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2008-08-31

レッド・ツェッペリン !!

先日、広島パルコの新館に行ったら、8階に楽器屋があって、そうすると当然、エレキギターとかも置いてあるわけだ。
ちらちら眺めていると、なんと最近は、フェンダーというエレキギター界では老舗の会社の、テレキャスターというギターが、5万円ほどで売っているのである。これは僕が好きなロックグループであるレッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジが、デビューのころ使っていたものだ。


思わず身体がカーッと熱くなり、店員に頼んでアンプにつないで弾かせてもらったりすると、またこれがいい音がするわけで、欲しくて欲しくて仕方なくなった訳だが、渾身の力をふりしぼって冷静さを取り戻し、よくよく考えてみれば、というか、それは考えなくても自ずと明らかなことなのだが、ギターを買えば当然ひと前で弾きたくなり、そうするとバンドを組んだり、練習してライブをしたり、ということに発展していくに決まってる。でも今の僕にはそこまで時間はさけないな、ということで、熱くなった身体をなんとか冷まし、あきらめた、ということがあった。

僕はそうやって橋の手前で踏みとどまったわけだが、世の中には橋を渡ってしまう人も多いのだろう。
オヤジバンドが盛り上がっているらしい。

学生時代のバンド仲間とは縁を切り、かたぎになって就職し、がむしゃらに働いてきたのだけれど、四十をすぎてそろそろ定年が視野に入ってくると、自分の人生、何なのだろうと考えはじめる。ふと気づくと、昔は高嶺の花だったエレキギターや色んな機材が、酒を飲んだり車を買ったりするのをちょっと我慢すれば、手の届くところにある。なんだ、そうだったのか、それでは夢をもう一度、とばかりにバンドを始める、といったところなのではないかと思う。

僕はMixiにもちょこっと顔を出していて、そしたら広島在住のレッド・ツェッペリン好き、ということでだろう、レッド・ツェッペリンのトリビューンバンドをやっているという、40歳の人から連絡があって、ライブをやるので来ませんか、と誘われた。
「トリビューンバンド」という言葉は初めて聞いたのだが、あるバンドの、曲をただコピーするというだけにとどまらず、姿かたちから、使う楽器や機材まで、すべてを丸ごと真似してしまうバンド、という意味らしい。

名古屋にレッド・ツェッペリンの、今思えばトリビューンバンドなわけだが、CINNAMONという、その世界では有名な人たちがいて、これはオヤジバンドではなく、というか年齢的にはオヤジなわけだが、最近ぽっと始めたのではなく、もう30年以上活動している大御所なのだけど、ライブが大須であったので見に行ったら、とても面白かった。
だいたい僕もツェッペリン好きなので、ツェッペリンの曲がライブで聴ける、というだけで、他愛もなくワクワクしてしまうのだ。
ということで今回も、広島からJRで40分、山口県の岩国へライブを見に行ってきたというわけだ。

岩国はすごいところで、米軍基地があることも関係するのだろうか、岩国Rock Countryというのだが、ロック専門のライブハウスが、駅から5分ほどの繁華街のど真ん中、福屋の隣にある。話はしなかったが、スタッフ席にミッキーカーチス


みたいな見た目の、かなり気合がはいった人がいたので、おそらくその人がオーナーなのだろう。
今どきロック一本のライブハウスを、地方都市とはいえ街のど真ん中で経営していくというのは、よほどの信念を持っていないかぎり出来ないことだと思う。

ライブのタイトルは「Legendary Rock Fest」だから、「伝説のロック祭」だろう、伝説のロックと呼ばれるにふさわしい、エリック・クラプトン



やジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックス、ホワイト・スネイク、そしてレッド・ツェッペリン、などをやるバンド、4グループが競演するという企画だった。
それほど広くはない会場ではあるが、超満員で、立ち見も出るほどの盛況ぶりだった。
客はほとんどが、出演バンドのメンバーの家族や友人など関係者だったようだったが、飛び込みで来た人も何人かいたようだ。

初っ端はエリック・クラプトンのコピーバンド。
2ヶ月前に結成した岩国の地元のバンドだそうだが、絵に描いたようなオヤジバンドで、演奏も歌もびっくりするほどしっかりしているのだが、「え、この人がクラプトン?」


という意表をついたキャラクターや、全体として何となく、「オヤジのカラオケ」チックな雰囲気をかもし出しているところに、ほのぼのとするものがあった。

二番手はジェフ・ベックとジミ・ヘンドリックス担当だが、ギタリストは日本のトップギタリスト、チャーにそっくりで、


チャーの曲も2曲やってくれたが、かなりのテクを披露してくれた。

さて次がいよいよレッド・ツェッペリン。
MR. HENRYというバンド名で、去年の11月に結成されたそうだが、これはすごかった。
まずすごいのは、ツェッペリンのドラマー、ジョン・ボーナムが使っていたドラムセットを再現し、直径1メートルはあろうかというドラから、ティンパニまで、全部持ち込んでいたこと。

 

アンプなどほかの機材も大量に持ち込んでいたから、金もかかっているだろう、しかしやはり、すべてを真似るトリビューンバンドとしては、この意気込みは大切だと思う。

メンバーは全員、普段はかたぎの仕事をしているアマチュアなので、髪の毛は当然短髪なのだが、この日は長髪、アンド、金髪のズラで登場。


ちょっと文化祭チックな感じだが、そこまでする、という心意気が、またなかなか良かった。

演奏はかなりすごくて、ツェッペリンはメンバーが全員、演奏がうまい、というだけでなく、それぞれとても特徴的で、その個々の特徴が全体として大きく融合されて、ツェッペリン独特の迫力あるサウンドを生み出すのだが、このMR. HENRY、メンバーがそれぞれ、そういう特徴の細部を再現しようという意気込みにあふれていて、見ていて爽快だった。

演奏のポーズももちろん、忠実に再現されている。

本家との比較編、2例。

ジミー・ペイジの演奏のポーズ。
MR. HENRY:


本家:


ジミー・ペイジとロバート・プラントのからみ。
MR. HENRY:


本家:


1時間のステージだったが、時間のたつのが早く、あっという間に終わってしまった。

最後に登場したのは、ホワイト・スネイクをやるバンドだが、この人たちはほとんどプロに近いのだろう、長髪もズラではなく地毛で、演奏や、ステージ上での客のあしらい方も、ほんとに達者だった。


ライブハウス側としては、やはり素人だけに任せるのは怖いので、最後におさえとして、きちんとプロを配置する、ということだったのだと思う。
しかしまあ、伝説のロックを今に再現する、という今回の趣旨で考えると、演奏のうまさはもちろん必要だが、うまいだけでは意味がない、そうではなく、やはり本家をどこまで愛情をもって忠実に再現するのか、というところが重要なポイントになるのだと思う。
そういう意味で今回、MR. HENRYは、本家、レッド・ツェッペリンへの愛にあふれており、会場がたいへん盛り上がったのはそういう所だったと思う。

MR. HENRY、9月20日には、五日市のMOTOR BREATHで、あの日本語直訳ロック「王様」の前座をつとめるそうです。


2008-08-30

お粥レシピ 干し貝柱の粥


これは簡単、しかも旨い!
と自画自賛も何だけど。

米と、7倍量の水を鍋に入れ、(あ、僕は無洗米を使っているのでそのまま入れますが、普通の米はもちろん研いでから)、そこに干し貝柱をいくつか入れる。
(今日は1/2カップの米、700ccの水にたいして、6個の貝柱入れたんだけど、どうだろ、そんなもんかも)
一晩おいて朝起きたら中火にかけ、沸騰したらあくを取って、それから弱火。
(今日は30分炊きましたが、もうちょっと時間短くても良かったかも)
最後に塩で薄く味をつけ、5分蒸らして出来上がり。

何度も自画自賛してすみませんが、これはかなり旨かったです。

お粥は途中であまり混ぜない方がいいみたいです。
米の粒がこわれて、粘り気が出てくるので。

干し貝柱、地域のスーパーとかには置いてないですね。
八丁堀の福屋の地下まで行って買いました。

広島ブログ

2008-08-29

広島八丁堀 お好み焼き みっちゃん総本店(再訪)


