八百屋に少し前から出回りはじめていた小松菜も、今まではキュウリやら万願寺とうがらしやらに押されて手が伸びなかったけれど、ちょっと涼しくなると食べたくなる。
小松菜の食べ方も色々あるけれど、やはり1つの定番は豚肉との炒め合わせ。
しょうゆ味に唐辛子をきかせ、削りぶしで風味をつけることにする。
まずはサラダ油少々を強火で熱し、豚コマ肉200グラムを色が変わるまで炒める・・・。
鷹の爪少々と細く切ったシイタケ3~4個、ざく切りにした小松菜1把を入れ、小松菜がしんなりするまで炒める。
水4分の1カップ、日本酒としょうゆ各大さじ1、おろしたショウガ少々の合わせ調味料を入れ、1~2分煮て小松菜に火を通す・・・。
水溶き片栗粉でとろみをつけ、削りぶし少々を加えて全体をまぜる。
小松菜と豚肉の炒めもの。
いただきます。
唐辛子と削りぶしの風味が全体を引き締めてくれている・・・。
「そういえば私に『彼氏いるの』って、一度も聞いてないね・・・」
和久井映見がおっさんに感心した様子で言った。
たしかにおっさんは、彼氏がいるのかどうかを和久井映見に確認していない。
おっさんは、和久井映見は住んでいる東京を半年も離れて、一人で京都に滞在しているのだから、彼氏はいないのだろうと勝手に決めつけている。
それ以前におっさんは、そもそも女性に彼氏がいるのかどうかなど、聞くことに意味がないと思う。
「結婚は別として、彼氏などいくらでも取り替えがきくものだ。アプローチするだけしてみて、好きになったらこちらを彼氏にしてもらえばいい・・・」
「でももし和久井さんに彼氏がいたらどうするの?」
それはないと思うんだけどな。