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2008-08-18

広島八丁堀 サンカレー


カレーというのは商売としては難しいところだと思う。
と偉そうに書いたが、それ以前に商売というもの自体が、どんなものでも簡単ではないのだけど。
まあでもそれは置いておくとして、ここではカレー。

カレーには、「おうちのカレー」という、最強のライバルがいる。
このおうちのカレー、どうしてそんなにおいしいのかと思っていたら、何もお母さんが愛情をこめて作るからではないらしい。
前に読んだ本によると、3人の主婦に市販のルーを使ってカレーを作ってもらうことにして、1人は新米主婦、2人はベテラン主婦で、新米主婦はカレールーの箱に書いてある通りのやり方で、そしてベテラン主婦はそれぞれ自分がいつもカレーを作る独自のやり方で、作ってもらった。
できたものを食べ比べて誰のが一番おいしかったかというと、新米主婦のカレーだったそうだ。

カレールーというのは、S&B食品とか、ハウス食品とか、グリコとか、そういう企業が、何十年という時間をかけて、研究に研究を重ね、市場調査を行い、日本人の口に合うように作り上げてきた。
だから箱に書いてある通りに作って、ルー会社が意図した通りの味をストレートに出したものが、けっきょく一番おいしいのだという話。
ちょっと身も蓋もないという感じもするが、まあいずれにせよ、カレー店をやろうとした場合、まずこの最強のライバル、おうちのカレーに対して、どういう立ち位置を取るのかというのが、けっこう大きな問題なのではないかという気がする。

よくあるインドカレーの店は、インドカレーはなかなか家では作れないわけなので、それによっておうちのカレーとの競合を避け、違った土俵で勝負しようとしているのだろう。
そば屋とか喫茶店、牛丼店のカレーは、まあ色んなメニューの一つとしてあったりするわけなので、ここではちょっと除外。
CoCo壱番というチェーン店のカレーというのもあって、これはとにかく、トッピングで何十種類もの味を選べるようになっているのが、勝負のポイントなのだろう。

というところでここ、サンカレー。
インドカレーではなく、普通のカレーの専門店である。
チェーンではなく、ここ一店。
トッピングにとんかつやチキンカツ、ビーフカツ、ハンバーグなど、10種類程度のものから選べるようになっている。
こうして設定を見てみると、おうちのカレーとは、もろガチンコ勝負、という形になる。
にもかかわらず、この店、かなり昔からやっていて、長い間お客さんの支持を得ているそうなのである。
どのようなカレーなのだろう。



僕が食べたのは、とんかつカレー大盛り750円。
普通盛だったら650円。

味は、ひとことで言うと、直球ストレート。
同じこと2度重ねましたが。
奇をてらったところが全くなく、カレーの原点とはこれだろう、という味を、ほんとに真っ直ぐ出している。
スパイスはピリッと効いているが辛すぎもせず、塩っぱくもなく、脂っこすぎず、でもきちんとコクがある。
色んな材料が入っていると思うのだが、そのどれもが自己主張をせず、協力して一つのまろやかな世界を作り出している。
特徴がないとも言えるのだが、ここまでストイックな味は、逆に他にはあまりないだろう。
ほんとに真っ向からの直球勝負、おうちのカレーよりおいしい普通のカレー、なのである。

ご飯は意外にもやわらかめ。
でもその方が、カレーとなじんでおいしいんだな。
カツはさくさく。
大変おいしくいただきました。

カレーって食べ終わって腹がもたれることも多いのだけれど、ここのカレーは、大盛りを食べたのに全くそういうことはなかった。
えらい。

サン・カレー (カレーライス / 八丁堀)
★★★★ 4.0

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