言わずと知れた、広島風お好み焼きの総本山。
ここの店主が、終戦後間もない広島でお好み焼きの屋台を始め、当時は「一銭洋食」といわれて子供のおやつのような存在だったお好み焼きを、肉に卵、たっぷりのキャベツ、そしてそばの入った、大人の主食に耐えうるものとし、さらに広島を代表する食べ物にまで育て上げたと言われている。
自身の経営する直営店が4店舗、その他に暖簾分けの店が8店舗、評判の高い店が多く、この総本店も食事時や休日にはずらりと長蛇の行列ができる。
またこの店で修行した職人が自分でお好み屋を開業するという例も数多く、広島風お好み焼きの屋台骨を支えてきたと言っても過言ではない。

僕はこのみっちゃん総本店には、広島に来てすぐの時に一度来たのだが、それ以来訪れていなかった。
暖簾分けの店などもまわりながら、みっちゃんは確かに元祖ではあるが、もうすでに見るべきものはあまりない、と勝手に思い込んでいたのである。
しかし先日かんらん車に行き、そこの店主や、またみっちゃん光町店の店主など、お好み焼きの未来を予感させる人たちが、みっちゃん総本店で修行していたことを知り、この店の底力のようなものを感じた。
みっちゃん総本店は、ただ元祖であると言うにとどまらず、おそらく広島風お好み焼きの原点なのだろう。
物事は原点を知ることにより、全体を見渡せるようになるものだ。
ということで僕も改めて、広島風お好み焼きの原点をさぐりに、この店に出かけたのだ。


頼んだのはもちろん、そば肉玉。
注文してから10分ほどで出来上がってきた。
この店ではお客が何人か入ってくると、その瞬間に、鉄板に人数分の生地をのばす。
キャベツやもやし、天かすなど、すべてに共通するものを先にのせてしまい、エビやイカなどその他のトッピングは、実際に注文が入ってから入れるのだ。
客を待たせないための工夫なのだろう。
このことに代表されるのだが、みっちゃん総本店が一つ追求していることは、いかにたくさんのお客に、できるかぎり短い時間で、お好み焼きを供することができるのか、ということなのだ。

横幅5メーターほどもあろうか、巨大な鉄板には、職人が横に6、7人もならんでいる。
流れ作業になっているのだ。
入り口からいちばん近いところにいる職人は、鉄板に生地を丸くのばし、けずり節をふりかけ、キャベツ、もやし、天かすをのせ、魚粉をふりかけ、最後に肉をのせる。
そしてそれらを次に送る。
次の工程は2、3人が担当するが、送られたものに注文に応じてエビやイカなどを入れ、そして全体をひっくり返す。
しばらく蒸しながら形を整えたりするのだが、よく見るとここで、キャベツの上下が多少入れかわるようなコテさばきをしているようだった。
そして最後の2、3人は、後ろで茹でられた麺を鉄板にのせ、丸く形をととのえ、焼きが入った頃合を見計らって、蒸しあがった本体をその上にのせる。
さらに玉子を鉄板の上に割り、麺と合体した本体をさらに玉子の上にのせ、しばし間をおいてひっくり返す。
皿で食べる人のために全体をコテで切り分けて皿にのせ、ソースと青のりをかけて完成となる。

お好み焼屋もまだ屋台だったころは、職人が一人か二人で焼いていたのだろう。
しかしそれが人気となり、お客が増えるようになると、たくさんのお好み焼きを短い時間で出せるようにならなければならない。
みっちゃんの店主はそこで、当時自動車や電気製品などの工場で導入されていたであろう、流れ作業を導入した。
お好み焼屋を工場ととらえ、お好み焼きを大量生産するためのシステムを構築したのである。
それが出来るようになり、広島風お好み焼きは大きく発展しただろう。
実際みっちゃんは、駅や空港のみやげ物屋に品物を出したり、インターネット販売も請け負ったりしている。
どこかに本当にそのための工場があり、大量のお好み焼きが焼かれているはずである。

またそれと同時にみっちゃん総本店は、「鉄板で食べる」ということも放棄した。
この店の鉄板は巨大なのだが、鉄板前の椅子は5、6脚ほどしかなく、基本はテーブルで食べるようになっている。
鉄板で食べるお好み焼きは、テーブルに皿で出されるものとは味がちがうのだが、お客をたくさんさばくためには、そんなことは言ってられない、ということだろう。

そのような行きかたは時代の必然であっただろうし、みっちゃんがやらなければ、誰か他の人がやっていたかもしれない。
しかしそこで働く職人の中には、そういうやり方に疑問を感じ、屋台時代の原点に返り、もっとお好み焼き一枚一枚を丁寧にあつかうことにより、お好み焼きが本来もっているおいしさを引き出すことができないのか、と考える人も出てきたのだろう。
それが、かんらん車やみっちゃん光町店の店主だったのかもしれない。
じっさい彼らは、みっちゃん総本店の焼き方のいろいろな部分を強調したり増幅したりして、自分の焼き方を見つけているのだと思う。

みっちゃん総本店で一つ意外だったのは、調味料をまったく使わないことだ。
みっちゃんの暖簾分け店である、みっちゃんいせやや、新天地店では、かなり大量の調味料を使う。
塩、こしょう、味の素、それにたぶんガーリックパウダー、味の素とガーリックパウダーは、「ざーっ」というほど振りかける。
これはみっちゃんの元々の流儀かと思っていたがそうではなく、暖簾分けした人たちが独自にむかった道なのだろう。
みっちゃん総本店はそのようなわき道に反れることなく、昔ながらの王道を歩んでいる。
しかし調味料を使わないぶん、味にメリハリが乏しく、ぼんやりした感じがするのもまた事実なのだ。
それを調味料ではなく、焼き方でカバーして行こうというのが、上のかんらん車やみっちゃん光町店なのだと思う。

鉄板にずらりとならび、汗をぬぐいながらお好み焼きを焼く職人たちは、若い人もいるが、けっこう年齢を重ねていると見受けられる人も何人もいる。
おそらく多くは、独立して自分の店をもつことを夢見ているのだろう。
平坦な道ではないだろうが、ぜひ頑張ってほしいなと思う。
彼らこそが、未来の広島風お好み焼きを創っていくのである。

みっちゃん総本店

広島ブログ

2008-08-28

西広島 手打ちそば はっぴ


かなりのこだわりを持ってやっている店のようだ。
メニューは板わさや山芋とろろ、にしん甘露煮などの一品料理、それにそば類、日本酒、のみ。
ご飯ものなどは一切ない。
店の考え方としては、一品料理をつまみながら日本酒を飲み、最後にそばで締める、という利用の仕方を想定しているのだろう。
3,150円で「蕎麦御膳」というメニューもある。

そのほかに鴨南蛮も評判で、それを目当てに来る人も多いらしい。
でも値段が1,500円以上する。
初めての店で、おいしいか不味いかも分からないのに、いきなりそれは無理だなと思い、ざるそばを頼むことにした。


ざるそば1.5玉、1,000円。
冷蔵庫からそばを出し、ゆで時間ほんの一分ほど、水にさらし、さらに氷水でしめる。
店主の動きに、かなりの思い入れがあることが伝わってくる。

よくそばはお腹が一杯にならないことがあるのだが、1.5玉だったこともあり、量は十分だった。
しかし味は、僕はそば通でもないし、あまりやかましいことは言えないのだが、申し訳ないが、大しておいしくなかった。
まずくはないんだけど。

以上です。

手打ちそば はっぴ (てうちそば はっぴ) (そば / 広電西広島)
★★★☆☆ 3.0

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新・和歌山ラーメン ばり馬 庚午店


「新・和歌山ラーメン」というのだが、社長は広島市民で、広島を中心に全国にチェーン展開しているラーメン店。
だいたい「ばり」というのは、広島弁らしい。
「最強の濃厚豚骨しょうゆラーメン」が旗印だ。

入り口をはいろうとすると店員がわざわざ出むかえてくれる。
ほかの店員もみな声を出し、きびきび動き、感じがいい。
掃除も行きとどき、小ぎれいな様子だ。


メニュー筆頭は、ばり濃(こく)、750円。
スープの濃さは何種類かあるようだが、これが一番人気とある。
たしかに滅茶苦茶こってりしていて、さらに大量の背脂が加えられている。
麺は中くらいの太さでまっすぐ、ちょっとモソモソしたタイプ。
チャーシューはとろとろのジューシー。
メンマ、青ねぎ、そして梅の形のなるとが一枚。

不味いとは思わなかったのだけれど、このスープ、ちょっと濃すぎて飲むことができなかった。
二口、三口が限界で、それ以上は無理。
まあ、年齢的なものだろう。
僕もむかしは、こういう脂っぽいものが大好きだったので、この店は、そういう若者むけの店なのだと思う。

