きのうの昼めしは、おとといの牛鍋の残りに白めし。
この牛鍋は、牛コマ肉とじゃがいもなどの野菜を、八丁味噌と砂糖で味付けしてぐつぐつ煮たものなわけだが、これをひと晩寝かせると、なんと、ビーフシチューの味だった。
そんなバカなと疑うひとには、ぜひ試してもらいたい。ビーフシチューの味がしなかったら、僕がお金を返します。うそ。
いやでもほんとに、これは限りなく、ビーフシチューの味だった。ドミグラスソースのあのコクが、こんなにお手軽にお茶の間に、という話だ。
ドミグラスソースというのは、牛肉やら野菜やらを何日もかけて煮て、ものすごく手間をかけて出来るものなわけだが、この牛鍋は、八丁味噌を入れるだけ。所要時間10分。
しかし考えてみれば、八丁味噌というものは、それが味噌の形になるまでに、すでに2年以上の歳月が経過しているわけなのだ。それだけの期間をかけて熟成されたものだから、ドミグラスソースにも匹敵するコクがあるということなのだな。
日本というのは、かつお節にしたって昆布にしたって、また醤油や味噌などももちろんそうだけれども、それが家庭に届くまでに、すでにかなりの時間をかけて、味が調整されている。それが、骨付き肉をそのまま買ってきて、一から味を仕込む西洋料理とは、考え方が根本的にちがうところなのかもしれないな。
八丁味噌の威力にあまりに感動したために、夜はレバニラ炒めを作ったのだが、それにも八丁味噌を使ってみた。
基本の作り方は、いつも通りなのだけれども、醤油のかわりに八丁味噌を使ってみた、という企画。
これは見た目的には、もやしが茶色くなってしまって、ちょっとイマイチな感じもするのだけれど、逆にいえば、それだけ味がからんでいるということだ。醤油をつかった場合、どうしても、そのままだと材料に味がからまらず、タレが下にたまってしまうことになるから、カタクリを使って閉じないといけないことになるわけなのだが、味噌の場合、粘度があるから、そのままできっちり、味がからまるということなのだよな。
味も、醤油を使うより、やはりコクがある。好みにもよるが、コクを重視するひとには、炒め物にもいいということだな、八丁味噌。