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2008-08-15

DVD ザ・ヒットマン


レダはプロの殺し屋。老境にはいりアルツハイマーにおかされ引退をかんがえるも、新たな仕事をたのまれる。すると目の前にした標的は12歳の少女だった。政界の大物がからむ児童買春の証拠隠滅のためだったが、子どもは殺さないと決めているレダは仕事を断念。逆に子どもを食いものにし、容赦なく抹殺する巨悪に激しい怒りをおぼえ、組織を敵にまわし、若き刑事ヴィンケと協力し、ゆらぐ記憶とたたかいながら、黒幕を一歩一歩おいつめていく。

ベルギーの映画。1993年にベルギーで公開され大ヒット。2004年大阪ヨーロッパ映画際に出品、大阪市長賞を受賞。その他各国の映画祭で各賞受賞。日本の映画館での上映も検討されただろうが、買い手がつかなかったのだろう、今になってDVDを発売。主演はアカデミー賞受賞映画にも出演したベルギーの名優、ヤン・デクレール。監督のエリク・ヴァン・ローイはベストセラー小説をもとに、構想から10年の歳月をかけてこの作品を完成させた。


原題は「De Zaak Alzheimer」(Googleで翻訳すると「アルツハイマー病の場合」)、大阪ヨーロッパ映画際での邦題は「アルツハイマー・ケース」で、今回の「ザ・ヒットマン」という題名は、この春公開されたハリウッド映画「ヒットマン」に便乗して、そのDVDが出る前にこちらを売ろうとしたためだろう。ポスターの図柄が二丁拳銃になっているのも同様。この映画では主人公は二丁拳銃は使わない。TSUTAYAでもB級映画のコーナーに置いてあった。

しかしこの映画、けっこう楽しめる。まずヤン・デクレール演ずる老獪な殺し屋が、雰囲気があってたいへん良い。さすがベルギーの一流俳優なのだ。また映画全体としてもハリウッド映画にはない、ヨーロッパ映画独特の湿った空気があって、心地よい。言語はベルギーの公用語であるフラマン語(オランダ語)とワロン語(フランス語)の両方が使われていて、それを場合によって使い分けたりするシーンもあり、そういうベルギーの文化にひたれる、という意味での楽しみもある。

監督は僕と同い年。映画製作はこれが3作目だったようで、日本と同様、たぶん監督業だけでは食べられないのだろう、テレビのコメンテーターなどもしているようだ。ハリウッド映画とくらべると技巧的には落ちるが、想いをこめて一生懸命作っているのが伝わってきて、好感がもてる。若い刑事たちの人物設定のされかたや、演技の仕方なども、ちょっと時代遅れで少年探偵団みたいなのだが、それはそれでほほえましい。老いた殺し屋と若い刑事の友情、というテーマも泣かせる。

B級映画ではあるのだが、意外な掘り出し物、と言えると思う。

評価:★★★★☆ 4


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