新・和歌山ラーメン ばり馬 庚午店 (ばりうま ばり嗎) (ラーメン / 高須) 
★★★☆☆ 3.0

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広島ラーメン 大手町 陽気


広島ラーメンの源流に近いと言われる陽気、本店は江波にあるが、ここ大手町にあるのはその支店。
本店は開店とともに行列ができるというが、こちらは昼1時、まだランチタイムの範囲内という時間に行ったのだけれど、お客は一人だけだった。
本店は、メニューは中華そばのみ、ほかに何にもないのだが、ここはおむすびと生ビールもある。


中華そば600円。
癖のない醤油豚骨のスープ、ちょっと細めで真っ直ぐな麺、味のあるチャーシュー、しゃきしゃきもやし、青ねぎと、本店の陽気とまったく同じ構成。
横川の陽気は、メンマを入れていたり、ニンニクの味をきつく出したりして、本店とはちがう味にチャレンジしているようで、まあその精神は買うが、僕としては特徴を出そうとしているところがいちいち、陽気のラーメンがもともと持っている完成度の高さを落とすだけのような感じがして、あまり良いとは思わなかった。
こちら大手町店はそのようなことはなく、もともとの陽気のラーメンを忠実に再現しようとしているようだが、何がちがうんだろう、そこそこおいしいが、本店で受けたような感動はない。
必要以上に塩っぱいような気もしたし。
スープのバランスも、どこか少し悪いような気がする。

味って体調とかとも関係するので、何とも言えないところもあるんだけどね。

陽気大手町店 (ラーメン / 中電前)
★★★☆☆ 3.0

広島ブログ

2008-08-27

お粥レシピ 鶏粥


これは昨日の晩に食べたもの。
手羽先を二本、お粥に炊き込んだ。
米1/4カップ、水500cc。
長ネギとショウガ、それに日本酒で臭み消し。
塩で味付け。
青ねぎと白ゴマのトッピング。
出しは手羽先のみなので、いつもの濃い味とくらべると物足りないともいえるが、いやいやどうして、滋味あふれ、我ながらしみじみおいしかった。

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広島中区 お好み焼き かんらん車(再訪)

このところ急に涼しくなったおかげで、風邪を引いてしまった。
というか、風呂に入ったり、お酒を飲んだりすると頭がいたくて、何故なんだろうと思っていたが、あとで考えてみると、ああ、風邪を引いたんだろう、と。
かなり涼しくなった夜、冷房をかけて寝たのがいけなかったのだ。
まあ大した風邪ではなかったので、もう治ったのだけど。

昨日、お好み屋「かんらん車」の僕の記事について、
「広島に星の数ほどあるお好み焼き店で、個人的にはここがNo1だと感じます」というコメントを寄せてくれた方がいた。
僕は広島のお好み屋に全部行った訳でもないし、だからかんらん車を「広島で一番」とは言えないが、でも少なくとも僕も、僕がこれまで行った広島のお好み屋の中では、 この店がいちばん旨いと思う。
なので気持ちが通じたみたいで、ちょっと嬉しかった。
ということで、嬉しさついでに、今日もかんらん車でお好み焼きを食べてきた。


今日も「そば肉玉」。
エビやイカが入ったのを頼もうかとも思ったが、やっぱりやめた。
シンプルなそば肉玉が、味のちがいが一番よく分かるのだ。
ついでにコメントにつられて、昼飯だったが、生ビールとイカゲソのしょうゆ炒めも所望。
やっぱりいい店では、きちんと満喫しないといけない。

かんらん車のお好み焼きは、今日もおいしかった。
酸味の少ない、甘辛いしょうゆ味のようなソース。
ホクホクでジューシーなキャベツ。
パリッと焼けた、ちょっと太めの麺。
この三重奏がたまらない。
最後の一切れまで、一気に食べてしまう。

これまで一番おいしいと思っていた、八昌との違いを思う。
お好み焼きの味について考えるとき、まあもちろん、色々な要素がある訳だけど、やはり「キャベツの味をどう引き出すか」ということが、大きなポイントになるだろう。
八昌はそこで、「キャベツを蒸すのに時間をかける」という考え方を提出した。
キャベツの蒸し時間15分という、お好み焼きを焼く時間としては、とてつもなく長い時間をかけることにより、キャベツがやわらかく、甘く仕上がる。
経営上のリスクを抱えながらも、あえてこの15分間を守りとおす八昌は、王者と呼ぶにふさわしいと思う。

しかし八昌のお好み焼き、 欠点もある。
時間をかけてキャベツに火をとおし、さらに上から押すものだから、全体に水分が抜けてしまうのだろう、ちょっとモソモソした感じになる。
はじめの一口は感動があるのだが、半分を食べる頃にはちょっと飽きてしまい、残りを食べるのが正直つらくなる。
これはお好み焼きの宿命なのかと思っていた。

しかし違うのだ。
かんらん車のお好み焼きは、キャベツが甘くやわらかいだけでなく、水分をいっぱい含んでジューシーで、ホクホクなのだ。
これはそのように仕上げるように、店主が目指し、努力していることなのだと思う。

店主は焼くとき、お好み焼きを一度も押さない。
普通の店ではお好み焼きを焼くとき、コテで上から押しつぶす。
これは平たくすることにより、鉄板から遠い部分のキャベツが生焼けにならず、きちんと火が通るようにするということだろう。
その結果として、キャベツの水分は逃げてしまうことになる。
しかしここではそれはしない。
その代わり、キャベツを蒸しているとき、途中で一度、わざわざ皮をはがし、肉とキャベツをひっくり返す。
それによって、押しつぶさなくても、キャベツが生焼けにならず、しかも水分を含んだままでいられるようにしているのだろう。

同じような考え方の店としては、僕の知っている範囲ではほかに、みっちゃん光町店胡桃屋がある。
胡桃屋はかなり独自路線なのだが、みっちゃん光町店は、この店ととても近い。
そう思って店主に聞くと、店主は6年前にこの店を出すまで6年間、みっちゃん総本店で修行したそうなのだが、みっちゃん光町店の店主とは、ずっと一緒に仕事をした仲間なのだそうだ。
偶然だろうが、同じ時期、同じ場所で、同じことを指向した人たちがいたということだ。
これは、みっちゃん総本店、八昌につづく、広島風お好み焼きの新しい流れと言えるのではないかと僕は思う。

食べ終わって店主と少し話をしたのだが、たいへんな職人気質で、お好み焼きをせっかく焼いても、出来が自分の決めた許容範囲に入らないと、客に出さずに捨ててしまうこともあるという。
今日僕が食べたものは、麺の焼きがちょっと気に入らなかったが、許容範囲にはちゃんと入っていたと言っていた。
鉄板の温度や、また温度調節をするから温度が変化するという意味なのだろう、「鉄板のタイミング」という言葉をつかっていたが、それがとても重要で、鉄板と自分が一体になれた感じがしたときには、いいお好み焼きが焼けるのだそうだ。
それには自分の精神状態もとても大事で、夫婦喧嘩などをしたあとには、なかなかうまくいかない、なのできちんとした精神状態に自分をもっていくよう、日々努力しているのだとのことである。

いやいやいや、まったく頭が下がることである。
しかもこの店主、お好み焼きについて、僕にいろいろ話してくれながらも、
「でもお好み焼きを焼いているときは、そんなゴタクはまったく考えていないですけどね」と、かならず付け加えるのである。
あくまで結果重視、職人に徹する人である。

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2008-08-25

広島十日市 定食ダイニング わたしの食卓


十日市の交差点を、ちょっと東に行ったところにある。
定食を安く食べさせる店。
なのだけれど、オヤジ臭さというか、居酒屋チックなところが全くなくて、店内も明るくて、そこそこ小ぎれい。
「自分の家で食事をしているような、『おかえりなさい』をかたちにしました」がモットーだそうだ。


しかも激安。
元祖広島からあげ定食、驚きの580円。
から揚げもけっこうな量があり、付け合せはキャベツのざく切り、ポテトサラダ。
小鉢も三つもつき、左からおぼろ豆腐、白菜の漬物、切り干し大根。
それにご飯、味噌汁。
味もどれもそこそこおいしかった。

