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2011-08-03

焼きそばをつまみに酒を飲むのが、どうしてこんなにいいのか、ない頭をしぼって色々考えてみましたの巻


焼きそばをつまみに酒を飲むというのは、なんともいいんだな。

この「よさ」は、「餃子でビール」とか「にしんそばで日本酒」とかいうのと同類なのだが、それが何によるものか考えてみると、意外に奥が深いのだ。

一つはたしかに、
「炭水化物をつまみにするよさ」
なのだとは思う。

酒飲みの立場からすると、炭水化物をつまみにすると、腹が一杯になってしまって酒がまずくなるということがある。でもほんとはそれって、炭水化物を欲しがる体にがまんをさせて、「酒がうまい状態」を無理やりつくり出しているということなのだよな。

居酒屋でも炭水化物メニューを置いている店は少ないが、それはあまり炭水化物を食べられてしまうと、腹がいっぱいになりお客が酒を飲まなくなるからだ。あ、これは小さな、昔ながらの個人経営の店だけかもしれないが。

しかしやはりそれが体に無理をさせているということは、居酒屋から出てくると無性にラーメンが食べたくなることからも明らかだろう。

「炭水化物に酒」というのが、「体の自然に対して素直である」ということは、一つ間違いなくあるんだろうと思う。

しかし「焼きそばに酒」とか、「餃子とビール」とかいうものが、ただ「体によい」というだけのことなのかといえば、そうではないんだよな。

例えば「とんかつ定食にビール」というのを考えてみる。どうだろう。これは「焼きそばに酒」のような風情はあるか。

僕の場合、これは「とんかつ定食をモリモリ食べている、メタボなサラリーマンの姿」が思い浮かぶ。もちろんとんかつ定食を時間差して、初めにとんかつをつまみにビールを飲み、あとからご飯でシメる、という形ならいいが、ご飯とビールは両立しないだろう。「焼き魚定食にビール」でも、「刺身定食に日本酒」でも、事情はおなじなのじゃないか。

「ご飯と酒」の両立が難しいのだったら、「チャーハンとビール」「炊き込みご飯に酒」はどうだろう。焼きそばと同じように、炭水化物に味が付いているわけだから、なんとなくいけそうな感じもしなくはない。

でもやはり、これもイマイチじゃないか。味的にはいけなくもない気はするが、僕の場合「チャーハンや炊き込みご飯をつまみに酒を飲みたい」という感じがしない。

ただおなじ米でも「煎餅」とかになってくると、これは酒のつまみの王道だから、米という原料が酒に合わないということではないのだろう。「もち」も、味付けによっては、十分つまみになる気がするな。

ということは、まとめると、
「酒のつまみにいいのは、『米粒』以外の炭水化物である」
ということになりそうだ。

米粒がつまみにならないというのは、それが日本人の「主食」だからじゃないかと思うんだよな。

「主食はつまみではない…」
これははっきりしたことだ。

焼きそばや餃子というのは、栄養としては主食の要素をふくみながらも、日本人にとっては主食とはならない。かといって、正式に「つまみである」と言い切ることも、また微妙にできないところがある。正統な酒飲みは、焼きそばをつまみとは認めないだろう。

この微妙な、曖昧な感じがいいんだな、焼きそばというのは。

「つまみなのか、食事なのか、はっきりしてくれよ」
と言われても、
「どっちかなあ、えへへへ…」
と回答を留保してしまう。

なんかこの、物事に白黒をつけない曖昧な感じって、いかにも日本人らしくないか。

「焼きそばに酒」がいいのって、やはりこういう、
「日本人としての自分をあらためて確認できることのよさ」
だったりするんじゃないかという気が、ちょっとしてくるよね。

とまったく意味のないことを考えるのに、すごい時間を使ってしまった。


というわけで、小松菜とシイタケの焼きそば。

小松菜は、今ほうれん草や水菜の半額くらいで売っていて、青菜を食べるならこれしかない、ということもある。

それに焼きそばに合わせるとすると、ほうれん草も水菜も、どうもイマイチな感じがするしね。

小松菜には当然、ゴールデンコンビの豚肉、それに冷蔵庫に余っていたシイタケも使ってみた。シイタケと小松菜、すごく合いそうな気がしないか。

フライパンを熱して油をひいて、まず豚肉、それから小松菜、シイタケ。順に炒めていく。これは、そんなに念入りにやらなくてもいい。この後があるからなのだ。

ここに調味料を入れるのだが、多めの日本酒と、慎重に量を考えたしょうゆ、チューブのニンニクとショウガ、それに今回、コップに4分の1くらいの水を入れてみた。
小松菜は炒めるだけだと、なかなか火が通りにくいし味もしみないので、ちょっと「煮る」ということにしてみたわけなのだ。
この煮汁が、豚とシイタケのうまみがたっぷり出て、それが調味料とえもいわれぬ調和をかもし出し、小松菜に侵入していくというのは、疑いようのないところだ。

煮汁が少なくなってきたら、適当なところで焼きそば麺を入れ、汁気がなくなるまで炒めて出来上がり。

いやこれは、かなりうまいですよー。
やっぱり小松菜は、ただ炒めるだけより、すこし煮るようにした方がぜんぜんうまい。
小松菜とシイタケ、豚肉のコンビネーションは、予想通り最高でした。

炒め物には日本酒は合わないということで、一時ビールや焼酎を飲んでいたのだが、やはりそれだとどうも酔い心地が悪い。
それでもう、炒め物でも、ニンニクを入れても日本酒。
またこの賀茂鶴 本醸造爽快辛口は、ほんとにうまいっす。