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2008-08-21

ソウル明洞 冷麺 咸興麺屋

韓国B級グルメシリーズ、まだアップしていなかったものその一。


明洞にある冷麺専門店で、北朝鮮出身の店主が40年前に創業、冷麺ではソウルで一番おいしいとも言われるらしい()。
食事どきには200席が一杯になる人気の店だが、支店を出したらどうかという話を、味を守るためにぜんぶ断わってきたのだと言う()。
なかなか気合の入った店なのだ。

冷麺はもともと北朝鮮で生まれた食べ物で、平壌、そしてこの店の名前でもある咸興(ハムフン)が本場だそうだ()。
この地方にもともと「トンチミ」という、大根の水キムチがあり、その汁にそば粉やでんぷんで作った麺を入れて食べたのが始まりだと言う()。

トンチミとは大根を塩水に漬け込んで、熟成させたもの()。
ねぎや生姜、ニンニク、それにゆずや梨などで風味付けをする。
初期のキムチの姿をよく表したものだそうだ。
つけもの独特の風味、それに爽やかな酸味がする。
乳酸発酵させた汁、と考えると、醤油とか酢とかと仲間と言えるが()、より原始的で、素朴な滋味にあふれている。


さてこの店の冷麺、スープは、トンチミの汁に牛肉の出しが混ぜてあるそうだ。
右上の小皿は大根なます、それに茶碗に入ったものは、ユクス(肉水)という、牛肉のスープ。
冷麺の上に載っている、牛肉の煮たのを作った時のスープで、注文するとまず運ばれ、店員がやかんに入れて店内を回り、なくなるとすぐ注ぎ足してくれる。
温かいのだが、これがまた滋味にあふれ、おいしい。
このユクスをすすりながら、冷麺を食べる。
冷麺にはからしと酢、それに薬味入りの辛味噌を好みで入れる。
ぜんぜん入れないと、やはりちょっと味がさびしい。

麺は極細。
肉もしっかり味があり、ゆで卵、きゅうり、梨。
冷麺って何の抵抗もなく、するする胃に入っていって、気づいたら器は空になっている。
ここでも同様、しっかり味わうつもりが、瞬間的に食べ終わっていた。

ところで不思議なことがあって、解決せずに店を出てしまい、日本に帰ってWebで調べても分からないのだが、スプーンがないのである。
テーブルには箸は置いてあって、自分で取るようになっているのだが、スプーンは置かれていない。
言ったら持って来てくれたのだが、他の人はどうしていただろうか。
韓国の人は、汁はスプーンですくって飲み、器に直接口はつけないのだから、スプーンがないということは、冷麺の汁は飲まないものなのだろうか?
ユクスがあるからいいのだろうか?

うーん、謎である。

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