ちょっと前までは、から揚げ定食、480円だったそうだ。
すごすぎる。

わたしの食卓 十日市店 (定食・食堂 / 十日市町)
★★★★ 4.0

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お粥レシピ 白粥・五分


今日は五分粥。
米1/4カップに水500cc。
前日から水につけておき、まず中火、それから弱火、30分後に火を消して、10分蒸らす。
今回はあくを徹底的に取ってみました。
そのほうがさらっと仕上がるかと思って。
たいへんおいしく出来、水の量はこのくらいのほうがいいなと思いました。

ちなみに食器と、それから鍋まで、買ってしまった。
無印良品。
弱いんだよな。
14センチの片手鍋に、透明なふた。
三層構造で、けっこう分厚い。
ご飯炊き用の土鍋もあって、かなりくらっと来たんだけど、それは何とか、我慢しました。
あはは。


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2008-08-24

広島 お好み共和国ひろしま村 えんじゃ


新天地の西側に広場があって、そこに「お好み村」という、2階から4階までお好み屋ばっかり30店くらい入ったビルがあるのだけど、その二軒隣に「お好み共和国ひろしま村」という、2階と3階にお好み屋が6軒、入ったビルがあって、この「えんじゃ」は、その2階にある。
エレベーターで2階に上がると、四方がお好み屋の店舗になっていて、真ん中にテーブルがあり、店内だけでなくそこでも食べられるようになっている。
えんじゃはエレベーターを出て左の端にあり、店内は鉄板席のみ、詰めて座って10人がぎりぎりという店だ。

店主は有名な八昌で修行されたとのことで、聞くところによると材料も八昌と同じものを使い、八昌と全く同じお好み焼きを焼くらしい。

八昌は、店主が薬研堀と五日市と、二箇所で営業している他に、八昌で修行した職人さんが、各地で店を出している。
それらの元八昌の職人さんの店、僕はこれまで何軒か行ったのだが、残念ながら八昌にくらべると、かなり味が落ちるというのが感想だった。
この日記に書けないくらい、ひどかった所もある。
まあもちろん、チェーン店でもないわけだし、修行したとは言っても焼くのは本人だから、その職人さんの資質や考え方によるところも大きいと思う。
しかし八昌の焼き方には、一つ大きな特徴があって、それをその通りにやるか、やらないかが、味を大きく左右すると思うのだ。

広島風お好み焼きというのは、まず鉄板に生地を丸くのばし、そこにキャベツともやしをこんもりのせ、魚粉をふりかけ、豚の三枚肉をのせ、つなぎの生地をふりかけたり、ラードをのせたりして、それをひっくり返す。
そして肉と野菜に火を通すわけなのだが、八昌のばあい、それにかける時間がめちゃくちゃ長いのだ。
たっぷり15分はかける。
普通の店だとまあ5分か、長くても10分。
15分かけても焦げないように、鉄板の火加減をかなり弱く調節してあるのだと思うが、そうやって弱火で長時間、火を通すことによって、キャベツがほんとにほくほくと柔らかく、そして甘くなる。
ドイツ料理のザワークラウトのような味になるのだ。
このほくほくキャベツと、パリッと硬い麺や生地のコントラストが、八昌のお好み焼きのおいしさの大きな特徴なのだと思う。

ところでこの15分という時間、たいへん長い。
客にとっても、お腹をすかせて待つ時間としてはかなり長いが、それ以上に、客を待たせる店主の側にとってみれば、永遠ともいえる時間になるのではないかと思う。

一つには、お好み焼きを一枚焼くのにかける時間が長くなれば、それだけ客の回転が下がって、儲けが少なくなるということがある。
それでも敢えて時間をかけるというのは、けっこうな勇気がいると思う。

またお好み焼屋の鉄板は、店主の目の前に客がいる。
お腹をすかせてじりじりと待っている客を前にして、少しでも早く料理を出してやりたいというのは、人情である。
その人情に逆らって、客を待たせなければならないのだから、それには勇気だけでなく、忍耐力も必要になる。

あと、女将さんの反対、というのも大きいのではないかという気がする。
これは差別的な言い方で申し訳ないのだけれど、女性は、たかがキャベツに火を通すなどということのために、儲けを減らし、客を待たせるということを、なかなか理解しないのではないかと思う。
なので、ご主人は八昌で修行して、15分待つことがおいしいのだ、と思っても、女将さんの反対にあい、玉砕してしまう、ということがあるのではないかと思う。

まあ、実際にはそんな大げさなものではないかも知れないが、いずれにせよ、八昌で修行した人間も、この15分間を継承することだけは、なかなか出来ないのである。

ところがこのえんじゃの店主、この15分間をきっちり守っていた。
ちなみにこの店、女将さんはいなくて、若い店主が一人で切り盛りしている。
しかしたぶん店主も客を待たせるのは、けっこう辛いのだろう、15分の間、後ろを向いてしまい、皿洗い機に皿を入れたり、キャベツやもやしを補給したり、あれこれ忙しそうにしていた。
あ、もしかしたらほんとに忙しかったのかも知れないけど、でもそうでもしないと間が持たないのだと思う。


というわけで15分かけて火を通したえんじゃのお好み焼き、たいへんおいしかった。
そば肉玉、735円。
これからもぜひ負けずに、頑張ってほしいと思う。

えんじゃ (お好み焼き / 八丁堀)
★★★★ 4.0

広島ブログ

お粥レシピ 白粥・七分


今日から朝食にお粥を食べることにした。
した、と書いたが、いつまで続けられるか自信はない。
3日坊主だったら恥ずかしいな。

とりあえず白粥。
1/4カップの米に、7/4カップの水。
いちおう七分粥をめざしました。
前の晩に水につけ、朝起きて、まず中火。
沸騰したらかき混ぜて、弱火。
途中で一度、あくを取る。
吹きこぼれないよう、ふたはすき間を開けてしめる。
沸騰して20分後に火を止め、5分蒸らす。

なかなかおいしく出来ました。
ちょうど茶碗一杯分。
僕にはちょっと少ないかな。
鍋はステンレス製のを使ったが、土鍋でもやってみたいと思う。

広島ブログ

2008-08-23

金正日死亡説 続報

週刊現代がスクープした金正日死亡説、 他の専門家は否定的みたいですね。
まあでもたしかに、ほんとにそうだったら面白いな、とは思うけど、そんなに面白いこと、そうそうしょっちゅうあるわけないですからね。

J-CASTニュース : 重村早大教授が唱える 「金正日すでに死亡」の�

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2008-08-22

ソウル明洞 カルグクス 明洞餃子

韓国B級グルメシリーズ、ラストは「カルグクス」。
カルグクスとは、要はうどんのことである。
冷麺が、生地を小さな穴から押し出して麺を作るのに対して、こちらは生地を包丁(カル)で切った麺(グクス)ということで、この名前が付いたらしい。
カルグクスは韓国南部の釜山とか、大邱とか、そちらの方の郷土料理で、じっさい冷麺がいかにも寒い地方の、慎ましやかな、滋味あふれる食べ物であるのに対して、こちらはたしかに南方という感じの、迫力のある食べ物だ。


明洞餃子はカルグクスと餃子の有名店で、明洞の中央通りより一本東の通り沿い、明洞駅から十字路を二つ、越えた辺りにある。
もともと「明洞カルグクス」という名前で、40年前に始めたそうだが、そのあと、店の名前も、看板の色も形も、何もかも真似た店が何軒もできてしまった。
客はチェーン店かと勘違いする始末で、仕方がないから本家が名前を変えたそうだ。
すごい。


どんぶりに入ったうどんとスープ、具はニラと肉味噌、それにワンタン。
ご飯とキムチも付いてくる。
キムチもご飯も、麺もスープも、すべて無料でおかわりできる。
キムチとスープは、なくなりそうになると店員が目ざとく見つけて、どんどん追加してくれる。

スープは鶏で取るのだが、鶏がらではなく、肉の付いた鶏を丸ごと使っているそうだ。
どろどろに濁っていて、ものすごく濃い。
煮出されて肉が溶け込んでいるのだろう。
塩で程よく味付けされているが、あまりに濃いので、そればかりだと胸が焼けて食べられない。
それをキムチで中和する。
このキムチが、また激辛。
粉の唐辛子をそのまま食べているのかと思うくらいである。
この濃厚スープと激辛キムチの対決で、口とからだはかっかと熱くなり、全身汗だくになる。

