僕にもよくわからない。子供の頃から好きだったのだから、性格的なものなんだろう。ほかにも僕と同じような性格の人がいるんだろうか。もしいたら教えて下さい。

でもこと料理ということに限った場合、料理法の好き好きって、あるんじゃないかという気はしますよね。

これは特に男性に言えるのかもしれないけれど、包丁が好きな人がいる。だいたい釣りの延長に魚をさばくというところから、料理に入った人に多いのじゃないかと思うんだけど、包丁を何本も揃えている人とか、いますよね。これは料理法のなかでも「切る」ことが好きなんじゃないか。

僕は切ることにはほとんど興味がなく、したがって包丁にも興味がない。自分で包丁を買ったことは一度もなく、誰かに昔もらった三徳包丁をいまだに使っている。

あと「焼く」のに興味がある人もいるんじゃないか。これはバーベキューが好きな人だと思うんですよね。この嗜好は「火を起こす」などというのとセットだったりもする。僕は焼くことにもあまり興味がないんです。だから自分でバーベキューをやりたいと思ったこととか一度もない。

そういう「煮好き」な僕の目から見て、日本の料理には、煮ることについて、一日の長があるんじゃないかと思うんですよね。

「煮る」というと僕の場合「カレーを煮る」というのを思い出してしまう。僕に限らずそういう人は多いんじゃないか。カレーは今、日本の代表的な家庭料理となってしまっているから、仕方ないと思うんだが、これはあくまで西洋料理における「煮る」であって、日本では元々、こういう煮方はあまりしなかったんじゃないかと思うんですがね。

日本では煮方にも二通りあって、ひとつは「煮付ける」とか「煮込む」とか言われているやり方。これは高温で短時間で煮ることによって、汁を飛ばしてしまうやり方。味をつけた汁を飛ばして煮詰めてしまうから、強制的に味がつくことになる。

それからもう一つは、わりと「炊く」と呼ばれることが多いと思うのだけれど、おでんとかみたいに、汁を沸騰させずに低温で長時間、火を入れることにより、材料を固くしてしまうことなしに火を通し、味をしみ込ませるというやり方。

同じ魚のアラでも、「あらの煮付け」と「あら炊き」とでは出来上がりが違ってくるわけですよね。

煮ることにこういう二通りのやり方を持っている国って、ほかにあるのかな。中国とかは、とにかく高温で火を通すということをしそうだし、西洋ではコトコト火を通すことだけしそうな感じがする。まあそのあたりのことはよく知らないのだけれど、とにかく日本が、煮ることについて非常に色々考えてきたというのは間違いないことなんだと思うのです。

まあそれだから、僕みたいな煮るのが好きな人間は、日本の料理は楽しいな、ということなんですけどね。

それで肉じゃがを作るという場合にも、この煮込んで汁を飛ばしてしまうやり方と、炊いて汁をたっぷり残すやり方と、二通りあるわけで、どちらでも好きなやり方をすればいいんだが、短時間で汁を飛ばしながら煮たじゃがいもは、ちょうどふかしたような具合になり、ほっくりしてうまい。しかも時間もかからず、あっという間にできるから、僕はいつもこのやり方をしている。


詳しいやり方はちょっと前に書いたから、そちらを見てもらうといいんだが、簡単に言うと、フライパンのフタをして、強火で10分、カップ1の水に砂糖としょうゆで味をつけて、材料を煮る。あとはフタをはずして、上下を返しながら、煮汁をほぼ完全に飛ばしてしまう。

カップ1の水だと、材料に水がかぶらないから、これで火が通るのかどうか、不安になるのだけれど、フタをして強火でやれば、蒸し焼きのような状態になりしっかり火が通るから心配ない。


七味唐辛子と、好みで青ネギをふって食うが、ほっくりと煮えたこってり味のじゃがいもをつまみながら日本酒を飲むというのは、これまたたまらん組み合わせなんでござる。