メールをもらった方から、「子供の頃から食べている、大好きな味のカレー」を出す店として教えてもらったのだ。
新天地交差点のすぐ東側にあるが、路地をちょっと入った所で、雑踏とは隔離された感のある、ちょっと不思議な場所。
昭和26年、終戦6年後に創業の、広島最古の洋食屋。
建物は洋風の中に和風の感覚が取り入れられた、落ち着いた感じで、インテリアもこげ茶の柱に白の壁、そこにこげ茶の細竹の、なんて呼び名だろう、壁にその細竹を横に並べた、インドネシアっぽい感じのものが配置されていて、何とも洒落ている。
昭和26年の新天地といえば、まだお好み焼などの屋台が全盛期だった頃だと思うから、この感覚は、すごいよな。
1階はカウンター席、そして2階にテーブル席があるらしい。
カレーの専門店ではもちろんなく、またいわゆる洋食屋ともちょっと違って、コース料理が中心の店。
ランチは2,100円と3,150円のコース、夜は6,300円と8,400円のコースがあるのだが、それ以外にもちろん、単品料理が色々あって、ドリアとかハヤシライス、カレー等々も、1,000円から1,500円ほどで食べられる。
カレーは「ジャワ風カレー」。
ジャワ風カレーって何だろうと思って、帰ってからネットを検索してみた。
「日本のジャワ風カレーをインドネシアの友人に食べさせたら、故郷の味と違うと言われた」
http://ameblo.jp/olivekiyoe/entry-10217075026.html
という笑える話もあったが、要は、日本のジャワ風カレーとは、
「じっくり炒めた玉ねぎをベースに、パイナップル、マンゴチャツネの風味を活かした、トロピカルなカレー」
http://www.amazon.co.jp/MCC-ジャワ風カレー(ビーフ)-200g/dp/B001I8SAZA
のことのようである。
元々の欧風カレー、たぶん「アンデルセン」のカレー
http://stakano.blogspot.com/2009/03/blog-post_02.html
のような感じじゃなかったかと思うが、それが肉のうまみを中心に据えたカレーだったのに対して、果物の甘みを活かした東南アジア風カレーという、反動があったということなのだろうな。
今はそこからさらに、スパイスを効かせたインドカレー、という時代になっているということだ。
しかしどれも、「トルコ風呂」と同じで、って例えが悪いが、現地で実際にそういうものが食べられているということではなく、あくまで日本におけるイメージ戦略なわけだ。
英国式マッサージ、っていうのもあるよな。
そんなことはいいのだが。
ということで、リオンのジャワ風カレー。
1,050円。
カレーは、ポットに入れられて供される。
ポットのカレーを、ご飯にかけてみた図。
見るとわかる通り、かなりの粘度。
家で作るカレーでいえば、一晩あけた、翌日の朝のような状態だ。
しかしもちろん、このカレーはそれとは違って、野菜や果物や色々なものを煮込んで、これだけトロトロになったものを、うすめずにそのまま出しているということだよな。
さすが老舗の気合を感じる。
肉は、ごろっとした大き目の豚ばら肉が二個。
それほどトロトロでなく、ちょっと固めに仕上げられている。
味は、濃密。
肉のだしの味、よく炒められた玉ねぎの風味、果物の甘み、そして控えめなスパイス、これらが次々と、まるで攻撃してくるかのような感じ。
さすがだな。
メールをくれた方が、「大好きだ」というのは、よくわかる。
こんな気合の入ったカレー、他ではなかなか食べられないと思う。
とここで、話はちょっと変わるが、これを書きながら思ったのだが、五日市のインドカレー屋「サーガル 」は、すごいな。
想像だが、日本で出店するにあたって、日本のカレーを色々食べただろう。
その中には当然、「インドカレー」もあったはずだ。
そしてその味は、自分達の故郷の味とは、まったく違うことを知ったわけだ。
そこで、「本当のインドカレーを知らしめよう」と思うのではなく、相手の懐に飛び込んで、相手を理解しようとし、相手の好きな味を研究しようとすること、そうそう簡単なことじゃないよな。
えらいもんだな。
リオン (洋食 / 胡町、八丁堀、立町)
★★★★☆ 4.0