最後はご飯を入れて、クッパにする。
食べ終わると、しばらく放心状態になる。
お金は注文する時に払ったから、食べ終わったらそのまま帰ってよい。

明洞餃子

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2008-08-21

ソウル明洞 冷麺 咸興麺屋

韓国B級グルメシリーズ、まだアップしていなかったものその一。


明洞にある冷麺専門店で、北朝鮮出身の店主が40年前に創業、冷麺ではソウルで一番おいしいとも言われるらしい()。
食事どきには200席が一杯になる人気の店だが、支店を出したらどうかという話を、味を守るためにぜんぶ断わってきたのだと言う()。
なかなか気合の入った店なのだ。

冷麺はもともと北朝鮮で生まれた食べ物で、平壌、そしてこの店の名前でもある咸興(ハムフン)が本場だそうだ()。
この地方にもともと「トンチミ」という、大根の水キムチがあり、その汁にそば粉やでんぷんで作った麺を入れて食べたのが始まりだと言う()。

トンチミとは大根を塩水に漬け込んで、熟成させたもの()。
ねぎや生姜、ニンニク、それにゆずや梨などで風味付けをする。
初期のキムチの姿をよく表したものだそうだ。
つけもの独特の風味、それに爽やかな酸味がする。
乳酸発酵させた汁、と考えると、醤油とか酢とかと仲間と言えるが()、より原始的で、素朴な滋味にあふれている。


さてこの店の冷麺、スープは、トンチミの汁に牛肉の出しが混ぜてあるそうだ。
右上の小皿は大根なます、それに茶碗に入ったものは、ユクス(肉水)という、牛肉のスープ。
冷麺の上に載っている、牛肉の煮たのを作った時のスープで、注文するとまず運ばれ、店員がやかんに入れて店内を回り、なくなるとすぐ注ぎ足してくれる。
温かいのだが、これがまた滋味にあふれ、おいしい。
このユクスをすすりながら、冷麺を食べる。
冷麺にはからしと酢、それに薬味入りの辛味噌を好みで入れる。
ぜんぜん入れないと、やはりちょっと味がさびしい。

麺は極細。
肉もしっかり味があり、ゆで卵、きゅうり、梨。
冷麺って何の抵抗もなく、するする胃に入っていって、気づいたら器は空になっている。
ここでも同様、しっかり味わうつもりが、瞬間的に食べ終わっていた。

ところで不思議なことがあって、解決せずに店を出てしまい、日本に帰ってWebで調べても分からないのだが、スプーンがないのである。
テーブルには箸は置いてあって、自分で取るようになっているのだが、スプーンは置かれていない。
言ったら持って来てくれたのだが、他の人はどうしていただろうか。
韓国の人は、汁はスプーンですくって飲み、器に直接口はつけないのだから、スプーンがないということは、冷麺の汁は飲まないものなのだろうか?
ユクスがあるからいいのだろうか?

うーん、謎である。

広島ブログ

2008-08-20

広島西区 韓国家庭料理 茶や


広島市西区庚午の住宅街の中、あまり目立たない場所にある、韓国家庭料理の店。
民家を改装したのだと思うが、外も中もこげ茶色の板張りで、たいへん風情がある。
昼の1時半ごろ行ったのだがほぼ一杯で、近所の主婦グループらしき人たちとか、老夫婦とか、勤め人らしき人もいたし、遠くから車で来たという人もいた。
かなりの評判の店なのだろう。

昼は「韓国定食」と言って、小皿が3品、ご飯がついて、それにアキレス(牛腱のこと)スープ、豆腐チゲ、キムチチゲ、焼肉、ホルモンポックム(ホルモンの炒め物)、タコポックム(タコの炒め物)の中から一品、選べるようになっている。
1,050円。
その他の料理は、石焼ビビンバやキムチチャーハン、クッパ類、サンゲタン、チゲ類、炒め物類、チャプチェやトッポギなどなど。
焼肉は置いていない。
値段はそこそこ手頃である。


頼んだのはキムチチゲの韓国定食。
小皿は右から、ナスの醤油煮、ジャガイモの炒め、カツオの韓国風ヅケ。
ナスは煮干の出しに醤油で煮てある。
ジャガイモは細長く切ってあって、塩味にニンニクと唐辛子が程よく利いている。
カツオは、甘辛い味噌に漬け込んだのだろう、ゴマを振って、水菜と一緒に食べる。
それぞれ丁寧に手が加えられているのが分かる。
また3品のバランスもとても良い。

韓国料理はオンマ、お母さんの手の味だと言うが、じっさい韓国料理のおいしさは、調理人が丁寧に手をかけてくれているという、その感じなのだと思う。
それはメインの料理より、むしろ小皿の方がよく分かったりする。
ここはランチ1,050円という、多少高めの設定にしてあるが、その分、小皿をただキムチとナムルなどで済ますのではなく、きちんと手をかけたものを出している。
それが人気の理由の一つだろう。

それからキムチチゲ。
キムチに、薄切りの豚の三枚肉、豆腐、長ネギ、それに玉ねぎも入っている。
味は、けっこう辛いのだが、韓国で食べるものと違うと思うのは、味噌をかなり使っているようだということ。
キムチの辛さ、酸っぱさに味噌のうまみが加わり、独特な複雑な味になっている。

韓国料理を日本に持ってくるという場合、いちばん難しいのは味の決め方だろうと思う。
韓国では味付けをするのに、おもに唐辛子とニンニク、それにごま油を使う。
それに対して日本では醤油がメインとなる。
だから韓国の味付けをそのまま日本に持ち込んでしまうと、辛いばかりで味がしない、ということになりかねない。
逆に日本の味付けは、韓国人にとっては、塩っぱいばかりで味がしないそうだ。

キムチチゲも、韓国では基本はたぶん、キムチと豚肉だけで味をつける。
出しも味付けもキムチだけ、というのが、キムチチゲの原点なのだ。
でもそうすると日本人には、難しい味になってしまう。
そこで味噌が追加されているという訳だろう。
辛さはあまり抑えておらず、けっこう辛いのだが、味噌の味と、それにこの店では玉ねぎの甘みも加わり、日本人好みの奥行きのある味に仕上がっていると思う。

食べ終わって、ママに味付けのことを聞いてみた。
たしかに本当に難しくて、唐辛子とニンニク、日本人は人によっては全くダメという場合もあるし、人によってはもっと入れてほしい、という場合もある。
だから相手に合わせようとしていては、なかなかうまく決められない。
でもそうではなく結局は、自分の舌で決めるしかないのだと思うと言う。
ママは韓国人だが、日本に長く住んでいて、日本の風土や日本流の生活にも馴染んでいる。
その自分がおいしいと思えるものを作ることが、日本人もおいしいと思ってくれる、そう信じてやっているとのこと。
そうだよね、やっぱり。

茶や (韓国料理 / 広電 高須)
★★★★ 4.0

広島ブログ

2008-08-19

このブログについて

このブログは、僕が個人的な所感を発表するために設けています。
もともとは親しい知人にのみ所在を教え、そういう人たちの顔を思い描きながら書いていましたが、この頃は検索エンジンにも登録されるようになり、また「広島ブログ」というところに新着のお知らせが行くようしましたので、だんだんと知人以外の色々な方にも、読んでいただけるようになってきました。

徐々にご意見・ご感想もいただけるようになり、たいへん嬉しく、またありがたく思っています。
間違いをお知らせくださったり、またご批判をいただいたりもするようになっているのですが、全てきちんと目を通し、真摯に受け止め、必要な修正をさせていただいています。

そのお返事についてなのですが、次のようにさせていただきたく思います。

メールをいただいた方には、お返事をさせていただいています。
僕のメールアドレスは、shunichitakano@gmail.comです。

記事に対してのコメントですが、これにはお返事はしません。
もし僕からの返信がご希望の場合には、メールをいただけますようお願いいたします。
コメントのお返事までは手が回らないことと、僕自身このブログは実名を公表してやっているものですので、少なくともメールアドレスをお知らせくださった方のみと、やり取りさせていただきたく思います。

またコメントは、内容を僕が確認のうえ、このブログの趣旨に沿ったものであると思ったもののみ、公開されるようにしました。
公開されない場合でも、内容についてはきちんと目を通し、対処が必要であれば、させていただいています。

以上よろしくご理解の程、お願いいたします。

広島ブログ

2008-08-18

広島八丁堀 サンカレー


カレーというのは商売としては難しいところだと思う。
と偉そうに書いたが、それ以前に商売というもの自体が、どんなものでも簡単ではないのだけど。
まあでもそれは置いておくとして、ここではカレー。

