前に行った時は、なんだかぼんやりしていて、何が言いたいのかわからない味だったのだ、ここのラーメン。
しかし最近色々ラーメン屋を回ったり、また「与壱」の店主がここの出身だというのを聞いたりするうちに、ああ、前のは味がぶれた時だったのかも知れないなと思うようになった。
夜の時間の開店直後に行って、その時スープが出来るのが遅れて、開店が30分、遅くなったりしていたから、味がきちんとこなれてなかったのかも。
ということで今回、改めて、味を確かめに行ってきたのだ。
この店ってやはり、広島のニューウェーブ系のラーメン店の一つだと思うので、きちんと味を知っておきたいよな。
ってすっかりラーメン評論家気取りだが。
中華そば600円。
やっぱりそうだった、この間はピントがぼけたような味だったのだが、今回は何が言いたいのかわかった。
広島の醤油豚骨のラーメンって、「すずめ」とか「陽気」、「寿楽亭」みたいに、昆布なんかを入れた、それってダブルスープだよな、元祖ダブルスープ、そんなこといいが、そういうマイルドなやさしい味と、それに対してわりと、豚骨ストレート直球、という感じで勝負する店と、大きく分けると二種類あるのだと思う。
その豚骨ストレート直球の店も、「うぐいす」とか「ひよこ」、「上海総本店」みたいに、豚骨の臭みをもろ前面に出したものと、臭みを抑えたものがある。
この店は、この後者、ストレート直球臭みなし、だな。
同じ系列に、「与壱」、「長谷川商店」、それに「きよちゃん」とかが入るんじゃないかと思う。
味の特徴としては、何かひと味、足りないような感じもするのだけど、そういう、味が全方位的に網羅されているのでなく、何もない空間がぼっこり空いているというところが、渋いというか、ハマるというか、そういうことなんだよな。
新手のラーメン屋として考えた場合も、今はとにかく、魚介だしからチー油から、よく知らないが、ありとあらゆるものを入れて味のバランスを取るという考え方、「我馬」、「ふじもと」、「歩いていこう」、「麺屋元就」、「こりく」という勢力が幅を利かせているのに対して、ここは「包丁一本、さらしに巻いて」ってなもんだよな。
わかってくれる人が、わかってくれればいいんだよ、みたいな、いかにも日本人的と言えば日本人的な考え方。
それなんだな。
僕はわりと好きだな、そういうスタイル。
麺は広島では定番の、ワシッとした中細。
チャーシューは、モソモソ。
これたぶん、わざとモソモソを出してるな、今流行りのトロトロに対抗してるな。
それに細もやし、メンマ、青ねぎ。
この店、すぐ近くにある日本料理店の姉妹店で、スープなどの仕込みはそちらでやっているみたいだが、店番してるのは息子さんなのかな、ビートルズとか、60年代の映画とかのポスターをべたべた貼って、若者チックな雰囲気。
しかしぜひ、この味を長く続けて、色んな世代から愛される、広島の名店になってほしい。
オヤジの説教か。
風林 (ラーメン / 牛田、白島、横川)
★★★★☆ 4.0