カレーには、「おうちのカレー」という、最強のライバルがいる。
このおうちのカレー、どうしてそんなにおいしいのかと思っていたら、何もお母さんが愛情をこめて作るからではないらしい。
前に読んだ本によると、3人の主婦に市販のルーを使ってカレーを作ってもらうことにして、1人は新米主婦、2人はベテラン主婦で、新米主婦はカレールーの箱に書いてある通りのやり方で、そしてベテラン主婦はそれぞれ自分がいつもカレーを作る独自のやり方で、作ってもらった。
できたものを食べ比べて誰のが一番おいしかったかというと、新米主婦のカレーだったそうだ。

カレールーというのは、S&B食品とか、ハウス食品とか、グリコとか、そういう企業が、何十年という時間をかけて、研究に研究を重ね、市場調査を行い、日本人の口に合うように作り上げてきた。
だから箱に書いてある通りに作って、ルー会社が意図した通りの味をストレートに出したものが、けっきょく一番おいしいのだという話。
ちょっと身も蓋もないという感じもするが、まあいずれにせよ、カレー店をやろうとした場合、まずこの最強のライバル、おうちのカレーに対して、どういう立ち位置を取るのかというのが、けっこう大きな問題なのではないかという気がする。

よくあるインドカレーの店は、インドカレーはなかなか家では作れないわけなので、それによっておうちのカレーとの競合を避け、違った土俵で勝負しようとしているのだろう。
そば屋とか喫茶店、牛丼店のカレーは、まあ色んなメニューの一つとしてあったりするわけなので、ここではちょっと除外。
CoCo壱番というチェーン店のカレーというのもあって、これはとにかく、トッピングで何十種類もの味を選べるようになっているのが、勝負のポイントなのだろう。

というところでここ、サンカレー。
インドカレーではなく、普通のカレーの専門店である。
チェーンではなく、ここ一店。
トッピングにとんかつやチキンカツ、ビーフカツ、ハンバーグなど、10種類程度のものから選べるようになっている。
こうして設定を見てみると、おうちのカレーとは、もろガチンコ勝負、という形になる。
にもかかわらず、この店、かなり昔からやっていて、長い間お客さんの支持を得ているそうなのである。
どのようなカレーなのだろう。



僕が食べたのは、とんかつカレー大盛り750円。
普通盛だったら650円。

味は、ひとことで言うと、直球ストレート。
同じこと2度重ねましたが。
奇をてらったところが全くなく、カレーの原点とはこれだろう、という味を、ほんとに真っ直ぐ出している。
スパイスはピリッと効いているが辛すぎもせず、塩っぱくもなく、脂っこすぎず、でもきちんとコクがある。
色んな材料が入っていると思うのだが、そのどれもが自己主張をせず、協力して一つのまろやかな世界を作り出している。
特徴がないとも言えるのだが、ここまでストイックな味は、逆に他にはあまりないだろう。
ほんとに真っ向からの直球勝負、おうちのカレーよりおいしい普通のカレー、なのである。

ご飯は意外にもやわらかめ。
でもその方が、カレーとなじんでおいしいんだな。
カツはさくさく。
大変おいしくいただきました。

カレーって食べ終わって腹がもたれることも多いのだけれど、ここのカレーは、大盛りを食べたのに全くそういうことはなかった。
えらい。

サン・カレー (カレーライス / 八丁堀)
★★★★ 4.0

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2008-08-17

DVD 『グラインドハウス』 (プラネット・テラー、デス・プルーフ)

※以下はネタバレしていますので、ご注意ください!

 

クェンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの製作。
アメリカでの公開時には、二人がそれぞれ監督した作品を2本立てとしたが、日本での公開およびDVDは、それぞれが別々になっている。

「グラインドハウス」とは、アメリカの大都市周辺にあった、B級映画ばかりを2~3本立てで上映する映画館のことで、この作品はそのグラインドハウスの雰囲気を取り入れ、再現している。
画面にはフィルムの傷に模したノイズが全編に渡って挿入され、また画面自体も薄ぼんやりして昔のB旧映画の雰囲気を醸しだしている。
途中でフィルムが焼け切れる様子が挿入されたり、またわざと場面の前後の脈絡が通じないように編集されていたりする。
架空のB級映画の予告編が本編の前に上映され、またそれらしい館内告知も入っている。
映画の本編だけでなく、B級映画館の雰囲気も楽しんでもらいたいという、タランティーノらしいアイディアである。

そもそも実写の映画というものは、実際の人物や風景が映し込まれるわけだから、観る人にとっては強い現実感を呼び起こす。
もちろん実際には映画は現実ではないし、多くは現実からかけ離れたものである訳だが、観る人が本能的にそれを現実と感じてしまうということを大きな武器として、映画の表現は成立しているだろう。
演技だと分かっていても、主人公に感情移入して涙してしまったり、本当は死なないと分かっていても、登場人物が死んでしまうのではないかとハラハラしたり。
映画によって引き起こされるそのような感情の動きが、映画が娯楽であるということについてのキモとなっている訳である。

それに対してこのグラインドハウスは、画面に傷を入れたり、架空の予告編を挿入したりすることにより、この映画が現実とははっきり切り離れた、あくまで昔のB級映画のパロディーなのだということを、観る人にあらかじめ伝える。
ダイ・ハード』がその題名で、「主人公が死なない」ということをあらかじめ伝えるのと、やろうとしていることは同じである。
ダイ・ハードがそれによって、「あまりに現実離れした内容を、白けるのではなく、笑えるものであると捉える」ことを、観る人と盟約を結ぶのと同じように、この映画は二つともホラー映画で、かなりの血しぶきが飛ぶのだが、それはあくまで記号であり、怖がるのではなく笑って観るものであることを、観客に伝えようとしている。

しかしもちろん、肉がちぎれ、血しぶきが飛ぶ場面を笑って観るだけでは、そういうことを観たい人にとっては良いが、それ以外の一般大衆にとってはお金を払って観るに値するものにはならない。
そこに一歩踏み込んだ何かがあって初めて、この映画は一つの作品たり得ることになる。
ロバート・ロドリゲスはそれに、かなり成功したと思う。

ロバート・ロドリゲスが監督した『プラネット・テラー』、まず主人公の、「片脚がマシンガンになっている美女」という設定が、たいへん良いと思う。


腕が機関銃であるというのはまだ分かるし、実際今までもそういう設定はあった訳だが、脚が機関銃といって、だいたいまず歩きにくそうだし、撃ちにくそうだし、いい所なさそうなのだけれど、何かその、間違ってしまったのかな、という感じが、笑いを誘うと思う。
おそらくロドリゲスは、まず初めにこのキャラクターを思いついたのだろう。
この美女がどのような悲劇の中で片脚を失うのか、何故失った片足にマシンガンが装着され、そしてどのような活躍をするのか、想像するだけで楽しくなるし、実際映画はその期待通りの荒唐無稽な内容になっている。

化学兵器の流出により大量のゾンビが生まれ、ゴーゴーダンサーであった主人公はそのゾンビにより、片脚を食いちぎられてしまう訳だが、失意の中、恋人の手厚い献身により新たな脚を得、生き残った人間たちとの新たな世界を担う中心人物に成長していく。
ストーリーは使い古された陳腐なものと言えるが、逆にこのパターンはディズニー映画も繰り返し使用する、感動に導くための黄金のストーリーとも言える。
辻褄が合わないところが多く、場面も「フィルムを一巻紛失しました、すみません。支配人」みたいな告知が表れ、ゾンビとの戦闘場面が丸々省略されて次へ行ったりするのだが、主人公の心の動きだけは、ていねいに省略なく描かれている。
というか、主人公の心の描写を厚くするために、ストーリー的に冗長になりそうなどうでもよい部分を、都合よくカットしている、という感じなのだ。
だから全くあり得ない設定の、馬鹿馬鹿しい内容なのだが、最後には妙な感動と爽快感がある。

またマシンガン女を演ずるローズ・マッゴーワンが、とてもとても良い。


監督ロバート・ロドリゲスと恋仲だそうだ。
もう35歳で、これまであまりぱっとしない映画にしか出ていない、ちょっとトウの立った女優という感じなのだと思うが、ロドリゲスによって発掘され、開花させられたのだろう。
ロドリゲスとの息もぴったりと合い、ロドリゲスがこの映画によって伝えたいことを、もれなく伝えているという感じがする。

さらに映像画面の一つひとつが良い。
やはり映画は、映像画面そのものもがどれだけ力を持てるのか、ということが、最終的には勝負なのだろうと思う。
黒澤明監督が、完璧な映像表現を得るため、カメラに映らないところににまで大道具、小道具を作り込んだり、自分の望む天候になるまで何日もスタッフや役者を待機させたり、ということは有名な話である。
ロドリゲスは、監督、そして脚本はもちろん、撮影も自分でやり、さらには最新設備のスタジオを自前で持って、そこで編集まで、自分でやるのだそうだが、場面の一つひとつに神経が行き届き、創意工夫がみなぎっていることを十分に感じさせる。
これまでのB級映画の様々な場面を、パロディーとして持ってきているのだろうなと思わせる場面も多いのだが、その一つひとつが決まっている。
エログロナンセンス全開なのだが、その一場面一場面にいちいちニヤリとさせられる。
そんな場面が絶妙のテンポで続いていくので、この映画を観ることそのものが快感なのである。

ロバート・ロドリゲス、これから楽しみにしたいと思う。


それに対して、クェンティン・タランティーノ
この人、映画監督にはあまり向いていないんじゃないかと思う。
いや僕が言うのも何だけど。
ひとことで言うと、マニアなのだ。
元々レンタルビデオ店の店員として働く傍ら、映画の脚本を書いたという苦労人だそうで、日本のエログロ、バイオレンス系の映画についてもたいへん造詣が深いそうだが、この『デス・プルーフ』を観て思うのは、タランティーノは、自分が興味があるマニア的なことについては異常な執着をもってこだわるのだが、それ以外のことについては全く興味が持てない、そういう人なんじゃないかということだ。

たぶんこのグラインドハウスという設定を考えたのは、タランティーノなのだろう。
ロバート・ロドリゲスはその設定をうまく生かし、安っぽい中に本物の感動がある、素晴らしい映画を作り上げたのだが、一方タランティーノはB級映画という設定を、「自分の趣味を徹底的に追求してよい」と理解してしまったのだと思う。
自分が考えた設定なのだけど。
それで、タランティーノは無類の足フェチ、拷問フェチとして知られるそうだが、この映画は自分のそうした性的嗜好を、真っ直ぐ追求してしまったのだと思う。


主人公である元スタントマンのマイクは変質者で、女の子同士の下卑た会話を盗み聞きするのが趣味。
そしてその女の子たちを無残に虐殺することで、性的興奮を得るのである。
それはそれでいい。
偉そうだけど。
ところがマイクが女の子を狙い、実際に自分の欲求を満たしていくというストーリー、十分に怖いホラー映画になり得るはずなのだが、この映画はそうなっていない。
女の子たちが延々と、意味のない無駄話を続けたかと思うと、唐突に無残に殺される、ということになってしまっている。

ホラー映画の怖さというものを、観客の立場として言えば、まずは最悪の結末が待っているのだという、観客にだけに暗示される予感みたいなものがあり、そこに主人公が、心の弱さや、他人の余計なお世話など、観客にとってみればじれったくなる理由のため、じわりじわりと近づいていってしまう。
いや、そっちじゃないんだ、そっちにいってはいけないんだ、主人公は何故気がつかないんだ、と観客は思いながらも、さらに主人公は破滅に向けて歩を進めてしまい、そして最後に初めの予感どおりの、または予感を超える、最悪の結末が待っている。
そういう作者と観客との間の綿密な手続きの連続が、ホラー映画の怖さを生み出すのだと思うのだ。

しかしタランティーノ、そのような手続きは、全く無視。
会話は完全に無駄話、そしてあるとき唐突にどかんと惨殺。
だから残虐シーンが、怖いというよりただ不愉快になってしまう。
もちろん全く笑えもしない。

これはたぶん、タランティーノにとっては、観客が存在していないからなのだ。
自分が映画を撮る、ということだけがあって、それは自分自身の変質的欲求を満足させることなのだ。
女の子たちの会話を延々と撮るのも、自分がそういう世界が好きだから。
その女の子たちが残虐に殺されるのも、やはり自分が好きだから。
秋葉原のオタクが、アイドルの女の子を写真に撮ったり、また死刑になった宮崎勤が、幼女を殺す場面をビデオに撮ったりしたのと、程度は違うが、やっていることは変わらないのだと思う。
観客はいわば、タランティーノのマスターベーションに付き合わされているのであって、さすがにそこまで暇じゃない、と僕は言いたい。

タランティーノは今回のグラインドハウスという企画、それはすごくいいと思うし、また『プラネット・デラー』の方に変質的な軍人役で出演もしているのだが、それもとても良い。
監督はやめて、プロデューサーと役者、というところでやっていったら良いのではないかと僕は思う。
大きなお世話だけど。

評価:
プラネット・テラー ★★★★★ 5
デス・プルーフ ★☆☆☆☆ 1

GRINDHOUSE公式サイト


2008-08-16

広島市中区 お好み焼き かんらん車


ここのお好み焼きは旨かった。
お好み焼きが旨いか不味いかは、食べる前に分かる。
作りかたを見ていれば分かるのだ。

ご主人はラテンの音楽が好きなようで、時々iPodを操作しては、BGMを選んでいる。
BGMにあわせて鼻歌なども歌いながら、身体は一瞬も休まず動いている。

水をたらして鉄板の温度を確認し、火を調節し、生地を手際よく丸くのばす。
生地はまず火元から遠い場所でのばすのだが、ちょっと乾いたらわざわざ剥がして、火元へと場所を移動する。
個数分の丸い皮をていねいに並べ、魚粉をふり、大量のキャベツ、もやし、天カス、三枚肉。
余分な調味料は、いっさい使わない。
しばらくそのまま火を通し、ラードのかけらを載せ、ひっくり返す。

おかみさんは裏から、そのとき焼く個数分だけの材料を、冷蔵庫から出してくる。
出された麺を鍋に入れ、茹だった麺を鉄板に丸く広げ、油をたらし、焼きを入れる。
並行して、これはこの店で初めて見たのだが、火を通しているお好み焼き本体の皮を一度はがし、皮から下だけ表裏をひっくり返し、はがした皮をもどす。
うーん、すごい、手が込んでいる。
一番下にあった肉に火が通りすぎるのを避けるためと、キャベツにきちんと火を通すための工夫なのだろう。

焼きのはいった麺を裏返し、少しほぐして、火の通った本体をのせる。
卵を割り、ちょっとつぶしてから麺と合体させた本体をのせ、半熟のまま、間髪いれずに引っくり返す。
さらに次がまたすごい。
ソースをかけるのに、まず上部にある半熟卵の貼りついた麺を一度はずして、キャベツ部分に直接かけ、さらに麺をもどして、上からたっぷり塗る。
青のりをふりかけて、完成。

ご主人はいかにも楽しげに、ラテンのダンスでも踊るかのように、一連の作業を一つの流れとして進めていく。
出てきたお好み焼き、見ただけで唾が口にわいてくる。

そば肉玉、700円。
非常にオーソドックスな形なのだが、僕はこれまでいちばん旨いと思っていた八昌より、もしかしたらおいしいかもしれない。

ご主人、「一枚一枚のお好み焼きを焼くのが、その度に面白い」と言っていた。
負けました。


かんらん車 (お好み焼き / 十日市町)
★★★★★ 5.0

広島ブログ

2008-08-15

「しみじみおいしい」ということについて

広島のお好み焼きの「おいしさ」というものは、一種独特なものがあると思う。

広島のお好み焼きは「そば肉玉」というのが基本で、これは焼きそばが入って、豚の三枚肉と玉子が入って、というものなのだが、どこの店にもかならずある。
そのほかにエビやイカなどが入ったり、もちやチーズ、イカ天などが入ったり、青ネギや納豆をトッピングしたり、と色々バラエティーもあるのだが、たぶん半分以上のお客さんは、そば肉玉を頼むのではないかと思う。
僕もいつも、そば肉玉を頼む。
そば肉玉の材料は、どこの店でもだいたい同じである。
作り方もそうそう大きくちがう訳でもない。
でもそれが、おいしい店と、そうでない店と、はっきりと分かれるのである。

「何がおいしいのか」というとき、たとえばラーメンならば、「スープがコクがあって」とか、「麺が歯ごたえがあって」とか、「チャーシューがとろとろで」とか、料理の一つ一つの材料についての説明もすることができるだろう。
それがラーメンのおいしさの説明になりうるのだと思う。
広島のお好み焼きの場合ももちろん、「キャベツがホクホクで」とか、「麺がパリパリで」とか、「玉子が半熟でとろとろで」とか、言うこともできなくはない。
しかし広島のお好み焼きの場合、玉子についてだけは半熟にする店とそうでない店で分かれるのだが、キャベツについてはほとんどの店がホクホクだし、麺はほとんどがパリパリなのである。
ラーメンのように、スープはコクがあるのとあっさりしたのとがあったり、麺は太いのも細いのもあったり、というバラエティーは、お好み焼きの場合には、「そば肉玉」とかぎってしまえば、ほとんどないのである。

にもかかわらず、おいしいそば肉玉と、そうでないそば肉玉があるというとき、そのおいしさを説明するのは、何ともむずかしい。
一つひとつの材料がどう、ということではなく、そのお好み焼きが、全体として醸しだす何かがちがうのである。
お好み焼きにかぎらず、広島のばあい、ラーメンでも、冷麺でも、そして定食でも、そういうおいしさを感じることがしばしばある。
「しみじみおいしい」のである。
しみじみおいしい、という以上には、ちょっと説明のしようがない、そういうおいしさなのである。

このしみじみ感は、もともと戦中戦後の日本人が、粗末な材料しかなくてもおいしい食事をつくるため、工夫をかさね、つちかってきたものなのだと思う。
手に入る材料は限られているのだから、それならその材料をどうしたらより生かすことができるのか、とか、材料どうしをどのように組み合わせたらおいしくなるのか、というあたりのことに、工夫はかさねられていっただろう。
それが、しみじみおいしい食事というものを生みだしていったのだと思う。

しかし思うに、すくなくとも東京では、昔はそういう文化があっただろうが、いまは失われてしまった。
おいしい材料がいくらでも手に入るようになり、そういう工夫は必要なくなってしまったからだ。
名古屋に一年半いたが、名古屋でもこのしみじみ感はかんじなかった。
東京とおなじく、絶滅してしまったと想像する。
たぶん日本の多くの地域では、豊かになり、さまざまなものが安く買えるようになって、このしみじみ文化は死に絶えてしまったのではないだろうか。

ところがこのしみじみ文化が、広島にはいまだ残っているのである。

DVD ザ・ヒットマン


レダはプロの殺し屋。老境にはいりアルツハイマーにおかされ引退をかんがえるも、新たな仕事をたのまれる。すると目の前にした標的は12歳の少女だった。政界の大物がからむ児童買春の証拠隠滅のためだったが、子どもは殺さないと決めているレダは仕事を断念。逆に子どもを食いものにし、容赦なく抹殺する巨悪に激しい怒りをおぼえ、組織を敵にまわし、若き刑事ヴィンケと協力し、ゆらぐ記憶とたたかいながら、黒幕を一歩一歩おいつめていく。

ベルギーの映画。1993年にベルギーで公開され大ヒット。2004年大阪ヨーロッパ映画際に出品、大阪市長賞を受賞。その他各国の映画祭で各賞受賞。日本の映画館での上映も検討されただろうが、買い手がつかなかったのだろう、今になってDVDを発売。主演はアカデミー賞受賞映画にも出演したベルギーの名優、ヤン・デクレール。監督のエリク・ヴァン・ローイはベストセラー小説をもとに、構想から10年の歳月をかけてこの作品を完成させた。


原題は「De Zaak Alzheimer」(Googleで翻訳すると「アルツハイマー病の場合」)、大阪ヨーロッパ映画際での邦題は「アルツハイマー・ケース」で、今回の「ザ・ヒットマン」という題名は、この春公開されたハリウッド映画「ヒットマン」に便乗して、そのDVDが出る前にこちらを売ろうとしたためだろう。ポスターの図柄が二丁拳銃になっているのも同様。この映画では主人公は二丁拳銃は使わない。TSUTAYAでもB級映画のコーナーに置いてあった。

しかしこの映画、けっこう楽しめる。まずヤン・デクレール演ずる老獪な殺し屋が、雰囲気があってたいへん良い。さすがベルギーの一流俳優なのだ。また映画全体としてもハリウッド映画にはない、ヨーロッパ映画独特の湿った空気があって、心地よい。言語はベルギーの公用語であるフラマン語(オランダ語)とワロン語(フランス語)の両方が使われていて、それを場合によって使い分けたりするシーンもあり、そういうベルギーの文化にひたれる、という意味での楽しみもある。

監督は僕と同い年。映画製作はこれが3作目だったようで、日本と同様、たぶん監督業だけでは食べられないのだろう、テレビのコメンテーターなどもしているようだ。ハリウッド映画とくらべると技巧的には落ちるが、想いをこめて一生懸命作っているのが伝わってきて、好感がもてる。若い刑事たちの人物設定のされかたや、演技の仕方なども、ちょっと時代遅れで少年探偵団みたいなのだが、それはそれでほほえましい。老いた殺し屋と若い刑事の友情、というテーマも泣かせる。

B級映画ではあるのだが、意外な掘り出し物、と言えると思う。

評価:★★★★☆ 4


公式サイト(オランダ語)
公式サイト(英語)

2008-08-14

さざんかのお好み


さざんかのお好み焼き。久しぶりに行ったのだが、やはりおいしかった。そこそこ色んなお好み焼きを食べてはいるのだが、ここに似たものをまだ食べたことがない。いちばんの特徴は、キャベツの切り方が大きいことだと思う。幅1センチほどもある。それを上から押さえつけながら焼く。ちょっと野菜炒めのような、そんな感じの味になる。

さざんかのママは店を始めて51年、一代で続けている。一代の店としては広島市内でいちばん長いんじゃないかとママは言う。たぶんその通りなのだろう。51年前といえばお好み焼きの黎明期、作り方についても試行錯誤がつづいていたころだろう。ママはそのころ覚えた焼き方を今に頑固につづけていて、でもそれは他では廃れてしまったものなのかもしれない。

他のどんなお好み焼きにも入っている天カスも入れない。青のりもふらない。ほんとにシンプルな、直球のお好み焼きなのである。

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広島本通り こがね食堂


広島の銀座通り、本通りに昔からある食堂。広島の知人に行ってみろと言われてはいたのだが、あまり旨そうでもないし、そのままになっていた。入り口を入るとガラスケースがあり、おかずを選べるようになっている。よく分からずそのまま席に座ったら、「定食でいいですか?」と言うので、何とも聞かずにそれを頼んだ。日替わり定食600円。最近になって、なんと値下げしたそうだ。まわりが値上がりする中、値下げするとはすごいやり方だ。飲み干した冷たい麦茶を、すぐまた注いでくれたり、おばちゃんたちのサービスも家庭的でとても良い。


出てきた定食、魚かメンチカツでもついてくるのかと思ったら、ハムエッグ。しかも玉子は一個。ちょっとがっかりしたが、しかしよく見ると、ふちが赤い、昔ながらの四角いハム、4枚ついていた。玉子よりハムのほうが、たしかにご飯のおかずになる。付け合せのキャベツとカイワレ、マヨネーズを使うかと聞かれたが断わり、醤油をかける。食べはじめてしばらくして、ふと気づくと、なんとびっくり、しみじみおいしい、と思っていた。不覚にも、という言葉を使いたいくらい。

だいたいよくありそうな普通のハムエッグ定食、そんなおいしそうなものではない。安い米をやわらかめに炊いたご飯、あまり風味のしないワカメと油揚げの味噌汁、醤油の味の勝った切り干し大根、それに細く切ったたくわん。何故これをしみじみおいしいと思ってしまうのか。何が僕のしみじみのツボを突いてくるのか。おそらくこの定食、何でもないように見えるのだが、細心の注意が払われているのだろう。

味噌汁のワカメは、くたくた、と言いたいくらいやわらかく、また切り干し大根も同様だ。はじめは単に煮すぎたのかと思ったが、実はそうではないのだろう。いまの時流はやはり「歯ごたえ」だろうが、この店はまわりが値上げすると値下げするような店、そんな時流になど流されない。ワカメも切り干しも、よく煮てやわらかい方がおいしいと思っているから、わざわざそうしているのだろう。それがやわらかく炊いたご飯と相まって、一つの調和を作りだしているのかなと思う。

ほかにも色々な配慮がありそうなのだが、しかしこんな何でもなさそうな定食に、しみじみさせられるとは思ってもみなかった。いやいやいや、広島の飲食店、ほんとにあなどれない。

こがね食堂 (定食・食堂 / 本通)
★★★★★ 5.0

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